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歯磨き粉の選び方は結局フッ素1450ppm|アセス愛用者の検算

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歯磨き粉を、ちゃんと選んでいるつもりだった。

歯科専売のジェルを7年使い、着色が気になれば着色ケア系を足し、最後は歯ぐきに良さそうな医薬品の歯磨きに乗り換えた。ドラッグストアの棚の前で成分表示をにらむくらいのことは、してきたつもりだった。

ところが今回、愛用してきた歯磨き粉を成分と論文から検算してみて、青ざめた。この10年、いちばん科学的根拠の強い成分――フッ素1450ppm――を、ほぼ一度も使っていなかったのである。

きっかけは、アセスが切れて適当に買った歯磨き粉が思いのほか合わなかったこと。「そもそも良い歯磨き粉って何なんだ」と、Cochraneレビュー(世界中の臨床試験をまとめて評価する国際プロジェクトのこと)から厚労省の承認基準まで遡って調べた記録が、この記事だ。

検算の末にたどり着いた新体制3本。左から着色ケア・常用・歯ぐきケア
検算の末にたどり着いた新体制3本。左から着色ケア・常用・歯ぐきケア

先に結論だけ書いておく。

  • 歯磨き粉の成分で「確実」と言えるのはフッ素1450ppmと使い方だけ
  • 歯周病予防やステイン対策の成分は「合理的な期待」止まり(それでも選ぶ価値はある)
  • そして身も蓋もないが、銘柄選びより磨き方(これは学会の公式見解)

私の歯磨き粉遍歴|10年分の「なんとなく」

まず、検算対象となる遍歴を白状しておく。

2016年頃〜:コンクール ジェルコートF。歯科医院で名前を聞く歯科専売系のジェルで、Amazonの購入履歴をさかのぼると2016年に最初の注文、2022年にまとめ買いの記録がある。研磨剤なし・発泡剤なしの殺菌重視設計で、磨き心地は静かで良い。主に使ったのは7年ほどで、2022年のまとめ買いの買い置きを使い切る2024年頃までの付き合いになった。

2022年のジェルコートFまとめ買いの注文記録(現物は使い切って処分済みのため購入記録で)
2022年のジェルコートFまとめ買いの注文記録(現物は使い切って処分済みのため購入記録で)

ただ、途中から気になりだしたことがある。歯の着色だ。私はコーヒーを毎日飲む。歯の表面、特に前歯の裏側あたりの茶色いくすみが、どうにも取れない。

2024〜2025年頃:オーラツー プレミアム ステインクリアを併用。着色対策として「研磨目的」で足した一本。当時まだ使っていたジェルコートFには研磨剤が入っていないので、削る役を別の製品で補った格好だ。

当時の生き残り。オーラツープレミアム ステインクリア
当時の生き残り。オーラツープレミアム ステインクリア

その後:アセス(無印)。歯ぐきのことを考えて乗り換えた製薬会社の歯磨き。これが今までで一番良かった。口の中がさっぱりして、磨き上がりの感触が違う。「もうこれでいいじゃないか」と思っていた。

2026年:ピュオーラ 炭酸ハミガキ。アセスを切らして、ドラッグストアで「なんとなく」買った一本。これが……泡はすごいのに磨けた気がせず、ソーダ系の香味がどうにも口に合わない。またハズレを引いた気分で棚の前に戻り、冒頭の「そもそも論」に至った。

問題のピュオーラ炭酸ハミガキ。クリスタルソーダの香味
問題のピュオーラ炭酸ハミガキ。クリスタルソーダの香味

この遍歴、一つずつ論文と公式資料で検算していくと、それぞれに「そういうことだったのか」という種明かしがあった。順番に見ていく。

検算①:コンクール(ジェルコートF)で私の歯が着色した理由は、論文にあった

まず7年使ったジェルコートFと、コーヒー着色の関係から。

ジェルコートFの主役は塩酸クロルヘキシジンという殺菌成分(歯面に長くとどまって殺菌し続けるタイプの薬剤のこと)だ。歯周病ケアの世界では有名な成分で、殺菌力そのものの評価は高い。

ところが調べてみると、このクロルヘキシジン、歯が着色するという副作用が1983年の論文の時点で確立していた。仕組みはこうだ。歯の表面に吸着して居座る性質――殺菌が長続きする理由そのもの――が裏目に出て、コーヒー・紅茶・赤ワインの色素と結合し、着色汚れとして沈着する。紅茶やコーヒーとの組み合わせで着色が強まることを実験で確かめた研究が1997年にあり、2022年の実験でも11種類の飲料で検証されている。

「コーヒー好きがクロルヘキシジン系を長く使うと着色しやすい」は、私の体質の問題ではなく、文献に載っている既知の現象だった。

さらに設計上の事情が重なる。ジェルコートFは研磨剤無配合。歯や歯ぐきにやさしい設計思想で、それ自体は美点なのだが、裏を返せばついた着色を落とす成分が入っていない。実際、メーカーのウエルテック自身が、着色汚れ用に週1〜2回使う「クリーニングジェル」という研磨系の別製品を用意している。私が「研磨目的」でオーラツーを買い足したのは、期せずしてメーカーのライン設計と同じ対処を自力で編み出していたことになる。ただし当時の私は、着色の原因側をそのままにして、削る側だけを増強していた。

なお公平のために書いておくと、ウエルテックは洗口液コンクールFのページでは「一部の方に、クロルヘキシジンの継続使用による歯面の着色が起こることがあります」と明記している。歯磨きジェル側の製品ページやリーフレットには、私が確認した範囲(2026年7月時点)では着色への言及が見当たらなかった。

もう一つ、調べていて判明した事実がある。ジェルコートFは2023年12月のリニューアルでフッ素が950ppmから1450ppmに増強されたのだが、私の購入記録はすべてそれ以前。つまり使っていたのは、最初から最後まで旧処方の950ppm版だった。当時としては標準的な濃度で、そもそも日本で1450ppmが承認されたのは2017年。使い始めた頃は外しようがなかった。ただ、承認後も私は何も知らずに同じものを買い足し続けていた。ここが「10年フッ素1450ppmを外し続けた」の始まりである。

検算②:一番好きだったアセスに、一番大事な成分が入っていなかった

次に、今までで一番良かったアセス。調べてみると、これはそもそも土俵が違う製品だった。

ドラッグストアの歯磨き粉の大半は「医薬部外品」で、承認されている効能は「歯周炎(歯槽膿漏)の予防」のように予防の範囲だ。ところがアセスは第3類医薬品(市販薬のうちリスク区分が最も低い分類のこと)。効能は「歯肉炎・歯槽膿漏の諸症状(出血・はれ・口臭・発赤・口のねばり・歯ぐきのむずがゆさ・歯ぐきからのうみ)の緩和」とされている。予防ではなく、症状の緩和をうたうことを認められた歯磨きなのだ。

中身はカミツレ・ラタニア・ミルラという3種のハーブのチンキ(生薬をアルコールで抽出したエキスのこと)。研磨剤は入っておらず、基剤は重曹。あの独特の「口の中がさっぱりする」感触は、爽快ミント味と泡立たない設計の合わせ技だったようだ。

科学的裏付けはどうか。アセスそのものを歯周病患者51名で試した国内の比較試験が日本歯周病学会の学会誌(2018年)にあり、4週間で歯ぐきの炎症や出血の指標が改善したと報告されている。市販の歯磨きで製品名まで特定できる臨床試験があるのは、正直立派だ。ただし規模が小さく、どちらを使っているか本人も評価者も知っている方式(非盲検)なので、「効果が証明済み」とまでは言えない。ハーブ成分自体の国際的な研究も、効いたという報告と差がなかったという報告が混在している。

それでも歯ぐき特化として市販最強クラスの裏付けであることは間違いない。問題は別のところにあった。

アセスには、フッ素が入っていない。 無印もアセスLもアセスEも、ブランド全ラインでフッ素無配合だ。歯肉炎・歯槽膿漏に特化した設計だから当然といえば当然なのだが、後述するとおり、歯磨き粉の成分でエビデンスが「確実」の域にあるのはフッ素だけ。つまりアセス一本での運用は、いちばん確実な便益を丸ごと捨てる構成だったのである。好きなだけに、この検算結果は堪えた。それでもアセスを手放さずに済む答えは見つけたので、買い直した現物ともども後半の「新体制」で紹介する。

検算③:ピュオーラ炭酸——泡立ちは、洗浄力ではない

最後に、今回の騒動の引き金になったピュオーラ炭酸ハミガキ。「めっちゃ泡立つのに磨けた気がしない」の種明かしから。

この製品、泡の仕組みが二階建てになっている。ふつうの発泡剤に加えて、重曹とクエン酸が唾液中で反応して炭酸ガスの泡を自前で発生させる。ラムネ菓子が口で発泡するのと同じ理屈で、あの泡立ちは完全に設計どおり、むしろ泡こそが売りの製品だった。「なんとなく」で買った私が、泡に全振りした製品を引いただけである。

では泡はどれくらい仕事をするのか。ここで押さえておきたいのは、泡立ちの強さと洗浄力は別物ということだ。日本歯周病学会はQ&Aで、歯磨剤選びより「炎症の原因となっているプラークを取り除くように、丁寧なブラッシングで磨き残しを少なくすること」が一番大事だと明言している。歯科医監修のコラムでも、泡で口がいっぱいになると短時間で磨いたつもりになりやすい、という趣旨の指摘が繰り返し出てくる。メーカー側は、炭酸泡は粒が細かいぶん歯周ポケットや歯間に入り込みやすいという趣旨の説明をしているが、これは自社の主張で、第三者の検証は見つけられなかった。

成分を見ると、殺菌成分CPCと抗炎症成分は入っているものの、着色向けの専用成分はゼロ(それは姉妹品の「浮かせる美白」版の担当だ)。フッ素はモノフルオロリン酸ナトリウム配合だが、裏面のどこにも濃度が書いていない。1000ppmを超える製品には、濃度の容器表示と6歳未満への使用を控える旨の注意表示が義務付けられているので、どちらもないこの通常タイプは、高濃度フッ素ではないと読むのが自然だ(美白版だけは1450ppmと明記されている)。ちなみに、市販歯磨き粉の多くでフッ素濃度が記載されていないことは、4学会の推奨文書自体が大きな問題だと指摘している。不満に思っていたのは私だけではなかった。

ピュオーラ炭酸の裏面。フッ素の濃度表示はどこにもない
ピュオーラ炭酸の裏面。フッ素の濃度表示はどこにもない

ちなみに裏面の注意書きには「容器の中に水や湿気が入ると、発泡して容器が膨れる恐れ」とある。歯磨き粉の将来性を心配したのは、40年生きてきて初めてである。

味の好みは完全に個人の感想だが、ミントではなく「クリスタルソーダの香味」という攻めた設計なので、合う合わないははっきり割れると思う。私は合わなかった。製品が悪いのではない。泡と香味に寄せ切った一本を、歯ぐきと着色のために買った私の選び方が悪かったのだ。

で、何が「確実」なのか|成分エビデンスの答え合わせ

3本の検算で見えてきたのは、「どの成分がどれくらい信用できるのか」を知らずに選んでいた、という一点に尽きる。調べた結果を、根拠の強さで3段階に分けて整理する。

目的成分根拠の強さひとこと
虫歯予防フッ素1450ppm◎ 確実96試験・6.5万人超のCochraneレビューで濃度依存の予防効果。歯磨き粉選びで唯一の「確実」
虫歯予防ハイドロキシアパタイトフッ素と同等性を検証した試験が複数。国産の対抗馬
歯周ケアトラネキサム酸国内の二重盲検試験で歯ぐきの炎症抑制の報告
歯周ケアIPMP・CPC・グリチルリチン酸など△〜○仕組みの研究は豊富だが、歯磨き粉の濃度での決定打は乏しい
着色対策ピロリン酸Na・ポリリン酸Na「歯石の形成及び沈着を防ぐ」で国に承認された成分。※承認は歯石について。ステインへの働きはメーカー訴求・機序ベース
着色対策研磨剤(清掃剤)物理的に落とす王道。強すぎは歯を削るので毎日用は低〜中研磨
知覚過敏硝酸カリウムしみる痛みを防ぐ承認成分

成分より効く「使い方」

そして成分表の外に、成分より効く「使い方」がある。日本の歯科系4学会が2023年に合同で出した推奨は明快で、6歳以上なら1400〜1500ppmのフッ素入りを、歯ブラシ全体(1.5〜2cm)、1日2回、磨いた後のうがいは少量の水で1回だけ。私は長年、磨いたあと念入りに何度もゆすいでいた。せっかくのフッ素を、毎回自分で洗い流していたことになる。

「ホワイトニング」の正体

もう一つ、今回の調査で目からウロコだったのが「ホワイトニング」の正体だ。日本では、歯そのものを漂白する過酸化水素を市販の歯磨き粉に配合できない以上、市販のホワイトニング歯磨き粉で歯の地の色は白くならない。落とせるのは着色汚れまでで、「歯を白くする」という効能表示は、実は特定の成分がなくても標榜できる決まりになっている。

効能表示の落とし穴

表示の落とし穴は他にもある。使いかけのオーラツープレミアムの裏面を見ると、効能欄に「ムシ歯予防」とあるのに、成分表示にフッ素の記載がない(現行品は公式サイトでフッ素配合と案内されているので、手元のは旧処方の世代らしい)。ピュオーラ炭酸も同じ構図で、容器の効能欄には「歯を白くする」とある一方、ステイン対策をうたう専用成分は入っていない。効能の文字と、成分の中身は、別の話なのだ。1本ならたまたまでも、2本あれば制度の話である。効能の文字ではなく、成分の欄を見る。今回の一番の教訓かもしれない。

手元のオーラツープレミアム裏面。効能に「ムシ歯予防」、成分表示にフッ素の記載はない
手元のオーラツープレミアム裏面。効能に「ムシ歯予防」、成分表示にフッ素の記載はない

なお、これだけ成分の話をしておいて何だが、学会の公式見解は一貫して「歯磨剤選びより、磨き残しを減らすこと」である。磨き方の相棒については、7年で4台使い倒した口腔洗浄器ドルツの長期レビューに書いたので、そちらもどうぞ。

歯磨き粉の目的別の選び方|1450ppmを土台に、目的の成分を足す

答え合わせを踏まえた選び方はシンプルだ。フッ素1450ppmを絶対条件にして、自分の悩みに合う成分を上乗せする。ハイドロキシアパタイト配合を選ぶ道もあるが、Cochrane級の蓄積で選ぶなら現状はフッ素、というのが本記事の立場だ。目的別の代表格を挙げておく(価格は2026年7月時点の実勢目安)。

歯ぐきが気になる人

製品中身実勢目安
システマ ハグキプラス プレミアム1450ppm+トラネキサム酸・IPMP・ビタミンE+ポリリン酸Na95gで600円台
デントヘルス 薬用ハミガキDXプレミアム1450ppm+歯周系成分を市販最多クラスで全部盛り90gで2,000円前後(店舗差大)
アセス(第3類医薬品)ハーブ3種で「諸症状の緩和」。ただしフッ素なし=単独運用は非推奨160gで1,200円〜

コーヒー・お茶の着色が気になる人

製品中身実勢目安
ブリリアントモアWピロリン酸Na+ポリリン酸Naのダブル配合。着色を「浮かせて落とす」がメーカーの訴求90gで700〜1,500円(店舗差大)
オーラツーミー ステインクリア1450ppm+ステイン溶解成分の隠れ実力派130gで350円前後

とにかくコスパの人:クリニカアドバンテージ、NONIO、システマEXあたりは300円前後で1450ppmが手に入る。エビデンス単価で言えば実は最強クラスで、「高い歯磨き粉ほど虫歯に効く」という関係は成分表を見る限り存在しない。

知覚過敏の人:シュミテクト、NONIOプラス知覚過敏ケアなど硝酸カリウム配合品を。しみる症状が続くなら市販品でしのがず歯科へ。

私の新体制|「防ぐ」「整える」「落とす」の3本立て

で、私はどうしたか。検算結果に従って3本を注文した。

新体制3本の裏面。ハグキプラス プレミアムには「フッ素として1450ppm」、アセスにはハーブチンキ3種の分量が明記されている。効能の文字ではなく、この欄を見る
新体制3本の裏面。ハグキプラス プレミアムには「フッ素として1450ppm」、アセスにはハーブチンキ3種の分量が明記されている。効能の文字ではなく、この欄を見る
  • 常用:システマ ハグキプラス プレミアム……フッ素1450ppmで土台を作りつつ、歯ぐきケアはトラネキサム酸とIPMPに、着色・歯石の沈着抑制は「歯石の形成及び沈着を防ぐ」の承認成分ポリリン酸Naに期待する。全部盛りのデントヘルスDXプレミアムと最後まで迷ったが、毎日使う一本としては価格が3倍違うのが決め手になった
  • 歯ぐきケア:アセス無印を続投……検算で株が下がったかというと逆で、フッ素は常用側で確保できたので、アセスは本来の「歯ぐき特化の医薬品」として堂々と使える。あのさっぱり感とも別れずに済んだ。運用は朝アセス・夜ハグキプラスの分業で、虫歯予防の要になる就寝前をフッ素側に固定した
  • 着色ケア:ブリリアントモアW を週1〜2回……常用のポリリン酸Naで「沈着を防ぎ」、ついてしまった分はこれで「落とす」二段構え。原因を放置したまま、最後は削る対処を足していた歳月への反省を込めた配置だ

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そして道具と同じくらい大事な「使い方」も新体制に入れた。歯ブラシ全体に2cm、1日2回、磨いたあとのうがいは少量の水で1回だけ。正直に言えば、推奨は2回ともフッ化物配合が前提なので、朝をアセスに割く私の分業はそこから半歩外れている。その代わり、推奨が「就寝前を含めて」と念押しする就寝前側に1450ppmを固定して埋め合わせた。せっかくのフッ素を、少なくとももう洗い流さない。

まとめ|「一番いい歯磨き粉」は存在しなかった

調べ終えて分かったのは、「一番いい歯磨き粉」という問いの立て方自体が間違っていたということだ。

  • 確実なのはフッ素1450ppmと使い方。ここを外さなければ大負けしない
  • 歯周・着色・知覚過敏の成分は「合理的な期待」として目的別に足す
  • 効能の文字ではなく成分の欄を見る。「ムシ歯予防」とフッ素入りは別の話
  • そして磨き残しを減らすことが全ての土台(学会の公式見解)

源泉かけ流しで体を整える話が本業のブログだが、温泉好きのセルフケアはどうも口の中に行き着くらしい。口腔洗浄器ドルツに続いて二度目である。科学的根拠の強い・弱いを見ながら道具を選ぶ話は、水素風呂スパーレのレビューでも書いた。健康グッズの世界は「効きそう」と「効く」の距離が遠い。歯磨き粉はその距離を、論文と承認基準でかなり詰められるジャンルだった。10年遠回りした身として、この記事が誰かの近道になれば幸いだ。

よくある質問

Q. 結局、どの歯磨き粉を買えばいいですか? A. まず「フッ素1450ppm」の表示がある歯磨き粉を選べば大きく外しません。そのうえで歯ぐきが気になるなら歯周系成分入り(ハグキプラス プレミアム等)、着色が気になるならピロリン酸・ポリリン酸配合(ブリリアントモアW等)を足す、が本記事の結論です。

Q. フッ素1450ppmの歯磨き粉は子どもにも使えますか? A. 6歳未満には使えません。1000ppmを超える歯磨き粉は6歳未満への使用を控えるよう注意表示が義務付けられています。学会の推奨では、歯が生えてから5歳までは900〜1000ppm(ごく少量〜5mm程度)、6歳以上は1400〜1500ppm製品が目安とされています。製品の注意書きに従ってください。

Q. ホワイトニング歯磨き粉で歯は白くなりますか? A. 歯そのものの色は白くなりません。日本の市販歯磨き粉には漂白成分(過酸化水素)を配合できないためで、落とせるのはコーヒーなどの着色汚れまでです。地の色を変えたい場合は歯科医院のホワイトニングの領域になります。

Q. アセスにはフッ素が入っていませんが、使わない方がいいですか? A. 歯ぐき特化の医薬品としては市販最強クラスの裏付けがあるので、やめる必要はないと考えています。ただしフッ素の虫歯予防は受けられないので、本記事ではフッ素1450ppm製品との併用を選びました。歯ぐきの出血や腫れが続く場合は、歯磨き粉でしのがず歯科医院で診てもらってください。

全比較データ(2026年7月時点)

本文で触れた製品を含む、調査した主要製品の一覧。価格は実勢の目安で変動します。成分は代表的なもののみ記載しています。

製品フッ素歯周・殺菌成分着色対策成分実勢目安
クリニカアドバンテージ1450ppmポリリン酸Na130g/300円前後
システマEX1450ppmIPMP・LSS・β-GR130g/300円前後
NONIO1450ppmLSSポリリン酸Na130g/300円前後
GUMデンタルペースト1450ppmCPC・GK2120g/400円前後
オーラツーミー ステインクリア1450ppmIPMPステイン溶解成分130g/350円前後
クリニカPRO オールインワン1450ppmビタミンE(+硝酸K)ポリアクリル酸Na95g/500円前後
システマ ハグキプラス1450ppmトラネキサム酸・IPMP・ビタミンE90g/500円前後
システマ ハグキプラス プレミアム1450ppm同上+GK2・硝酸Kポリリン酸Na95g/600円台
GUM歯周プロケア1450ppmCPC・ビタミンEn(ビタミンEニコチン酸エステル)・ビタミンB6・β-GR90g/700円台
NONIOプラス知覚過敏ケア1450ppmLSS・硝酸Kポリリン酸Na130g/350円前後
ブリリアントモアWNaF(濃度非公表)ピロリン酸Na+ポリリン酸Na90g/700〜1,500円
ルシェロ ホワイト950ppmPEG400+炭酸Ca100g/1,000円前後
オーラツー プレミアム ステインクリアMFP(濃度非公表)※手元の旧ロットは成分表示にフッ素記載なしIPMPステイン溶解成分+酸化Al100g/400円前後
シュミテクト プラチナプロテクトEX1450ppm―(硝酸K+乳酸Al)(未確認)90g/1,300円前後
チェックアップ スタンダード1450ppm135g/800〜1,600円(販路差大)
チェックアップ ルートケアα1450ppmCPC(硝酸K)90g/1,000円前後
デントヘルス 薬用ハミガキDXプレミアム1450ppmIPMP・TXA・GK2・ビタミンE・LSSポリリン酸Na90g/2,000円前後(店舗差大)
ジェルコートF1450ppm(2023年12月以降)塩酸クロルヘキシジン・β-GR―(研磨剤なし)90g/900円〜1,100円
アセス(第3類医薬品)カミツレ・ラタニア・ミルラ―(重曹基剤)160g/1,200円〜
ピュオーラ炭酸(通常)MFP(濃度表示なし)CPC・β-GR95g/850円前後

主な参照元

  • Cochraneレビュー「フッ化物配合歯磨剤の濃度別う蝕予防効果」(Walsh 2019, CD007868)
  • 厚生労働省「薬用歯みがき類製造販売承認基準」(令和3年薬生発0628第13号)
  • 日本口腔衛生学会ほか3学会(計4学会)合同「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023)
  • 日本歯周病学会「歯周病Q&A」
  • 白川ほか「歯周疾患治療用歯磨剤アセス®の歯周病患者に対する臨床パラメーターの改善効果と細菌学的評価:ランダム化非盲検比較試験」日本歯周病学会会誌60巻4号(2018)
  • クロルヘキシジンによる歯面着色に関する各文献(PubMed: 6821208, 9062858, 35196724 ほか)
  • 各製品の公式サイト(ライオン・サンスター・花王・佐藤製薬・ウエルテック・GC・ライオン歯科材・Haleon)

※本記事は個人の使用体験と公開情報の整理であり、診断・治療の助言ではありません。効能・効果の記載は各製品の承認された表示に基づきます。歯や歯ぐきに症状がある場合は歯科医院を受診してください。

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