PR

温泉水は持ち帰っていい?飲泉と持ち帰り湯のルール

記事内に広告が含まれています。

私の車には、20Lのポリタンクが常時積んであります(まとめ汲みの日は2本)。沼田のしゃくなげの湯 温泉スタンドで1L=1円の源泉を汲み、みなかみの三峰の湯 温泉スタンドで100L=100円を汲み、釈迦の霊泉では飲用の温泉水「御神水」を4Lいただいて帰りました。群馬の湯を「持ち帰る」ことにかけては、それなりに場数を踏んでいるほうだと思います。

ところで、この「温泉を飲む・持ち帰る」という行為、実は公的なルールがきちんとあります。読み込んでみると、直感に反する線引きになっている。飲むために持ち帰るのは環境省の基準で「認められていない」(ただし法律による一律の禁止ではありません。詳しくは後述)。一方、お風呂用なら100リットル持ち帰っても堂々と公認なのです。

この記事では、飲泉(いんせん=温泉を飲むこと)と持ち帰り湯のルールを、環境省の基準と私の実体験で正面から整理します。「そもそも温泉は効くのか」という効能の科学的根拠の話は、親記事の温泉の効能はどこまで科学的に本当かにまとめてあります。

飲泉のルール|どこで・どれだけ飲めるか

釈迦の霊泉の飲泉所。銅の蛇口と緑色の桶
釈迦の霊泉の飲泉所。ここで飲む分には何の問題もない

温泉は、湧き水と違ってどこでも自由に飲んでいいものではありません。飲泉の大前提は、許可を受けた飲泉所で、源泉から直接引かれた新鮮な温泉を飲むこと(環境省の温泉利用基準)。浴槽のお湯をすくって飲むのは対象外です。

量にも公的な目安があります。

  • 1回100〜150mL程度、1日の総量は200〜500mLまで
  • 食事の30分ほど前に飲むのが望ましい
  • 15歳以下は原則として飲用を避ける(医師の指導がある場合を除く)
  • むせやすい人は誤嚥(ごえん=気管に入ってしまうこと)に注意。嚥下障害のある人は飲泉を行わないこと、ともされています

コップに軽く一杯(100〜150mL)が1回分、1日の上限500mLはそのコップで3杯ほどです。「たくさん飲むほど体にいい」という発想は、基準の設計からして想定されていません。ひ素やふっ素など成分ごとの1日許容量も細かく定められているので、飲泉所に掲示されている注意書き(飲用の上限・禁忌)があれば、そちらが最優先です。

なお、この記事では「飲めば何に効くか」には踏み込みません。飲用の適応症は療養泉(りょうようせん=規定の濃度や温度を満たし泉質名が付く温泉)に対して定められるもので、あるとすれば施設の掲示に書いてあります。掲示がなければ、それが答えです。

私が群馬で通っている飲泉所は、みなかみ町の釈迦の霊泉。脱衣所のすぐ外に飲泉所があり、銅の蛇口から実測22.0℃の冷たい源泉がそのまま出ています。pH9.5・成分総計0.15g/kgの薄くて柔らかい水で、クセがなくすっと飲める。ここで桶から一杯いただくぶんには、基準のど真ん中です。

飲むための持ち帰りは「認められていない」

ここが、今回いちばん伝えたい線引きです。環境省の掲示基準(温泉の飲用上の注意)には、こう明文で書かれています。

飲泉場から飲用目的で温泉水を持ち帰らないこと

背景にあるのは、成分の変化と衛生面の問題です。基準の前文にも、温泉は湧出後、時間の経過とともに変化していくものであることと、公衆衛生上の配慮が示されています。要するに温泉は「なまもの」で、ペットボトルの水のようには保存が利かないのです。

ただし正確に言うと、これは飲泉場に掲げる利用上の注意の基準であって、法律による全国一律の禁止ではありません。施設が自らの管理範囲で持ち帰りの枠組みを用意しているケースがあります。釈迦の霊泉はまさにそれで、入浴客は飲用温泉水を4Lまで無料で持ち帰れる(10L販売もあり)運用が公式にあります。この場合は、その施設のルールに従えばOK。容器や量の指定があればそれを守る、が全てです。

私の運用はシンプルで、飲む分は現地で新鮮なうちに、持ち帰った分は鮮度が落ちる前に早めに使い切る。持ち帰ってから時間が経ったものは、飲むのはやめて湯船に回します。

お風呂用の持ち帰り(温泉スタンド)は別物

三峰の湯温泉スタンドに掲示された温泉利用許可証。利用目的は公共の浴用
三峰の湯の温泉スタンドに掲示された温泉利用許可証。利用目的は「公共の浴用」=お風呂用と明記

「じゃあポリタンクで温泉を汲んで帰るのは全部グレーなのか」というと、まったく違います。浴用(お風呂用)の持ち帰りは、飲泉の基準とは別の世界です。

群馬のあちこちにある「温泉スタンド」は、温泉法の許可を受けて源泉を分けてくれる給湯設備(分湯=源泉を分けて提供する仕組み)。三峰の湯のスタンドには温泉法第15条の温泉利用許可証が掲示されていて、利用目的は「公共の浴用」と明記されています。つまり、最初からお風呂用として許可された正規の持ち帰りルートなのです。気兼ねなく汲めます。

私の実体験でいうと、群馬の主戦場はこの2か所。

どちらも単価1L=1円。汲み方の手順や群馬の他スタンドとの比較は、それぞれの記事に譲ります。持ち帰った源泉は、200Lほどの家庭浴槽に20Lポリタンク2本ぶん(40L)を足して、浴槽全体の2割弱を源泉にするブレンド入浴が私の定番です。脱塩素グッズやシャワー浄水と組み合わせた全体の運用は自宅風呂を温泉化|3段階のグッズと習慣にまとめました。

ここでも守るべき一線は明確です。温泉スタンドの湯は飲まない。浴用と飲用では、許可も水質の基準も別物だからです。

家庭での扱い方|持ち帰った温泉の衛生

持ち帰ったあとの扱いは、飲用・浴用ともに「早く使い切る」に尽きます。

  • 浴用の持ち帰り湯はその日のうちに使い切る。汲み置きや再加温の繰り返しは雑菌の繁殖につながる
  • ポリタンクは使うたびに洗って、しっかり乾かす
  • 施設公認の飲用持ち帰り水は冷蔵で早めに飲み切る

温泉は湧いた瞬間がいちばん新鮮で、そこから先は劣化していく一方。「もったいないから取っておく」が一番もったいない、というのが汲み湯生活の実感です。

まとめ|飲泉・持ち帰りのOK/NG早見表

やりたいことルール
飲泉所で飲む⭕ 1回100〜150mL・1日200〜500mL。掲示の注意書きが最優先
子どもが飲む⚠️ 15歳以下は原則避ける(医師の指導下を除く)
飲む用に持ち帰る❌ 環境省基準では認められていない。施設が独自に認める場合はその施設のルールに従う
お風呂用に持ち帰る(温泉スタンド)⭕ 浴用として許可された正規ルート。飲まない・その日のうちに使う

ルールを知ってしまえば、話は単純です。飲むなら現地の飲泉所で、基準の量を。持ち帰るならお風呂用として、堂々と。 どちらも公的に整備された、まっとうな温泉の楽しみ方です。

「で、そもそも温泉は何にどこまで効くのか」という本丸の話は、親記事の温泉の効能はどこまで科学的に本当か|環境省基準で整理でまとめています。あわせてどうぞ。

出典:環境省 温泉の掲示基準(浴用・飲用の方法及び注意)環境省 温泉利用基準(飲用)


よくある質問(FAQ)

Q. 温泉水を持ち帰って飲んでもいいですか?
A. 環境省の基準では、飲泉場から飲用目的で温泉水を持ち帰ることは認められていません。温泉が湧出後に変化していくことへの公衆衛生上の配慮が背景にあります。釈迦の霊泉のように施設が独自の枠組みで持ち帰りを認めている場合は、その施設のルールに従い、早めに飲み切ってください。

Q. 飲泉は1日どのくらいまで飲めますか?
A. 1回100〜150mL程度・1日の総量200〜500mLまでが公的な目安です。15歳以下は原則飲用を避けるとされています。飲泉所に掲示された注意書き(上限・禁忌)があれば、そちらが最優先です。

Q. 温泉スタンドで汲んだ温泉は飲めますか?
A. いいえ。温泉スタンドは浴用(お風呂用)として温泉法の許可を受けた分湯設備で、飲用ではありません。汲んだ湯はその日のうちにお風呂で使い切りましょう。

Q. 持ち帰った温泉はどのくらい保存できますか?
A. 浴用はその日のうちに使い切るのが基本です。施設公認の飲用持ち帰り水も冷蔵で早めに。温泉は湧出後に成分が変化していく「なまもの」なので、長期保存には向きません。


関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました