沼田ICから国道120号を日光方面へ約2km。車を走らせていると、赤い三角屋根の大きな建物が目に飛び込んでくる。正面に掲げられた看板は、ど直球に 「馬鹿旨」。読みは「ばかうま」、「バカ旨」と書かれることもある。馬鹿みたいに旨い、という潔いネーミングの町中華だ。
この日は朝から、川場温泉のかやぶき湯宿悠湯里庵(ゆとりあん)でひと風呂浴びてきた帰り道だった。湯でゆるんだ体に、昼は熱くて旨いものを入れたい——そう思って立ち寄ったのが、沼田の馬鹿旨だ。源泉かけ流し巡りのついでに食事処を開拓するシリーズの一本として、人気店をレポートする(取材は2026年5月)。

平日の昼でも行列ができる人気店だけあって、この日も時間が経つにつれて駐車場はみるみる埋まっていった。約50台分の無料駐車場があるとはいえ、ピークになれば店内の行列は避けられない。
店舗情報・営業時間・駐車場
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 中華料理 馬鹿旨(ばかうま) |
| 住所 | 群馬県沼田市久屋原町25-1 |
| 電話 | 0278-24-3751 |
| 営業時間(平日) | 11:30〜14:00/17:00〜19:50(L.O.) |
| 営業時間(土日祝) | 11:30〜19:50(L.O.)通し営業 |
| 定休日 | 毎週水曜+火曜の不定休(毎月の店舗カレンダーで告知) |
| 駐車場 | 国道120号沿い・無料 約50台 |
※「L.O.」はラストオーダー(最終注文時刻)のこと。定休日は毎週水曜に加えて、火曜などの休みが月によって変わり、店舗の月次カレンダーで告知される。遠方から行くなら、訪問前に店頭の掲示や公式サイトのカレンダーを確認しておくと確実だ。土日祝は昼の中休みがなく通しで営業しているので、温泉のあとの遅めのランチでも入りやすいのがありがたい。

店頭の掲示には「皆様の健康を考え、地場産野菜をふんだんに取り入れた栄養バランスの良いオリジナルメニューを提供しています」と店主の一言。減塩希望は注文時に伝えれば調整してくれるそうだ。町中華にしては、ずいぶん体に気を遣っている。
看板はやっぱり「トマトラーメン」
馬鹿旨の代名詞といえば、店内No.1人気の トマトラーメン(税抜1,150円・税込1,265円/2026年5月時点)。これを食べずに帰る選択肢はない。

運ばれてくると、まず色に驚く。トマトの赤がそのままスープになったような、鮮やかな朱色。表面にはふんわり溶いた卵が広がり、チンゲン菜の緑が差し色になる。レンゲですくうと、トマトの酸味と中華スープの旨みが一体になっていて、見た目のインパクトに反して後味はあっさり。重たくない。生トマトをふんだんに使っているという触れ込みは伊達ではなく、トマトの果肉感がしっかり残っている。
麺は中太のちぢれ麺で、酸味のあるスープをよく持ち上げる。「ラーメンにトマト?」と身構える人もいると思うが、これはイタリアンではなく、あくまで“トマト味の中華スープ”。最後まで飲み干せる軽やかさで、湯あがりの火照った体にもすっと染みていった。
「No.1人気」は私がそう感じただけではない。店頭の人気ランキング掲示でも、トマトラーメンは堂々の1位に張り出されていた。

もう一杯の主役、牡蠣ゴロゴロの「カキうま煮ラーメン」
トマトと並んで頼んだのが カキうま煮ラーメン(税抜1,350円・税込1,485円/2026年5月時点)。牡蠣のラーメンはあちこちで食べ歩いてきたが、満足できる一杯は意外と少ない。その中で、ここははっきり旨い側だった。

澄んだ正油ベースのスープに、ぷっくりした牡蠣がいくつも沈んでいる。シャキッとしたチンゲン菜と細めの麺が一緒に泳ぐ。牡蠣の出汁がスープに溶け出していて、ひと口すするごとに磯の旨みが追いかけてくる。身はふっくら、火の入れ加減も的確で、加熱しすぎて縮んだ牡蠣にありがちな硬さがない。トマトの華やかさとは対照的に、じんわり滋味で攻めてくる一杯だ。
トマトの赤と牡蠣の琥珀色、性格の違う二杯を並べると、この店のメニューの懐の深さがよく分かる。
定番の「正油ラーメン」も王道で旨い
派手な一杯ばかりではない。ど真ん中の 正油ラーメン も頼んでみた。

なると、チャーシュー、メンマ、わかめ。透き通った正油スープに細ちぢれ麺。動物系の出汁が利いた、昔ながらの町中華の王道だ。変わり種のトマトラーメンで知られる店が、こういう基本の一杯もきちんと旨い。奇をてらうだけの店ではない、地力の証拠だと思う。
餃子もチャーハンも、当たりだった
馬鹿旨は「ラーメンと餃子の旨い店」を掲げているだけあって、麺以外のサイドも侮れない。

焼餃子(税抜500円・税込550円/2026年5月時点)は、底面がパリッと焼き上がった羽根つき(餃子の周りにできる、薄くて香ばしい焼きの“はね”のこと)。一列に並んだ姿が美しく、皮はもっちり、かじると肉汁がじゅわっと出る。ビールが欲しくなる。

チャーハン も、卵となるとが効いたパラっと軽い仕上がり。濃いラーメンの合間に挟むと、ちょうどいい箸休めになる。正直に言うと、看板のトマトラーメンと同じくらい、この餃子とチャーハンが記憶に残った。ラーメン専門店の一品ではなく、麺も飯も餃子も平均して旨い——それが馬鹿旨の本当の強みなのかもしれない。
トマトラーメンは一種類じゃない
店内のメニューを見ると、トマトラーメンだけでも酸辣・担担・塩・カレー・ガーリックと驚くほどのバリエーション。さらに四川・マーボー・広東ラーメンといった本格中華の麺もずらりと並ぶ。

辛さも「辛口・大辛・激辛」から選べる(追加料金あり)ので、辛いもの好きはトマト×担担×激辛のような攻めた組み合わせも楽しめる。何度通っても飽きないラインナップだ。
まとめ|温泉とセットで寄りたい沼田の町中華
馬鹿旨は、看板のトマトラーメンという“フック”がありながら、定番ラーメンも餃子もチャーハンも外さない、総合点の高い町中華だった。
- 初訪なら:まずは看板のトマトラーメン。話のネタとしても外せない
- 牡蠣好きなら:カキうま煮ラーメンを強く推したい
- シェアして食べるなら:餃子+チャーハンを足して、ラーメンを2〜3種でわけ合うのが正解
沼田ICからすぐ、国道120号沿いという立地は、川場・尾瀬・日光方面へのドライブや、近隣の温泉巡りの動線にぴったり。沼田にはほかにも、河岸段丘ビューの奥利根うどん本舗や、日帰り入浴できる南郷温泉しゃくなげの湯があり、麺と湯をはしごできる。今回は朝に川場の温泉、帰りに馬鹿旨でランチという順で回ったが、ひとつ反省がある。日曜の川場村(道の駅・川場田園プラザ周辺)は昼どきに一気に混むのだ。
だから次に行くなら、先に馬鹿旨で早めのランチ → 川場田園プラザで遊ぶ → 締めに日帰り温泉、と順番を入れ替えたい。腹ごしらえを先に片づけておけば、昼のピークの行列も川場の混雑も外しやすい。川場村には、この日に立ち寄ったかやぶきの源泉湯宿「悠湯里庵」の日帰り入浴もある。遊んだあとの体をゆっくり湯で流して一日を締める——そんなコースが組めるはずだ。
源泉かけ流し巡りの“食事処開拓”としては、高崎の中華蕎麦 鳴神食堂に続く一本。次に行くときは、トマト×担担×激辛の攻めた一杯を試してみたい。温泉とセットで群馬の一日を組み立てたい人は、ぜひ候補に入れてみてほしい。


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