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桑風庵(そうふうあん)本店|赤城の蕎麦屋 七合の量り売り

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日曜の昼、赤城山の南麓。黒塀と瓦屋根の門の前に、人が並んでいた。門の奥は緑の参道が続いていて、そば屋というより、どこかの旧家に招かれたような構えだ。

店の名は「そば処 なかや 桑風庵(そうふうあん)」。地元メディアが「赤城南麓で一番人気」と紹介するそば屋で、その人気ぶりは、後述する行列と待ち時間がそのまま証明していた。

桑風庵本店の外観。黒塀に瓦屋根の門、「そば処 なかや 桑風庵 本店」の看板。門の奥は緑の参道
桑風庵本店の外観。黒塀に瓦屋根の門、「そば処 なかや 桑風庵 本店」の看板。門の奥は緑の参道

桑風庵とは|自分で育てた蕎麦を出す、という先代の夢

赤城山の南麓は、蕎麦屋が点在することから「蕎麦街道」とも呼ばれる。桑風庵は、その一角にある。ただし、もともとこの場所のそば屋ではなかった。

先代は前橋の市街地でうどん店を営んでいた。それが、自分で育てた蕎麦を出したいという夢のために、気候と水に恵まれた赤城山麓へ店ごと移した。今の桑風庵は、その夢の続きにある。運営は株式会社なかや。代替わりして、味は受け継がれている。

だから、ここのそばは筋金入りの地産だ。そば粉は自社農場で栽培した赤城産に、地元農家の協力分を加える。それを毎朝、店で自家製粉する。しかも、そば殻ごと挽く。おかげで麺には、甘皮由来の黒い点――「星」と呼ばれる粒――が散る。挽いた粉を丁寧にふるって、香りと風味を引き出しているという。

門にかかる「なかや 桑風庵」の扁額。奥に手入れされた庭が見える
門にかかる「なかや 桑風庵」の扁額。奥に手入れされた庭が見える

建物は新潟の古民家を移築したもので、先代から受け継いだ庭を座敷から眺められる。そば屋というより料亭に近い佇まいだ。

注文は「合・升」の量り売り|七合で三人前

桑風庵のそばには、一人前という単位がない。

頼み方が独特で、五合(ごう)・七合・一升(しょう)という体積の単位で量を選ぶ。目安はこうだ。

  • 五合=二人前 2,000円
  • 七合=三人前 2,800円
  • 一升=四人前 3,600円

最小が五合、つまり二人前から。この「合・升で量り売りして大きな丸ざるに盛る」やり方は、群馬県内では桑風庵が元祖とされる。今回は真ん中の七合を頼んだ(価格はいずれも2026年7月時点)。

薬味のわさび・刻みねぎ・大根おろしを載せた竹の器と、そばつゆの徳利、取り皿
薬味のわさび・刻みねぎ・大根おろしを載せた竹の器と、そばつゆの徳利、取り皿

薬味はわさび、刻みねぎ、大根おろし。つゆは徳利で来る。ちなみに、そばつゆとは別に「変わり汁」を追加できて、かも汁やきのこ汁が各600円、おろし系が各500円。通常のつゆと変わり汁、二種類の味で食べ分けられる仕掛けだ。

そば七合 実食|そば殻を挽き込んだ、みずみずしい一枚

運ばれてきた七合は、大きな丸いせいろに山盛りだった。麺は少しグレーがかっていて、よく見ると例の「星」が散っている。

七合のそば。大きな丸いせいろに盛られた、やや灰色がかった麺。そば殻の黒い粒が見える
七合のそば。大きな丸いせいろに盛られた、やや灰色がかった麺。そば殻の黒い粒が見える

食べてみて意外だったのが、食感だ。そば殻を挽き込んだ田舎寄りのそばは、ともするとボソボソしがちだが、ここのはそうならない。角が立っているのに、みずみずしい。挽きたてを毎朝打っている店ならではの、水を含んだ感触だった。

つゆも良かった。節の出汁がしっかり効いていて、そばの香りに負けない。薬味を少しずつ足しながら、取り皿に取っては手繰る。三人前の山も、こうして少しずつ崩していくと、するすると減っていった。

かも汁|臭みのない鴨のコクで、後半を変える

途中から、変わり汁のかも汁に切り替える。

かも汁。黒い汁椀に、鴨肉のぶつ切りと白ねぎ、脂の浮いた温かいつけ汁
かも汁。黒い汁椀に、鴨肉のぶつ切りと白ねぎ、脂の浮いた温かいつけ汁

温かいつけ汁に、鴨肉のぶつ切りと白ねぎが沈んでいる。表面には鴨の脂が浮く。この鴨が、臭みがまるでなく、しっかりコクがある。冷たいそばを温かいかも汁にくぐらせると、脂とねぎの甘みが麺にまとわりついて、さっきまでの節つゆとは別の料理になる。一枚のそばで二度おいしい、というのは本当だった。

野菜天ぷら|塩とつゆ、両方で

そばに、野菜天ぷらを一枚つけた(単品1,000円)。

野菜天ぷら。黒い長皿に、かぼちゃ・なす・さつまいも・ピーマンの天ぷら。衣は薄く色白
野菜天ぷら。黒い長皿に、かぼちゃ・なす・さつまいも・ピーマンの天ぷら。衣は薄く色白

かぼちゃ、なす、さつまいも、ピーマン。衣は薄くて軽く、素材の甘みがそのまま立つ。塩でも、そばつゆでも食べたが、どちらでも野菜の味が素直に出た。

実用情報|現金のみ・売り切れ次第終了・行列覚悟で

  • 営業は平日10:30〜16:00、土日祝は夕方まで延長(公式サイト内で18時/19時の表記に揺れがあるので、確実なところは訪問前に公式Instagramか電話で確認を)。いずれも売り切れ次第終了
  • 定休はほぼ年中無休(年に数回休み)の不定休
  • 支払いは現金のみ。ネット予約はなく、平日のみ電話予約を受け付けている(当日不可)
  • 駐車場は道路を挟んで2箇所、あわせて約60台。それでも土曜は満車になる
  • 席は88席で個室なし、全席禁煙。庭を望む座敷が中心だ
  • とにかく人気店で行列は覚悟。土曜の昼で40分待ちという声もある。開店直後か平日が現実的だ

なお、店ではお土産用の干しそばも売っている(通販もあるが、この記事を書いている時点では品切れ中だった)。

まとめ|そばのために山へ移った店

「自分で育てた蕎麦を出す」ために、うどん店をたたんで山へ移る。冷静に考えるとかなり無茶な話だが、その無茶が、赤城産・自家製粉・星入りのそばという形で目の前に出てくる。七合という単位のおおらかさも含めて、桑風庵はわざわざ山を登って食べに行く価値のあるそば屋だった。

赤城の帰りに温泉と組み合わせるなら、道の駅ふじみの富士見温泉が近い。前橋のランチをもっと探すなら、魚のみやたやや、百名店出身のワンタン麺支那ソバ雲呑渦も書いている。手打ちそば好きなら、みなかみの角弥(二八と舞茸汁)、中之条の野のや(きのこ三昧)もどうぞ。

店舗情報

項目内容
店名そば処 なかや 桑風庵 本店(そうふうあん)
住所群馬県前橋市富士見町赤城山1195
営業時間平日10:30〜16:00/土日祝10:30〜夕方(売り切れ次第終了)
定休日不定休(ほぼ年中無休・年数回休み)
席数88席(個室なし・全席禁煙)
支払い現金のみ(ネット予約なし・平日のみ電話予約可)
駐車場あり(約60台)

※価格・営業情報は2026年7月時点。営業時間・定休日は変動するため、訪問前に公式情報の確認をおすすめします。

よくある質問

Q. 桑風庵のそばは一人前から頼めますか? A. 一人前単位はなく、最小は五合(二人前・2,000円)からです。五合=二人前、七合=三人前、一升=四人前という「合・升」の量り売りで、大きな丸ざるに盛られて出てきます。

Q. 桑風庵のそばの特徴は? A. 自社農場などで育てた赤城産のそばを毎朝自家製粉し、そば殻ごと挽くため、麺に「星」と呼ばれる黒い粒が散るのが特徴です。田舎寄りの見た目ですが、みずみずしい食感でした。

Q. 支払いにキャッシュレスは使えますか? A. 現金のみです。ネット予約もなく、予約は平日のみ電話で受け付けています(当日予約は不可)。

Q. 混みますか? A. 赤城南麓でも指折りの人気店で、土日祝を中心に行列ができます。駐車場約60台も土曜は満車になることがあるため、開店直後か平日が狙い目です。売り切れ次第終了なので早めの来店が安心です。

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