
日曜の昼過ぎ、雨。尻焼温泉の川の湯に足を入れたら冷たくて入れず、その足で向かったのが星ヶ岡山荘(ほしがおかさんそう)でした。川の湯を出て10分ほどで玄関に着きました。日帰り受付は12:30から。ちょうど始まって間もない時間でした。
- 日帰り入浴は12:30〜14:30(最終受付13:45)・大人900円、水・木曜定休
- 内湯と川のすぐ横にある野天風呂の2つ。どちらも同じ源泉
- 掲示の温泉利用証は循環なし・完全放流式・加温なし(水道水で加水あり)
- 湯口の岩は赤茶の析出で覆われ、体感で41℃くらい
料金・時間は2026年9月時点(公式サイトと現地照合)。
星ヶ岡山荘とは|尻焼温泉に残る2軒の宿のひとつ
尻焼温泉に現存する宿は、この星ヶ岡山荘とホテル光山荘の2軒です。星ヶ岡山荘は以前「関晴館」という名前で、館内の温泉利用証にも関晴館の名がそのまま残っています。

日帰り入浴は電話予約なしの飛び込みで受け付けてもらえました。公式サイトには「不定期でご利用いただけない日もあります」とあるので、遠方から向かう日は電話をしておくと安心です。支払いは大人900円。子供(2歳〜小学6年生)は500円。バスタオルのレンタルが300円、ロゴ刺繍入りのフェイスタオルが400円で売られています。
湯づかい|温泉利用証に書かれた「完全放流式」

脱衣所には、日本温泉協会の「温泉利用証」が掲げられています。発行は2010年、有効期限は2015年で、その横に「表示制度の見直しで更新手続きが休止されている」という協会の貼り紙が添えられています。期限は切れていますが、湯の使い方を示す資料としては十分に具体的です。
- 源泉名:営林署源泉。自然湧出、毎分358.3L、源泉温度54.6℃
- 引湯管を利用、引湯距離150m
- 給湯方式:循環装置なし・完全放流式
- 加水:あり(泉温が高いので、入浴に適温にするため常時水道水を加水)
- 加温:なし
- 新湯の注入量は毎分59.5L、注入温度44.0℃、浴槽温度42.0℃、湯の入れ替えは1日1回
- 入浴剤なし・消毒なし
54.6℃の源泉を加温せず、水で薄めて42℃前後に落とす。源泉かけ流しの中でも「加水あり」と正直に書いてある湯です。実際に入ってみると、加水されている感じはしませんでした。溶存物質1.5g/kgの湯は、薄めても湯口に析出が付く濃さがあります。
泉質データ|昭和62年の手書き分析書

ロビー脇の壁に、額に入った手書きの分析書がありました。昭和62年11月19日分析、翌年1月に群馬県衛生公害研究所が決定したものです。40年近く前の資料ですが、私が館内で見つけた分析書はこの一枚なので、この数値を記録しておきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 泉質 | カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉) |
| 泉温 | 55.6℃(自然湧出)※温泉利用証(2010年)は54.6℃。分析年が違うため1℃の差がある |
| 陽イオン | Na 183.0mg/K 13.5mg/Mg 0.31mg/Ca 264.0mg/Fe(II) 0.03mg/計460.84mg |
| 陰イオン | F 0.78mg/Cl 218.0mg/SO4 736.0mg/HCO3 26.2mg/計980.98mg |
| 非解離成分 | メタけい酸56.2mg/メタほう酸13.0mg |
| 溶存物質 | 1,510.2mg/kg(ガス性のものを除く) |
| 成分総計 | 約1,514mg/kg |
| 分析年月日 | 昭和62年11月19日 |
溶存物質が1kgあたり1.51gなので、療養泉の基準(溶存物質1g/kg以上)を満たします。陰イオンは重量比で硫酸イオンが4分の3ほど、塩化物イオンが2割強。カルシウムの多い硫酸塩泉に塩化物が乗った湯です。pHは温泉利用証の掲示値で7.9、弱アルカリ性です。
適応症については、環境省の基準で、療養泉に共通する一般的適応症(筋肉や関節の慢性的な痛み、冷え性、疲労回復など)に加え、塩化物泉・硫酸塩泉の泉質別適応症としてきりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症などが掲げられています。掲示の分析書にも旧表記で同趣旨の項目が並んでいます。効果を保証するものではありません。
内湯|石を敷き詰めた浴槽と、竹筒の湯口

脱衣所の暖簾をくぐると、床にも浴槽にも丸い石が敷き詰められた内湯が現れます。大きな窓の外は雨に濡れた緑。湯は無色透明で、底の石の色がそのまま透けて見えます。

湯口は岩を積んだ上に竹筒を渡したもので、その下の岩が赤茶に染まっています。上のほうの岩には白い析出が厚く付いていました。加水しているとはいえ、これだけの析出が付くのは源泉の成分が濃い証拠です。
湯温は体感で41℃くらい。熱すぎず、長く入っていられる温度でした。肌ざわりは硫酸塩泉らしく、さらりとしています。匂いはあるのですが、何の匂いかは言い当てられませんでした。硫黄の卵臭ではありません。強いて言えば子どものおしっこのような匂い、というのが私の印象です。

野天風呂|川のすぐ横、雨の音の中で

脱衣所の奥に「野天風呂 ここから外へ」の札が下がった引き戸があります。籠の棚の横を抜けて外に出ると、岩で縁取った浴槽が一つ。

浴槽のすぐ左を、茶色く濁った川が音を立てて流れていました。さっき足を入れて冷たかった、あの川です。川の湯で撃沈した直後に、同じ川を横目に温泉に浸かっている。この日いちばん贅沢な瞬間でした。

野天の湯口は岩を積んだ滝のような造りで、脇の丸い石に開いた穴からも湯が噴き出していました。湯加減は内湯と変わらず、熱さの差は感じませんでした。雨粒が湯面に落ち、川の音と重なる。屋根がないので雨に打たれますが、それも含めて気持ちのいい野天でした。

滞在中、入浴客は私を含めて5人ほど。それでも野天に一人になれる時間がありました。
館内のこと|21時に男女入替、ロビーに冷茶

浴室は男湯と女湯の2つで、午後9時に入れ替わります。日帰りの時間帯では入れ替えはありません。私が入ったのは、温泉利用証に「女湯内湯」と書かれていた側かもしれませんが、どちらの浴室も内湯と野天の組み合わせのようです。

ロビーには「冷たい麦茶です。どうぞお召し上がりください」の札とポットが置かれ、六合地区の観光パンフレットが並んでいました。湯上がりに一杯もらって、次の弁天の湯へ向かいました。
まとめ|川の湯に入れない日の、いちばん近い救い
星ヶ岡山荘の日帰り入浴は、同じ尻焼の湯を、屋根と脱衣所つきで、川の音を聞きながら味わえる場所でした。掲示の温泉利用証では完全放流式で加温なし、湯口の析出は濃い。900円で内湯と野天の両方に入れます。
川の湯を目当てに尻焼へ来て、水量で入れなかった日。その日にいちばん近い救いがこの宿です。受付が12:30から14:30と短いので、川の湯の様子を見てから昼食を挟み、12:30に合わせて来るのが組みやすいと思います。
▶ 星ヶ岡山荘のpH・メタけい酸・溶存物質を、群馬の他の湯と一枚の表で並べた比較は群馬の源泉かけ流し47湯 泉質比較データにまとめています。
よくある質問
Q. 星ヶ岡山荘の日帰り入浴の時間と料金は?
A. 12:30〜14:30(最終受付13:45)で、大人900円、子供(2歳〜小学6年生)500円です。定休日は水曜と木曜。不定期で利用できない日もあると公式サイトにあるので、遠方からの場合は電話で確認しておくと安心です。
Q. 星ヶ岡山荘の湯は源泉かけ流しですか?
A. 脱衣所に掲示された温泉利用証には、循環装置なし・完全放流式・加温なしと書かれています。源泉温度が54.6℃と高いため、入浴に適した温度にする目的で水道水の加水はあります。
Q. 予約なしでも日帰り入浴できますか?
A. 私は電話なしの飛び込みで入れました。ただし公式サイトに「不定期でご利用いただけない日もあります」とあるので、確実に入りたい日は事前に電話するのがおすすめです。
基本データ表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 尻焼温泉 星ヶ岡山荘(旧 関晴館) |
| 所在地 | 群馬県吾妻郡中之条町大字入山(六合地区) |
| 日帰り入浴 | 12:30〜14:30(最終受付13:45)。定休日 水・木曜。不定期休あり |
| 料金 | 大人900円・子供(2歳〜小学6年生)500円(2026年9月時点) |
| タオル | バスタオルレンタル300円・フェイスタオル販売400円 |
| 泉質 | カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)・pH7.9(温泉利用証) |
| 源泉 | 営林署源泉(自然湧出・54.6℃・毎分358.3L・引湯150m) |
| 湯づかい | 循環なし・完全放流式・加温なし・加水あり(水道水)・消毒なし(温泉利用証の記載) |
| 浴室 | 内湯+野天風呂(男女別・21時に入替) |
| 公式 | https://hoshigaokasanso.com/ |
▶ この湯を収録した 群馬の硫酸塩泉 日帰り比較 も合わせてどうぞ。



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