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応徳温泉くつろぎの湯 日帰り|白い湯の花と源泉かけ流し

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群馬の温泉を巡っていて、たまに「分析書に嘘がない湯」に出会う。加水なし・加温なし・循環なし・消毒なし——掲示の項目がぜんぶ「していません」で揃っている湯だ。中之条町・六合(くに)の道の駅にある 応徳温泉 くつろぎの湯 が、まさにそれだった。

開館の12時ちょうどに飛び込むと、浴室には誰もいない。緑がかった湯の縁を、雪のような白い湯の花がびっしり覆っていた。源泉が静かに注ぐ音だけが響く、5分ほどの独り占め。狙いどおりの一番湯だ。

応徳温泉くつろぎの湯の外観(くつろぎの湯の看板)
道の駅六合の敷地にある「くつろぎの湯」

3秒で分かる結論

  • 応徳温泉(おうどく/おうとく)「くつろぎの湯」は道の駅六合(くに)にある日帰り専用の温泉。12:00〜20:00(最終入館19:30)・水曜休・大人500円(町外者)
  • 加水・加温・循環・消毒すべて「なし」を分析書で開示=正真正銘の源泉かけ流し。加温なしで浴槽42℃前後のちょうどいいぬる湯
  • 泉質は含硫黄ーナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(pH8.1)。硫黄分(硫化水素イオンなど)を含み、硫黄を名乗れる療養泉
  • 名物は黒い湯の花。この日は白い析出物がびっしりだった
  • 支払いは現金のみ。すぐ隣に無料の足湯もある

施設情報・日帰り入浴

項目内容
施設名応徳温泉 くつろぎの湯(おうどくおんせん)
所在地群馬県吾妻郡中之条町大字小雨21-1(道の駅六合 敷地内)
日帰り時間12:00〜20:00(最終入館19:30)
定休日水曜日(祝日・ハイシーズンは営業の場合あり/臨時休業あり)
入浴料金大人(町外)500円/小学生以下・障がい者300円/町民は一般300円・小学生以下200円
支払い現金のみ
源泉名応徳の湯・昭和の湯(混合泉)
泉質含硫黄ーナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)/pH8.1
湯使い加水なし・加温なし・循環ろ過なし・入浴剤なし・消毒なし(放流式=源泉かけ流し)
併設お宿 花まめ(宿泊可)/無料の足湯

※料金・営業情報は2026年6月時点。配管トラブルでの休業歴もあるので、訪問前に電話(0279-95-3650/お宿 花まめ)で確認をおすすめします。最新は中之条町公式サイトでも確認できます。


開館12時の一番湯、緑の湯に白い湯の花

くつろぎの湯は道の駅六合の一角にある。観光ドライブの休憩がてら、ふらりと立ち寄れる気軽さがいい。建物は飾り気のない造りで、浴室もコンクリート天井の素朴なつくり。だが、湯はまったく素朴ではなかった。

応徳温泉くつろぎの湯の内湯。緑がかった湯と大きな窓
内湯。緑がかった湯に、白い湯の花が舞う

浴槽に身を沈めると、体感で41℃ほどのぬるめ。長湯派にはちょうどいい。湯にはわずかなとろみがあり、肌をなでるような浴感だ。意外だったのは、硫黄を含む湯なのに匂いがほとんどしないこと。これには理由がある(後述の成分の項で書く)。

そして何より目を引いたのが、白い湯の花。浴槽の底や縁に、粉雪をまいたように白い析出物が積もっている。湯のなかにも細かく舞っていて、手ですくうとふわりと崩れる。これは源泉に溶けていた成分が、湯が空気に触れて析出したもの。生の源泉が絶え間なく注がれている証拠だ。入って5分ほどで地元の方が2〜3人。それまでは先客もなく、湯面はまったく動いていなかった。

湯上がりには、広い休憩室でひと休みできる。「くつろぎの湯」の名のとおり、横になって昼寝もできるほどのゆとりがあった。湯と休憩をセットで、半日のんびり過ごすのに向いている。


木の樋の湯口と、固着した析出物

湯口を見れば、その湯がどんな湯かはだいたい分かる。くつろぎの湯の湯口は木の樋(とい)からの投入式で、注ぎ口のまわりは成分が固着して茶色く変色していた。長い年月、同じ場所に同じ源泉が落ち続けた跡だ。

木の樋から源泉が注がれる湯口。成分が固着している
木の樋から源泉が注ぐ。注ぎ口は成分の固着で変色
窓辺の湯口から落ちる源泉
窓辺の湯口。湯面には絶えず波紋が広がる

湯口の縁に白く付いた析出物、浴槽に積もる白い湯の花——こういう「物的証拠」が好きで温泉を巡っている身としては、たまらない湯だった。


名物は「黒い湯の花」、この日は白だった

じつは応徳温泉の名物は、黒い湯の花だ。乳白色の湯に、黒い細かな粒が舞う——それが珍しいと評判で、浴室には「黒い浮遊物は湯の花です」という趣旨の掲示まである。

浴室内の「黒い湯花の効能」掲示
浴室の掲示。「黒い湯花」が応徳温泉の名物

ところがこの日、黒い湯の花は見当たらず、代わりに白い湯の花が大量に出ていた。調べてみると、これは珍しいことではないらしい。口コミを遡ると「今日は黒い湯花は見られず」という日もあれば、「黒い湯の花が、日当たりのいい湯口付近では光の加減で白く見えた」という記録もある。源泉の状態や光の当たり方、清掃のタイミングで、見え方は日々変わる。生きた源泉だからこその表情の違いだと思えば、白い湯の花の日もまた当たりだ。

掲示にはもうひとつ、目を引く一文があった。平成4年8月に皇太子殿下がご入浴・ご休憩されたとの記録だ。素朴な道の駅の湯に、そんな来歴があるとは。


分析書の五項目、すべて「していません」

更衣室には温泉分析書が掲示されていた。源泉は「応徳の湯」「昭和の湯」の混合泉。令和5年(2023年)に分析し直された最新の数値を整理する。

応徳温泉の温泉分析書(令和5年・pH8.1・含硫黄泉)
更衣室の温泉分析書(令和5年改訂)。湯使いの五項目がすべて「していません」
項目
泉質含硫黄ーナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
分析年月日令和5年(2023年)10月17日
源泉温度52.6℃
pH8.1(弱アルカリ性)
成分総計1.01 g/kg
主な陽イオンナトリウム171.6mg/カルシウム124.6mg
主な陰イオン硫酸イオン378.5mg/塩素イオン181.0mg/硫化水素イオン5.1mg
非解離成分メタけい酸74.2mg/メタほう酸12.9mg
溶存ガス遊離硫化水素0.5mg/遊離二酸化炭素9.9mg

注目すべきは湯使いの掲示だ。加水していません/加温していません/循環・ろ過していません/入浴剤を使用していません/消毒剤を使用していません——五項目すべてが「なし」。加水・加温・循環・消毒のいずれかがあれば「源泉かけ流し」とは胸を張れないが、ここはすべてクリア。正真正銘の源泉かけ流しだ。

源泉温度は52.6℃と熱め。それを加温せずに引くだけで、浴槽では体感41℃前後のぬる湯になる。引湯の途中と湯面からの放熱で自然に冷めるわけだ。50℃を超える源泉を、加温も加水もせずにちょうどいいぬるめに届けている——長湯向きの湯加減は、この湯使いの賜物だ。

硫黄泉なのに匂いが弱い理由

含硫黄泉と聞くと、あの卵のような硫黄臭を想像するが、ここはほとんど匂わなかった。これは数値で説明がつく。硫黄分は、刺激臭のもとになる遊離硫化水素(H₂S)ガスが0.5mgとごく少なく、大半は匂いの立ちにくい硫化水素イオン(HS⁻)5.1mgやチオ硫酸イオンの形で湯に溶けている。pH8.1の弱アルカリ性ではこのバランスになりやすく、硫黄を含みながらも香りは穏やか。数字と体感がきれいに一致して、ちょっと嬉しくなった。

泉質からみた適応症と注意

応徳温泉は硫化水素イオン・チオ硫酸イオン・遊離硫化水素を合わせた硫黄分が療養泉の基準(総硫黄2mg/kg以上)を満たし、硫黄を泉質名に名乗れる療養泉にあたる。環境省の基準では、硫黄泉でアトピー性皮膚炎・慢性湿疹などが、塩化物泉・硫酸塩泉できりきず・末梢循環障害・冷え性・皮膚乾燥症などが、それぞれ適応症とされている(一般的適応症として神経痛・筋肉痛・疲労回復なども挙げられる)。ただし効能は総合的な作用で個人差があり、「治る」と断定できるものではない。
あわせて禁忌症も触れておくと、分析書では泉質別の禁忌症として皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症が挙げられている。肌の弱い方は長湯を避け、上がりは様子を見ながら入るのが無難だ。


「草津の上がり湯」と応徳年間の由来

応徳温泉の名は、平安時代の元号「応徳」(1084〜1087年)にちなむとされ、その頃の発見と伝えられる。仮に応徳年間なら900年以上の来歴ということになる。強い酸性で知られる草津のあとに、この穏やかな湯に浸かる——古くから「草津の上がり湯」として親しまれてきたという(施設掲示・通説)。pH8.1・弱アルカリ性で肌当たりがやさしいのも、その役回りにうなずける。歴史的な厳密さは案内の範囲として、こうした言い伝えが残るのも古湯の趣だ。


すぐ隣に、無料の足湯

くつろぎの湯のすぐそばには、屋根付きの足湯がある(無料)。石組みの湯口から源泉が流れ込む、開放的な造りだ。ただし正直に書いておくと、訪問時は清掃が追いついていない様子で、湯はやや汚れていた。無料で誰でも足を浸けられる開放的な造りのぶん、利用は多いのだろう。主役はあくまで内湯だ。

応徳温泉の屋根付き足湯
屋根付きの足湯。ドライブの休憩にちょうどいい
足湯の石組みの湯口から流れる源泉
足湯の湯口。石組みから源泉が流れ込む
応徳温泉足湯の案内板
足湯の案内板。応徳温泉の由来も記されている

アクセスと、六合の温泉ドライブ

くつろぎの湯は道の駅六合の敷地にあるので、駐車場・トイレ・お土産がそろっていて立ち寄りやすい。なお六合は「くに」と読む難読地名で、「ろくごう」と検索されることも多い。この六合(くに)は花敷温泉・尻焼温泉などの源泉かけ流しが点在する、群馬でも有数の温泉密集地帯。「朝に湯、昼に地のもの、午後にもう一湯」という温泉ドライブの中継点として理想的だ。

昼食なら、道の駅から車ですぐの蕎麦処野のやがおすすめ。六合産そば粉の手打ち蕎麦に、自家栽培の舞茸天ぷらが付く一膳が名物だ。湯と地のものを一日でつなぐ、六合らしい過ごし方ができる。


入浴前のワンポイント(安全に楽しむために)

くつろぎの湯は加温なしで浴槽42℃前後と入りやすい湯だが、入浴事故は油断のならないところで起きる。消費者庁は、湯温41度以下・浸かるのは10分まで、浴槽から急に立ち上がらない、飲酒後・食後すぐ・薬の服用後は避ける、といった予防策を呼びかけている。源泉かけ流しのいい湯ほど、つい長湯したくなるもの。こまめに休みながら、無理のない範囲で楽しみたい。


こんな人におすすめ・合わない人

こんな人評価理由
源泉そのままのかけ流しに入りたい加水・加温・循環・消毒すべてなしを分析書で開示
ぬるめの湯でじっくり長湯したい加温なしで浴槽42℃前後、とろみのある浴感
湯の花・析出物を愛でたい名物の黒い湯の花、日によっては白い湯の花がびっしり
ドライブの休憩に立ち寄りたい道の駅六合の敷地内。無料の足湯もあり
強い硫黄臭を期待している硫黄は含むが匂いは穏やか(H₂Sガスが少ない)
肌が敏感・乾燥肌硫黄泉は過敏肌・乾燥肌は注意。長湯は控えめに
キャッシュレスで払いたい支払いは現金のみ

まとめ

応徳温泉 くつろぎの湯は、道の駅という気軽な立地にありながら、加水・加温・循環・消毒のいずれもしない放流式。加温せず適温に落ちる、湯使いの誠実な湯だ。名物の黒い湯の花はこの日は白い析出物に表情を変えていて、生の源泉らしい一期一会がある。pH8.1の弱アルカリで肌当たりはやさしく、「草津の上がり湯」と呼ばれてきた由来にもうなずける。

大人500円・現金のみ・水曜休。配管トラブルでの休業歴があるので、出かける前にひと電話を。六合のドライブの中継に、白い湯の花の独り占めを味わいに、ぜひ。


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