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万座温泉 湯の花旅館 日帰り入浴|サルノコシカケ風呂

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青空と入道雲を背に建つ湯の花旅館の木造の外観・施設名看板
青空と入道雲を背に建つ湯の花旅館の木造の外観・施設名看板

標高1,800m、雲の上に湧く万座温泉。硫黄の濃さで知られるこの高所温泉地に、公式が「日本で唯一」とうたう「サルノコシカケ風呂」を守る湯治宿がある。「湯の花旅館(ゆのはなりょかん)」。木枠の湯船にキノコがぎっしり沈み、その脇から透明な源泉がかけ流されている。いかにも年季の入った一軒だ。

火曜の昼前。玄関で入れ違いに、大阪から来たという宿泊客が「内風呂、めっちゃ熱いですよ」と言い残して帰っていった。親切な忠告だったのだと思う。だが、なめていた。内湯「延寿の湯」は、体感で48℃あった。

日帰りは大人1,000円。加水も加温も循環もしない完全な源泉かけ流しで、pH2.5の酸性硫黄泉。しかもこの日は客がゼロ、広い湯を完全に独り占めできた。以下、湯づかいと泉質を掲示の数字で確かめながら、この湯治宿の湯を紹介する。

基本データ

項目内容
施設名万座温泉 湯の花旅館(ゆのはなりょかん)
所在地〒377-1528 群馬県吾妻郡嬬恋村大字干俣 万座温泉2401
電話0279-97-3152
日帰り料金大人 1,000円/小人 700円(2026年7月時点)。貸しタオル300円。支払いは現金のみ
営業時間日帰り入浴 9:00〜16:00(公式サイト)。※万座温泉観光協会の案内は10:00〜16:00表記。時間は変更されうるので事前確認を
定休日不定(公式に記載なし・要確認)
泉質酸性-含硫黄-マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉/pH2.5。源泉名「ラヂウム北光泉」
源泉源泉温度76℃(分析時73.1℃)→ 利用温度40〜43℃
湯づかい源泉かけ流し(放流式)。加水・加温・循環ろ過・入浴剤・消毒のいずれもなし(浴室掲示より)
お風呂内湯「延寿の湯」(男女別・サルノコシカケの薬湯槽あり)+混浴露天「月見岩の露天風呂」
標高約1,800m
訪問火曜の昼前(この日は独泉)
公式https://www.yunohana-m.com/

アクセス|有料道路を上った先の、雲の上の湯治場

万座温泉は群馬県・嬬恋村の山の上、標高1,800mに湧く温泉地だ。多くの場合、有料の万座ハイウェー(普通車1,070円・24時間通行可)などの山岳路を上っていくことになる。コンビニも食堂街もなく、夏でも空気はひんやり。この日も、山の上は羽織り物が欲しい涼しさだった。

湯の花旅館は、万座温泉の観光ホテル群からは少し離れた高台に建つ。ブルーシートの掛かった別棟や、砂利の坂道の先の総木造の建物は、真新しさとは無縁だ。だがその素朴な佇まいこそが、ここの湯と釣り合っている。同じ万座の日帰り湯治宿では、以前に訪ねた豊国館と雰囲気がよく似ている。

延寿の湯のサルノコシカケ|日本にここだけの薬湯という趣向

木枠の槽にサルノコシカケがぎっしり沈み、竹の湯口から透明な源泉が注がれる薬湯槽
木枠の槽にサルノコシカケがぎっしり沈み、竹の湯口から透明な源泉が注がれる薬湯槽

湯の花旅館の名物が、内湯「延寿の湯」の一角にあるサルノコシカケの薬湯槽だ。木枠の小さな槽に、灰色をした平たいキノコ(サルノコシカケ)がぎっしりと敷き詰められ、竹を割った湯口からは透明な源泉が絶えず注がれている。傍らには墨書きの木札。公式サイトはこの湯を「万座温泉とサルノコシカケの相乗効果が愉しめる特別な薬湯」「日本で唯一サルノコシカケ風呂が愉しめる温泉旅館」と紹介している。

サルノコシカケはマンネンタケ科などのキノコの総称で、古くから民間で健康素材として扱われてきた。ただし、湯に沈めて入浴することの効果に確たる科学的裏付けがあるわけではない。ここでは効能をうたうのではなく、「日本にここだけ」という趣向として受け取っておきたい。館主は健康志向のようで、帳場ではキノコ由来の健康食品なども扱っていた。効くか効かないかを脇に置いても、キノコが沈む湯船に透明な源泉がかけ流されている光景そのものが、この宿でしか見られない一枚だ。

泉質|ラヂウム北光泉、pH2.5の酸性硫黄泉

浴室に掲げられた温泉分析書。源泉名「ラヂウム北光泉」・pH2.5・利用状況が記載
浴室に掲げられた温泉分析書。源泉名「ラヂウム北光泉」・pH2.5・利用状況が記載

源泉名は「ラヂウム北光泉」。浴室の温泉分析書(平成5年4月2日・群馬県衛生環境研究所の分析)を読むと、その素性が数字で分かる。

  • pH 2.5:レモン果汁に近い酸性。ただし豊国館のpH2.2よりわずかに高く、肌当たりも実際に豊国館より穏やかに感じた(体感)
  • 源泉温度 76℃(分析時73.1℃):地中から湧く高温泉。これを加水せずに使う
  • 遊離硫化水素 41.8mg/kg:卵の腐ったような硫化水素臭の正体。豊国館(49.7mg/kg)よりやや控えめで、香りも刺激も一段やわらかい
  • マグネシウムイオン 106mg/kg・硫酸イオン 792mg/kg:陰イオンの主役は硫酸イオン。マグネシウムを多く含む「マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩」型が湯の花らしさ
  • メタけい酸 117mg/kg を含む(「美肌の湯」と呼ばれる成分。ただし経皮での美肌・保湿効果に確たる裏付けはなく、ここでは含有量の事実として記す)

正式な泉質名は「酸性-含硫黄-マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」。強い酸性と硫黄、この二つが万座の湯の芯だ。なお源泉名に「ラヂウム」と付くが、分析書に放射能(ラドン等)の記載はなく、放射能泉ではない。かつて中国地方で本物の放射能泉に入ったこともあるが、この湯はあくまで酸性の硫黄泉で、湯の系統がまるで違う。名の由来は掲示からは分からなかった。

環境省の基準では、酸性泉・硫黄泉はアトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・慢性湿疹などが浴用の適応症とされる(いずれも「効く・治る」ではなく、公的に位置づけられた適応症の引用)。一方で同基準は、皮膚・粘膜が過敏な人や高齢者の皮膚乾燥症を禁忌に挙げている。pH2.5の酸性に硫黄が香るこの湯は、肌の弱い人は長湯を避け、上がりに真水のシャワーで流すのがおすすめ。とくにこの日の内湯は熱く、消費者庁も入浴事故予防としてかけ湯・長湯やのぼせへの注意を促している。無理のない入り方を心がけたい。

湯づかい|万座には珍しい、露天まで完全無加水

当ブログでは湯の鮮度を測るのに、浴室の湯づかい掲示(加水・加温・循環・入浴剤・消毒の5項目)を必ず確認している。湯の花旅館はその5項目すべてが「していない/必要がない」=完全な源泉かけ流しだ。

これは万座では意外に貴重だ。同じ万座の豊国館は、源泉が高温すぎるため露天を常時加水で割っていた。湯の花旅館は源泉76℃を加水せずに使い、実際に内湯は源泉に近い激熱、露天はそれより冷めた適温と、風呂ごとにはっきり温度差があった。高温の源泉をどう冷ましているのかは掲示からは読み取れないが、水で薄めていないことは掲示が示している。湯口や槽の縁にびっしり育った析出物が、新鮮な源泉を注いではあふれさせている何よりの証拠だ。

内湯「延寿の湯」|体感48℃、源泉そのままの激熱

総木造の湯小屋。青白く濁った源泉が満ちる内湯「延寿の湯」
総木造の湯小屋。青白く濁った源泉が満ちる内湯「延寿の湯」

総木造の湯小屋に、青白く濁った湯が満ちている。これが内湯「延寿の湯」だ。無加水の源泉がそのまま注がれるため、体感で48℃ほど。分析書の利用温度は40〜43℃だが、これは平成5年の分析時の値で、この日の内湯はそれよりはっきり熱かった。大阪の宿泊客の忠告は本当だった。かけ湯で足元から慣らし、意を決して沈む。硫化水素の香りが湯気とともに立ちのぼり、強めの酸性が肌をきゅっと締める。熱いが、その硫黄の匂いが、なぜか心地よい。長くは浸かっていられないが、その分ひと浸かりの密度が濃い。

混浴露天「月見岩」|開放感と、独り占めの42℃

石組みの混浴露天「月見岩の露天風呂」。乳白色の湯と山並み
石組みの混浴露天「月見岩の露天風呂」。乳白色の湯と山並み

外に出ると、石組みの露天「月見岩の露天風呂」がある。本白根の山並みを望む開放的な造りで、乳白色〜緑がかった湯をたたえている。こちらは体感42℃ほどと長湯向き。無加水の湯をゆっくり味わうにはうってつけで、しばらく山を眺めながら浸かっていた。

露天の湯口にこびりついた黄色い硫黄の析出物(湯の花)
露天の湯口にこびりついた黄色い硫黄の析出物(湯の花)

湯口のまわりには、黄色い硫黄の析出物がこんもりと盛り上がっている。溶けきれない硫黄分が結晶になって育ったもので、これも放流式かけ流しの一級の物的証拠だ。

露天は混浴だが、この日は平日の昼前で客はゼロ、完全に独泉だった。当ブログでいう「独湯率(他の客と居合わせず独り占めできる確率)」でいえば満点。混浴が気になる人は男女別の内湯があるので安心してほしい。露天でゆっくり温まったあと、仕上げにもう一度あの激熱の内湯で体を芯まで温め直して、湯から上がった。開放的な露天で長湯し、最後に濃い源泉でビシッと締める——無加水のかけ流しだからこその入り方だ。

混浴そのものが初めてで不安な人は、入り方や逃げ道の作り方を群馬の混浴温泉 日帰りガイドにまとめてある。湯の花旅館もそこで紹介している一湯だ。

こんな人におすすめ

  • 日本唯一のサルノコシカケ風呂という珍湯を、話のタネに体験してみたい人
  • 加水も加温もしない完全なかけ流しにこだわる人
  • 豊国館より少し穏やかな、それでも十分に濃い万座の硫黄泉を味わいたい人
  • 昔ながらの湯治宿の風情と、独り占めを楽しみたい人

派手さはない。帳場も浴室も、昔ながらの湯治宿そのものだ。それでも、76℃の源泉を無加水で注ぐ酸性硫黄泉に、ほかでは出会えないサルノコシカケの薬湯まで揃って1,000円。効能書きの真偽を超えて、「この湯とこの趣向を守り続けている」こと自体が、この宿のいちばんの名物なのだと思う。万座まで上ってきたなら、豊国館とハシゴして、pH2.2と2.5、二つの万座の硫黄泉を入り比べたい。さらに絶景露天のホテル万座ホテルジュラク(pH3.2)まで回れば、万座の日帰り3軒めぐりだ。

同じ嬬恋エリアで混浴露天に日帰り入浴できる湯なら半出来温泉 登喜和荘(ワンコイン500円)、鹿沢の日帰りかけ流しならとべの湯も候補。群馬の硫黄泉を濃さ(遊離硫化水素)やpHで横断したい人は群馬の硫黄泉 日帰り比較、泉質全般で並べるなら源泉かけ流し 泉質比較もどうぞ。

万座の湯あがりに八ッ場ダムまで下りてランチにするなら、コシの強い極太うどんのうどん専科 麦の香り(八ッ場店)、洋食の気分ならやまきぼしもある。

よくある質問(FAQ)|万座温泉 湯の花旅館

Q. 湯の花旅館の日帰り入浴の料金と営業時間は?

A. 日帰り料金は大人1,000円・小人700円で、営業時間は9:00〜16:00(公式サイト)です。貸しタオルは300円、支払いは現金のみです。Web上に残る入浴料「700円」は値上げ前の旧料金とみられます(小人の700円は現行料金です)。時間は変更されることがあるので、事前に確認すると安心です。

Q. サルノコシカケ風呂とは何ですか?

A. 内湯「延寿の湯」の一角に設けられた、サルノコシカケ(キノコ)を沈めた薬湯槽です。公式サイトは「日本で唯一サルノコシカケ風呂が愉しめる温泉旅館」と紹介しています。ただし入浴による健康効果に確たる科学的裏付けがあるわけではなく、ここでは「日本にここだけ」という珍しい趣向として楽しむのがおすすめです。

Q. 湯の花旅館の泉質・お湯の特徴は?

A. 源泉「ラヂウム北光泉」はpH2.5の酸性-含硫黄-マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉です。源泉76℃を無加水で使うため、内湯は体感48℃と激熱、露天は体感42℃ほど。硫化水素の香る濁り湯で、同じ万座の豊国館(pH2.2)よりわずかに穏やかに感じます。強い酸性なので、肌の弱い方は長湯を避け、上がりに真水で流すのがおすすめです。

Q. 湯の花旅館は源泉かけ流しですか?

A. 加水・加温・循環ろ過・入浴剤・消毒のいずれもない、完全な放流式の源泉かけ流しです(浴室掲示による)。露天まで加水しないのは万座では貴重で、湯口や槽の縁に育った黄色い硫黄の析出物が、その鮮度を物語っています。

Q. 露天は混浴ですか? 女性でも入れますか?

A. 露天「月見岩の露天風呂」は男女混浴ですが、男女別の内湯「延寿の湯」もあるので、混浴が気になる方は内湯だけでも濃い硫黄泉を楽しめます。平日の日中は空いていることが多く、時間帯を選べば人と居合わせにくいです。

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