平日の昼下がり。草津の湯畑まわりでランチをどこにするか、正直あまり決めていなかった。本命は釜めしで評判の「まんてん」だったのだが、着いたのが14時過ぎ。ランチの区切りにあと一歩間に合わず、段取りの悪さを反省しながら西の河原通りをぶらついて飛び込んだのが、日本蕎麦の店「鴨鉄(かもてつ)」だった。
結論から言うと、この行き当たりばったりで頼んだ低温調理の鴨が当たりだった。一方で、名物の「群馬三大うどん食べ比べ」は面白いけれど人を選ぶ。そのあたりを、実際に食べた正直なところで書いておく。

湯畑から徒歩3分「鴨鉄」ってどんな店
鴨鉄があるのは草津町草津385、湯畑から西の河原通りへ入ってすぐ。テレビ朝日『帰れマンデー見っけ隊!!』(2025年1月13日放送)で草津グルメの一軒として紹介された店で、その名のとおり鴨と蕎麦、そして群馬三大うどんを看板にしている。
店先には地酒が一杯100円で試せる樽が並び、おみくじまで置いてある。犬連れで入れる(ペット同伴可)のも、草津の食事処では貴重なポイント。店内はテーブルとカウンターのこぢんまりした造りで、ワンオーダー制(一人一品以上)・現金のみというのは先に知っておくとスムーズだ。営業は店頭表示で8:00〜22:00(ラストオーダー21:30)※2026年7月時点。朝から開いているので、湯めぐりの前後どちらでも寄れる。
主役は低温調理の鴨|特製鴨汁ひもかわうどん
この日の一番は、迷わず特製鴨汁ひもかわうどん(¥1,500・2026年7月時点)。

赤い器に、桐生名物の幅広麺「ひもかわうどん」がたっぷり。その上に炙りの入った鴨ロースがのり、まわりにすだちの輪切りがぐるりと並ぶ。鴨の出汁がきいたあたたかいつゆに、幅広のひもかわが泳ぐ温かいうどんだ。
肝心の鴨は、まず一切れがでかい。低温調理らしくしっとり火が入っていて、噛むと大きな身からじんわりジューシー。パサつきとは無縁で、これだけで頼む価値がある。鴨の脂が溶けたあたたかいつゆに、幅広のひもかわがよく絡む。ひもかわは、うどんというより「口の中でひらひらする平麺」。あたたかいつゆを吸うと、つるっとしながらもっちりした食感になる。鴨の旨みをまとったひもかわは、すするたびに満足感が高い。
面白いのは、食べ進めるうちに、すだちの酸味がつゆに少しずつ溶け出してくること。前半は鴨の旨みをまっすぐ、後半はさっぱりと酸の効いたつゆに変わって、最後まで飽きずに手繰れた。
同じ幅広麺のひもかわは、沼田の奥利根うどん本舗でも食べていて、店ごとに厚みやコシがけっこう違う。食べ比べるとその違いが面白い。
群馬三大うどん食べ比べは「面白いが人を選ぶ」
もう一皿の名物が、群馬三大うどん食べ比べセット(¥1,700・2026年7月時点)。桐生の「ひもかわうどん」、館林の「うどん」、渋川(伊香保)の「水沢うどん」。群馬を代表する3つのうどんを、一度に少しずつ味わえる欲張りなセットだ。

コンセプトは楽しい。麺のコシも喉ごしも三者三様で、食べ比べると「同じ群馬のうどんでもこんなに違うのか」と素直に感心する。とりわけ水沢うどんのコシがすごい。つるりと締まった強い歯ごたえで、三種のなかでいちばん記憶に残った。ひもかわは、やはり冷たいほうが持ち味が出て美味しい。ただ正直に書くと、¥1,700という値段の割に一つ一つの量は控えめ。がっつり食べたい人には物足りないかもしれない、というのが実際に頼んだ感想だ。
そしてこの店の売りが味変だ。テーブルには岩塩の塊とおろし金、オリーブオイル、北海道産の山わさびが用意されていて、「岩塩+オリーブオイルで」「山わさびを添えて」と食べ方が案内されている。

正直、岩塩の塊も山わさびも自分でゴリゴリおろすのは、地味に手間。冷たいうどんだから伸びる心配こそないが、この下ごしらえは正直ひと仕事だと最初は思った。ただ、削りたての岩塩をひとつまみ乗せると、素材本来の味がすっと立つ。そこへオリーブオイルをまわしかけると、これが思いのほかよかった。塩とオイルだけで、うどんがぐっと洋風に化ける。手間の先にちゃんと発見があるタイプの一皿だ。
水沢うどんそのものをじっくり味わうなら、本場・伊香保の元祖 水沢うどん 田丸屋のほうが一枚上手。三大うどんの「入り口」として鴨鉄で全体像をつかむ、という使い方がしっくりくる。
鴨と蕎麦以外も|メニューをざっと
鴨鉄はメニューの幅が広い。鴨は今回の鴨汁うどんのほか鴨南蛮もあり、蕎麦は北海道産山わさびを添える十割蕎麦。丼ものは、上州豚のソースカツ丼や、上州の名物を一膳で食べ比べる「群馬産 三大よくばり丼セット」まである。草津名物の黒舞茸を使った天ぷらやすき焼きセットもそろう。丼から天ぷら、すき焼きまで、鴨と蕎麦の店という枠に収まらない品揃えだ。



米は新潟県産コシヒカリ、うどんの薬味には北海道産の山わさびと、素材の産地をきちんと出しているのは好感が持てる。地ビール(川場のヴァイツェン)や三種利き酒セットもあるので、湯上がりに軽く一杯というのもいい。
基本情報|アクセスと営業時間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 日本蕎麦 鴨鉄(かもてつ) |
| 住所 | 群馬県吾妻郡草津町草津385 |
| アクセス | 湯畑から西の河原通り方面へ徒歩約3分 |
| 営業時間 | 8:00〜22:00(LO21:30)※2026年7月時点・店頭表示 |
| 定休日 | 不定休 ※要確認 |
| 支払い | 現金のみ/ワンオーダー制 |
| その他 | ペット同伴可・地酒1杯100円 |
※営業時間・定休日・価格は変わることがあるので、確実に食べたいメニューがある場合は事前に確認を。
草津は湯畑を中心に無料の共同浴場から有料の外湯までそろう温泉地。どこに入るか迷ったら、日帰り入浴の入り口として草津温泉 日帰り入浴ガイドにまとめてある。また、湯畑まわりで蕎麦をもう一軒はしごするなら、自家製粉の草津 三国家も実食済みなので、あわせてどうぞ。
まとめ|鴨は当たり、食べ比べは体験として
本命に振られて飛び込んだ鴨鉄だったが、鴨は文句なしの当たり。でかくてジューシーで、ひもかわとの相性もよく、これ目当てにもう一度寄ってもいいと思えた。群馬三大うどんの食べ比べは量こそ控えめだが、水沢うどんのコシは一度体験する価値あり。岩塩とオリーブオイルの味変も、手間の分だけ面白い。「群馬のうどんの違いを一度に知る」入り口としてよくできている。
湯畑から徒歩3分、朝から夜まで開いていてペットも入れる。草津の湯めぐりの合間に、鴨で一息つくならおすすめできる一軒だ。



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