
日曜の昼、倉渕でさんまの刺身を食べた。
烏川をさかのぼった先の、倉渕町。海までは、車で走ればどちらの海岸線へ出るにも150km以上ある。その土地で出てきた刺身が、臭みのない生のさんまだった。
- 岩手県宮古から届くさんまが看板。焼き・刺し・づくしの3通り
- 米は自家製。倉渕の水で育てたコシヒカリを硬めに炊いてある
- 定食は1,100〜2,150円が中心(季節限定のいくら丼定食は3,350円)。メニュー後半は夜の酒の肴(夜の営業は要確認)
- 回転はかなり悪い。刺身をその場で捌いているとみられ、時間に余裕がないと厳しい
価格は2026年8月時点(店内メニューより)。
屋号は「みやこ」、さんまは岩手県宮古から
店の前に立つオレンジの看板に「肴、定食、深呼吸。」とある。ロゴにはさんまの絵。屋号は「みやこ」。
なぜ群馬の山奥でさんまなのか。メニューの1ページ目に、その手がかりがあった。
祖母の実家 岩手県宮古から届くさんま。 焼きと刺身、どちらも味わえる定食です。 脂の旨みと鮮度の甘みを、贅沢にお楽しみください。
みやこ=宮古。屋号と仕入れ先が、同じ地名で重なっている。
メニュー|さんまが3通り、後半は酒の肴に

さんまは焼き(1,250円)、刺し(1,450円)、両方載る「さんまづくし」(2,150円)の3通り。ほかに三陸直送の焼き鮭定食(1,250円)といくら丼定食(3,350円・季節限定)。

魚だけの店ではない。自家製チャーシュー丼定食(1,550円)、ピリ辛もつ煮定食(1,100円)、醤油を使わない唐揚げ定食(1,150円)、数量限定の懐かしいカツカレー(1,200円)と、定食屋としての幅がある。
そしてメニューの後半が「酒の肴Menu」になっている。ネギメンマ、しらすおろし、揚げ出し豆腐といったつまみが並び、〆にラーメンやカレーがある。一冊のメニューが、後ろのページへ行くほど夜の店になる。
さんまづくし定食|刺しに臭みがない

さんまづくし定食を頼んだ。焼きが一尾、刺しが一皿、これに飯と味噌汁、そして選べる小鉢が2つ付く。
刺しは新鮮で、臭みがなかった。 さんまの刺身は鮮度が落ちると独特の癖が出るが、それがない。皿に届いた時点で、銀皮がまだ光っていた。
焼きのほうは、皮が香ばしかった。ただ脂は、まだ控えめに感じた。夏の終わりに食べたさんまなので、秋が深まる頃にはもっと乗ってくるのだろうと思う。
添えられた大根おろしに醤油を垂らして、身と一緒に食べる。この組み合わせが抜群によかった。
米も自家製だった
刺身と一緒に食べていて気づいたのは、飯が硬めに炊いてあることだった。
その米について、メニューにこう書いてある。
お米も自家製です。 倉渕の水で育てたコシヒカリを使用しています。 つやと甘みがあり、どの定食とも相性ぴったりです。
魚は三陸から届き、米は自分で作る。メニューの別のページに、その2つが書いてある。
そして硬めの炊き上がりが、刺身によく合っていた。私は柔らかく炊いた飯だと刺身に負けると思っているのだが、この飯は負けていない。「相性ぴったり」という自己申告が、看板倒れになっていない。
飯だけではない。味噌汁には蟹が入っていて、脚だけでなく身も入っていた。
このあと頼んだ唐揚げ定食と合わせて2食分、小鉢は4つ並んだ。ポテトサラダ、きゅうりとマカロニの和え物、青菜の煮浸し、茄子。どれも家庭の惣菜の顔をしている。

「醤油を使わない唐揚げ」が、私には醤油の味に感じられた

唐揚げ定食も頼んだ。メニューの説明はこうだ。
醤油を使わない唐揚げ定食 だしで仕込んだ、揚げたてサクサクの唐揚げ。
衣の色は浅く、醤油で茶色く染めた唐揚げの見た目ではない。ところが食べてみると、私にははっきり醤油の味に感じられた。
だしの仕込みだけで、ここまで醤油らしい風味が出るものなのか、と思った。
下味は十分についていて、そのままで足りる。そのうえ塩胡椒が別添えで出てくるので、途中から振ってもいい。鶏はジューシーで、最後はレモンをかけて味を変えた。1つの皿で三度違う顔になる。
11時過ぎで満席、そこから先が長い

実用面でいちばん重要なのは、ここから先だ。
11時過ぎに着いた時点で、すでに満席だった。 駐車場には車が4台とバイクが並んでいた。そして最初の皿が出てきたのは、12時20分ごろ。着いてから1時間である。
理由はおそらく、刺身をその場で捌いているからだ。注文ごとにおろしていれば、料理が次々に出てくるはずがない。待ち時間の長さと刺しの鮮度は、同じことの表と裏だ。
だから、時間に余裕がない日は向かない。逆に、温泉に入ったあとで予定を決めずに来られる日なら、待ち時間は問題にならない。
温泉のあとに寄る店として
この日は先に相間川温泉ふれあい館に入ってから、こちらへ回った。車で6分、3.4km(実際に走った距離)。国道406号に出て、あとは倉渕のなかを下るだけだ。
相間川は溶存物質23.1g/kgの強塩泉で、掲示に「7分以上は入らないでください」と書いてある湯だった。長湯ができないぶん、湯上がりの時間が余る。その余った時間を、この店の待ち時間に充てるとちょうどいい。
温泉に入って、山の中でさんまの刺身を食べて帰る。倉渕という土地でしか組めない半日だと思う。
食堂そのものの空気で選ぶなら、渋川の林屋食堂(ラーメン450円の昭和食堂)も近い温度の一軒だ。
まとめ
群馬は海がない。だから刺身を食べるなら、どこかの誰かが運んできたものを食べることになる。前橋のみやたやは魚食堂だし、吉岡町の角上魚類 前橋店は鮮魚専門店だ。海なし県だから魚が食べられないということはない。ただ、生のさんまは足が早い。
この店が違うのは、そこに屋号が重なっていることだ。祖母の実家の地名。仕入れ先の地名。そして店の名前。この三つに同じ一語が出てくる飲食店を、私はほかに知らない。
そして米は自家製だった。海から遠い土地の水で育てた米が、三陸から来たさんまの刺身を受け止めている。硬めに炊いてあるのは、たぶん偶然ではない。
待たされる店ではある。11時過ぎで満席、そこから先も長い。けれど、その場でさんまをおろしているのだと思うと、待ち時間の意味が変わる。早く出てくる刺身のほうを、私は疑うようになった。
よくある質問
Q. 肴と定食 みやこの名物は何ですか? A. 岩手県宮古から届くさんまです。焼き(1,250円)、刺し(1,450円)、両方が載る「さんまづくし定食」(2,150円)の3通りから選べます(2026年8月時点)。
Q. どのくらい待ちますか? A. 私が行った日曜は、11時過ぎの時点ですでに満席で、最初の皿が出たのは12時20分ごろでした。注文ごとに刺身を捌いているためとみられ、回転は速くありません。時間に余裕を持って行くことをおすすめします。
Q. 支払いにキャッシュレスは使えますか? A. 私が訪れたときは現金のみでした(2026年8月時点)。
Q. 駐車場はありますか? A. 店の前にあります。ただし私が行った日曜は、11時過ぎの時点で車4台とバイクが停まっていました。
Q. 相間川温泉から近いですか? A. 車で6分、3.4kmです。同じ倉渕町内にあります。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 肴と定食みやこ(肴と定食 みやこ) |
| 所在地 | 群馬県高崎市倉渕町三ノ倉957-3 |
| 営業時間 | 最新の情報は公式Instagram(@miyako_kurabuchi)か電話でご確認ください |
| 定休日 | 同上 |
| 電話 | 027-378-4913 |
| 支払い | 現金のみだった(2026年8月時点・筆者来店時) |
| 駐車場 | あり(店の前) |
| 公式 | https://www.instagram.com/miyako_kurabuchi/ |



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