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尾島温泉 利根の湯(太田)日帰り|56.8℃と24.3℃の謎

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太田市尾島健康福祉増進センターの外観。尾島温泉 利根の湯はこの建物の中にある
太田市尾島健康福祉増進センターの外観。尾島温泉 利根の湯はこの建物の中にある

月曜の夕方、太田市備前島町の「尾島温泉 利根の湯」へ行った。正式な名前は太田市尾島健康福祉増進センター。市の施設で、運営は太田市社会福祉協議会が指定管理者として担っている。温泉情報サイトを見ると、施設データには「中性高張性高温泉」、古い口コミには「56.8℃」とある。ところが脱衣所の温泉分析書に書かれていた泉温は、24.3℃だった。

  • 脱衣所の分析書(令和4年11月分析)は泉温24.3℃の冷鉱泉。それでも溶存物質は1.22g/kgで、療養泉の基準(1g/kg)は超えている
  • 2007年の太田市議会で、市の部長は泉温を「56.8度」と答弁している。記録の上では、泉温が半分以下になった
  • 掲示によれば加水・加温・循環ろ過・塩素消毒あり。源泉かけ流しの湯ではない
  • 表示温度は露天40.3℃・内湯40.6℃・泡風呂40.1℃、サウナは90℃。水風呂は表示がなく、体感で20℃くらい
  • 大人は市外でも券売機で500円・3時間。市内在住なら300円

料金・営業情報は2026年9月時点(公式サイトと私の支払い額より)。

ネットの「56.8℃」と、脱衣所の「24.3℃」

脱衣所に掲示されている温泉分析書(群馬県薬剤師会・令和4年11月29日分析終了)
脱衣所に掲示されている温泉分析書(群馬県薬剤師会・令和4年11月29日分析終了)

脱衣所の分析書は、群馬県薬剤師会が令和4年11月14日に調査したもの。源泉名は「利根の湯」で、湧出地は施設と同じ備前島町196-1。動力で毎分87.5Lをくみ上げている。泉温は24.3℃(調査時の気温17℃)、泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)」と書かれていた。冷鉱泉とは、湧き出したときの温度が25℃未満の温泉のことだ。

一方、2007年12月の太田市議会で、当時の健康福祉部長は「利根の湯の泉質はナトリウム・カルシウム塩化物温泉で、泉温は56.8度」と答弁している。口コミに残る「56.8℃」は、この答弁と数字も泉質名も一致する。

同じ「利根の湯」の名で、記録上の泉温は56.8℃から24.3℃へ。答弁では「温泉」だった泉質名も、いまの分析書では「冷鉱泉」になっている。いつ、なぜ変わったのかは、市議会の会議録には出てこない。会議録から分かるのは、掘ったときの経緯までだ。同じ年の6月には、同じ部長が別の答弁で、施設は2005年10月26日の開館で、源泉は地下1,600mまで掘ったが自噴せず、ポンプでくみ上げていると説明している。

ロッカー上の温泉成分等掲示表。下段に加水・加温・循環・入浴剤・消毒の利用状況
ロッカー上の温泉成分等掲示表。下段に加水・加温・循環・入浴剤・消毒の利用状況

もうひとつ、ロッカーの上に温泉成分等掲示表があった。数値は令和4年の分析書と同じなのに、泉質の欄だけは「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(中性高張性高温泉)」と書かれている。温泉情報サイトの表記と同じだ。1枚の表の中で、上の数値と泉質の欄がかみ合っていない。

加水・加温・循環あり。循環していないのは福祉浴槽だけ

掲示表の下段「温泉利用状況」には、こう書いてあった。

  • 加水:塩化物の濃度が高いので加水しています。
  • 加温:入浴に適した温度に保つため加温しています。
  • 循環:衛生管理のため、循環ろ過装置を使用しています。福祉浴槽は循環ろ過していません。
  • 入浴剤:入浴剤は添加していません。
  • 消毒:衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています。

加水の理由は「塩化物の濃度が高いので」と書かれている。令和4年の分析書で見ると、塩化物イオンは1kgあたり512.3mg、溶存物質の合計は1.22g/kgで、低張性(体液より薄い湯)に分類される。

循環ろ過をしていないのは福祉浴槽だけ。ただし福祉浴室は予約制で、介助する人が付き添う前提の設備だ(公式サイトより)。ふらっと来た私が入れるのは、循環ろ過の浴槽ということになる。

泉質データ(令和4年11月分析)

項目内容
源泉名利根の湯(尾島温泉)
泉温24.3℃(調査時の気温17℃)
湧出量87.5L/分(動力揚湯)
pH7.72(試験室)/7.8(現地)
溶存物質1.22g/kg
主な成分ナトリウムイオン253.6mg・カルシウムイオン101.8mg・マグネシウムイオン31.6mg/塩化物イオン512.3mg・炭酸水素イオン262.6mg/メタけい酸46.6mg(いずれも1kg中)
泉質ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)
分析群馬県薬剤師会(調査 令和4年11月14日・分析終了 令和4年11月29日)

分析書の別表(環境省の平成26年の基準による)には、泉質別の適応症として「きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症」が挙がっていた。泉質別の禁忌症は「該当項目なし」。どちらも効果を約束するものではなく、分析書にそう書かれている、という話だ。

同じ太田市内の源泉湯乃庵の露天は、溶存物質10.6g/kgの高張性だった。利根の湯はその9分の1ほどで、同じ塩化物系でも別物と考えたほうがいい。

浴室|露天40.3℃、サウナ90℃、ボタンで落ちる打たせ湯

露天風呂のイメージイラスト(実際の浴室の写真ではありません)
露天風呂のイメージイラスト(実際の浴室の写真ではありません)

掲示表に載っている浴室は「男女浴槽、男女露天風呂、歩行浴槽、福祉浴槽」。浴槽ごとに温度の表示があった。

  • 露天風呂:40.3℃
  • 内湯:40.6℃
  • 内湯の泡風呂:40.1℃
  • サウナ:90℃
  • 水風呂:表示なし(体感で20℃くらい)

湯船はどれも40℃台前半に揃えてある。打たせ湯は2か所あり、ボタンを押すと湯が落ちてくる。

内湯のイメージイラスト(実際の浴室の写真ではありません)
内湯のイメージイラスト(実際の浴室の写真ではありません)

湯の肌ざわりは、さっぱりしていた。溶存物質1.22g/kgの低張性の湯に、さらに加水しているのだから、数字どおりの軽さだと思う。掲示では塩素消毒ありだが、塩素のにおいはきつくなかった。

サウナから水風呂、露天で外気に当たる流れが、1枚500円の中で一通りそろう。

このほか、水着で入る歩行浴プールもある(中学生以上・公式サイトより)。

料金は券売機で、市外でも500円・3時間

券売機で入館券を買う。私は市外の大人で500円だった。公式サイトの料金は3時間単位で、市内の大人は300円、70歳以上は市内100円・市外500円。3時間を超えると1時間ごとに100円の追加で、公式サイトには「お帰りの際は、受付で精算をしてください。」とある。11枚つづりの回数券もある。

訪れたのは月曜の夕方で、浴室には20人ほど。平日でも混んでいた。食堂はないが、飲食物の持ち込みはできる(公式サイトより)。駐車場は無料で107台。

市営無料バスの時刻表に「利根」が二回

施設前にある太田市営無料バスの停留所
施設前にある太田市営無料バスの停留所

施設の前には、太田市営無料バスの停留所がある。時刻表を見ると、停留所名が「尾島温泉 利根利根の湯」になっていた。利根が一回多い。記録の上の泉温は半分以下になったのに、停留所名の利根は倍に増えていた。

停留所の時刻表。停留所名は「尾島温泉 利根利根の湯」と印字されている
停留所の時刻表。停留所名は「尾島温泉 利根利根の湯」と印字されている

停留所の時刻表によると、藪塚駅方面の便は1日7本。ただし藪塚駅まで行くのは11:43の1本で、ほかはジョイフル本田新田店か新田下田中会館止まりだ。土日祝日と12月29日〜1月3日は運休なので、バスで来られるのは平日だけだ。問い合わせ先はバス管理センター(0276-55-4666)と書かれていた。

まとめ|56.8℃を期待すると外れる。500円の町の湯としてなら当たり

56.8℃と24.3℃の間に何があったのかは、謎のまま残った。ネットの表記を信じて濃い湯を期待すると、肩すかしを食う。いまの分析書は24.3℃の冷鉱泉で、加水・加温・循環ろ過・塩素消毒あり。源泉かけ流しを探している人の行き先ではない。

それでも、市外の大人が500円で3時間、露天とサウナ90℃と打たせ湯まで使える。月曜の夕方に20人入っていたのは、この値段と使い勝手のせいだろう。濃い塩湯に入りたい日は源泉湯乃庵、源泉かけ流しの壺湯なら天然温泉 安眠の湯。利根の湯は、さっぱりした湯とサウナを安く回したい日に向いている。サウナのある日帰り温泉をもっと探すなら群馬の日帰りサウナ温泉にまとめている。500円以下で入れる群馬の共同浴場・公営の湯は群馬の無料〜ワンコイン温泉18湯|共同浴場・外湯【日帰り】に並べた。

▶ 前橋の銭湯 利根の湯(同じ「利根の湯」の名前だが、前橋市紅雲町にある別の施設。沸かし湯の銭湯で温泉ではない・大人450円)

よくある質問

Q. 尾島温泉 利根の湯の泉質は? 56.8℃は本当? A. 館内に掲示されている令和4年11月の分析書では、泉温24.3℃・溶存物質1.22g/kgの「ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)」です。56.8℃は、2007年12月の太田市議会で市の部長が答弁した泉温と一致する数字で、現在の分析書の値ではありません。

Q. 利根の湯は源泉かけ流し? A. かけ流しではありません。館内の掲示では、加水・加温・循環ろ過・塩素系薬剤の使用がすべて「あり」です。循環ろ過をしていないのは福祉浴槽だけで、福祉浴室は予約制・介助者の付き添いが前提の設備です(2026年9月時点)。

Q. 料金はいくら? 市外の人も入れる? A. 入れます。大人は市内300円・市外500円で、3時間まで。超過すると1時間ごとに100円かかり、帰りに受付で精算します。入館券は券売機で買います(2026年9月時点の公式サイトと私の支払い額より)。

Q. サウナと水風呂はある? A. あります。訪問時の表示でサウナは90℃でした。水風呂には温度の表示がなく、体感で20℃くらいでした。露天風呂(表示40.3℃)もあるので、外気に当たって休めます。

Q. 営業時間と定休日は? A. 公式サイトでは10:00〜20:00、火曜定休(祝日の場合は翌日)と12月30日〜1月3日が休館です(2026年9月時点)。

Q. 前橋の「利根の湯」と同じ施設? A. 別の施設です。こちらは太田市備前島町にある市営の温泉施設(太田市尾島健康福祉増進センター)で、前橋市の「利根の湯」とは場所も運営も異なります。

基本データ

項目内容
施設名尾島温泉 利根の湯(太田市尾島健康福祉増進センター)
所在地群馬県太田市備前島町196-1
電話0276-60-7311
営業時間10:00〜20:00
休館日火曜(祝日の場合は翌日)・12月30日〜1月3日
料金3時間:大人 市内300円/市外500円、70歳以上 市内100円/市外500円、超過1時間ごとに100円(2026年9月時点)
支払い券売機(超過分は帰りに受付で精算)
泉質ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)
源泉利根の湯(尾島温泉)・24.3℃・87.5L/分(動力揚湯)・令和4年11月分析
湯づかい加水・加温・循環ろ過・塩素消毒あり(福祉浴槽は循環ろ過なし)
サウナ・水風呂サウナ90℃(表示)/水風呂は表示なし
駐車場無料107台
バス太田市営無料バス「尾島温泉 利根の湯」停留所(平日のみ運行)
運営太田市社会福祉協議会(指定管理者)
公式https://otashakyo.jp/shisetsu/tone-2-4/

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