
日曜の昼、沼田市薄根町。この日は同じ町内の日帰り温泉地蔵温泉 ゆに〜いくが目当てだった。ところが館内のカフェは、食事の提供が夕方から。昼メシの当てが消えた。
そこで思い出したのが「納豆スパゲティを出す店が沼田にあるらしい」という、出どころも曖昧な記憶だった。行ってみたら、国道沿いに出ていた看板がこれである。スープ納豆発祥の店。曖昧だったのは記憶のほうで、店は堂々としていた。
- 納豆を麺に和えるのではなく、納豆がスープの中にいる温かい一皿。冷製の納豆パスタとは別物
- 沼田市薄根町のパスタが看板の店。納豆「水納豆」は店の手づくりで、商標登録されている
- 麺量は乾麺でレギュラー約330g。一般的な一人前の2倍以上あるが、ハーフ・プチが選べる
- 1階は予約不可・注文を受けてから茹でる(この日は提供まで約20分)。支払いは現金のみ
- 大人同士でパスタをシェアするのは不可。分け合いたいならピザを頼むことになる
価格・営業情報は2026年8月時点(店内掲示・メニューより)。
基本データ|営業時間・定休日・駐車場・支払い方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 谷川のパスタ エルベ |
| 所在地 | 群馬県沼田市薄根町3361-1 |
| 営業時間 | AM11:00〜PM9:00ラストオーダー(店内掲示)※アイドルタイム(昼と夜の間の時間帯)も営業 |
| 定休日 | 木曜日 |
| 価格帯 | スープ納豆パスタ 1,000〜1,400円(サイズ別)。セット・ピザは別途 |
| 予約 | 1階は不可(順番制)。2階は平日限定の飲み放題プラン(3名様以上)のみ可 |
| 電話 | 0278-23-6095 |
| 支払い | 現金のみ(カード・電子マネー不可) |
| 駐車場 | あり(「第3駐車場」の看板が出ている・停めやすい) |
| 開業 | 昭和58年8月10日(店内掲示) |
| 人数制限 | 5〜6名(乳児含む)は専用メニュー、7名以上(乳児含む)は入店不可 |
開業日の掲示を読んで、少し手が止まった。昭和58年8月10日。この店は43年目の夏を迎えたばかりということになる。

外観は、なんというか異国風だ。パスタ屋と言われて思い浮かべる姿とは違う。中に入るとアジアン風というか、いろいろなものが混ざった雰囲気で、正体がつかめない。この違和感の答えは最後に出てくるので、少し待ってほしい。
エルベは完全ゆで上げの店|だから1階は予約不可、シェアも不可

卓上に「初めてのお客様へ」という案内が置いてあって、これがよくできている。Q&A形式で、この店の面倒くさそうなところが全部先回りして書いてある。
看板にも「※当店は完全ゆで上げのため、1F・2F人数制限があります。」と出ていた。その「完全ゆで上げ」について、案内はこう説明している。
オーダーをお受けしてからゆで始めるという事です。美味しく召し上がっていただく為、当店ではサラダも作り置きはせず、1つ1つ手作りしています。オーダーをお受けした順番にお作りいたしますので、混雑時はお時間をいただく場合がございます。
11時ちょうど、開店と同時に1階へ入った。日曜だったが店内は空いていた。この日の最初のほうの注文だったはずだ。それでも料理が出てきたのは約20分後である。混んでいたから待たされたのではなく、空いていても20分かかる。待ち時間は混雑のせいではなく、作り方から来ている。混む時間なら相応に見ておいたほうがいい。
面白いのは、店内自体はかなり広いことだ。席が足りなくて人数を絞っているわけではない。絞っているのは茹でる能力のほうで、だから広い店内に「1F・2F人数制限があります」という看板が立つ。
予約が取れないのも、これと地続きの話だ。案内には「1Fは順番となっておりますので、ご予約はできません」と明記されている。
パスタは大人同士でシェアできない
もうひとつ、知らないと困るのがこれ。
お子様とのシェアのみ可能です。大人同士でのパスタシェアはご遠慮いただいております。シェアご希望のお客様は、「ピザ」もしくは「アモーレメニュー」をご注文ください。
「ひと皿を半分こして2種類食べる」作戦は使えない。食べたいものが複数あるなら、サイズを落として各自で頼むことになる。分け合いたいならピザを選ぶのが確実だ。
なお案内がもう一方に挙げる「アモーレメニュー」は、屋外の看板にも「お得なアモーレメニュー」として大きく出ているのに、卓上の案内にもパスタのメニュー表にも中身が載っていない。何がどう出てくるのかは、今回は確認できなかった。
メニューとサイズ|スープ納豆パスタの値段と麺量

看板はスープ納豆パスタで、メニュー上でも「一番人気」の吹き出しが付いている。レギュラー1,400円・ハーフ1,200円・プチ1,000円の3サイズ。同じ値段で「納豆に青じそのせパスタ」があり、ミートソースパスタは各サイズ100円増しになる。
サイズの実態は、案内のQ&Aにはっきり書いてある。
乾麺で、レギュラーサイズ 約330g、ハーフサイズ 約180g、プチサイズ 約90gです。一般的な一人前は約100g〜150gといわれておりますので、ご参考になさってください。
一般的な一人前の2倍以上がレギュラー、というのを店側が自分で注記している。しかもこれは乾麺での数字だ。この日はこのあと温泉に入る予定があったので、スープ納豆はハーフ、ミートソースはプチにした。湯に浸かる前に330gは、たぶん湯船で後悔する。
セットの付け方も分かりやすい。2点セットが+450円でドリンク付き、3点セットが+650円でサラダ+ドリンク付き。サラダは単品850円、ドリンクは単品550円なので、両方欲しければ単品合計1,400円に対して3点セットは750円ぶん安い。ドリンクを頼むつもりなら、2点セットとの差額200円で850円のサラダが付く計算になる。デザートは各セットに+400円で追加できる。
実食レビュー|スープ納豆パスタ(ハーフ)の味と見た目

来た。白い丼に、澄んだ琥珀色のスープ。刻み海苔が山になっていて、その手前と奥に粉チーズが雪みたいに積もっている。青じその千切りとレモンのくし切り。麺の隙間から納豆の粒と玉ねぎが見える。
この「雪」には元ネタがあった。案内文にこうある。
エルベでしか食べられない「スープ納豆」がおすすめ! 北海道産の大粒大豆「とよまさり」を使用し、谷川水系のおいしい水に1晩つけ、室(ムロ)で低温熟成させて作った、エルベ自慢の水納豆を使用。谷川山系の冬をイメージした、パルミジャーノチーズも沢山のっています。7割以上のお客様からご注文いただく人気のメニューです。
谷川山系の冬をイメージしたパルミジャーノ。言われてから皿を見ると、たしかに白い山にしか見えなくなる。
引用にある「室(ムロ)」は、温度や湿度を管理して発酵させる専用の部屋のこと。その話は後でする。
意外だったのが、納豆の粘りがスープに出てこないことだ。丼の中で糸を引いて収拾がつかなくなる絵を想像していたが、食べ進めてもスープは澄んだままだった。途中でレモンを搾った。
食べてみて思ったのは、確かにここでしか味わえないということだった。納豆をパスタに乗せる料理自体は珍しくないが、これはスープの中にいる。似たものを他で食べた記憶が出てこない。
看板もメニューも案内も全部これを推してくるので、初回で他を頼むのはかなりの意志力が要る。
一緒に頼んだメニュー|ミートソース・サラダ・バナナジュース

サイズを落とせば複数頼める。ハーフ180gとプチ90gで、合わせて270g。レギュラー1皿の330gと大差ないじゃないか、と言われればそのとおりで、麺の総量はたいして減っていない。それでも2種類食べられるぶん、選択としては悪くなかった。
ミートソースパスタ(プチ)

正直に書くと、至って普通だった。まずいわけではない。ただ、スープ納豆の直後に食べる相手としては分が悪すぎた、という話でもある。この店で1皿しか頼めないなら、迷う必要はないと思う。
ペペロンチーノサラダ

3点セットのサラダから選んだ一品。レタスと海藻に赤唐辛子が乗っている。ニンニクオイルがかかっていて、これが美味しい。サラダも作り置きせず1つ1つ手作りしている、という案内の記述を思い出す味だった。サラダは5種類から選べる。
バナナジュース

セットのドリンクで選択。案内には「オープン以来、変わらない味」「こちらも7割以上のお客様からご注文いただきます」とあり、看板でも独立した枠を持っている。通称は「バナ中」で、これはバナナジュースの中ジョッキという意味らしい。
飲んだ感想は一言で足りる。マジでバナナ。薄めたり甘くしたりしていない、バナナがそのまま液体になったやつだった。
「水納豆」は店で作っている

そもそも水納豆とは何なのか。案内にはこう定義されている。
谷川水系のおいしい水をたっぷり含んだぬめりの多い納豆で、エルベの商標登録です。
商標登録である。つまりこの店の固有名詞で、他所では名乗れない。
作り方については、店内に「エルベ手づくり納豆 よもやま話」という掲示があった。
エルベではその納豆を室(ムロ)で精魂込め、時には夜なべをして作っています。製造期間は作りはじめてから4日間じっくり熟成させてから仕上げます。また作りたての納豆は製造過程においてアルコール臭をとるため−0℃もしくは冷凍保存をします。
作りはじめてから4日間。パスタ屋が納豆を仕込んでいる時点で相当だが、専用の室まで持っている。屋外にも「納豆作りの室」という別看板が立っていた。
水納豆は持ち帰れる

店内で水納豆そのものが売られている。1袋350g・7人用で1,450円、冷凍。掲示には「遠来のお客様の為、又はアルコール臭を取るために冷凍にしてありますが品質には問題はございません」とある。
食べ方の指定が独特なので、原文のまま載せる。
①タレは食べる直前に使用してください。②タレのかけすぎは禁物 あまったタレは隠し味で他の料理に使用してください。③雑味のない納豆の為、醤油は使わないでください。
醤油を使うなと書いてある納豆は初めて見た。
なお公式サイトには水納豆の注文フォームがあり、店まで行かなくても取り寄せられる。3袋以上から、5袋以上で送料無料、支払いは代金引換のみ(2026年8月時点・公式サイトより)。冷凍で届くので「自然解凍または冷蔵庫で解凍させてお召し上がりください」とのこと。電子レンジでの解凍は食感が悪くなるため勧めていない。
ELBE PIZZA|全8種・厚生地と薄生地が選べる
同じ壁にピザのメニューも出ていた。シェアしたい人の受け皿がこれだ。マルゲリータが1,900円から、和牛のハニーマスタード風味が3,300円まで、全8種。生地は厚めと薄めから選べる。
店名の答え合わせ

冒頭に書いた「異国風の外観」と「いろいろ混ざった店内」の話に戻る。答えは箸袋に刷ってあった。
店名 エルベの由来 その昔ドイツでは戦争が相つぎ幾度かエルベ川のほとりにおいて平和締結の条約がとりかわされました、エルベでかわした約束は永遠に守られるという・・・
エルベ川は、チェコに源を発してドイツを流れる川である。谷川水系の水で仕込んだ日本の納豆を、イタリアのパスタに乗せて、中欧の川の名前を掲げた店で出している。
もう一方の「いろいろ混ざった店内」にも答えがあった。卓上の案内によれば、店内中央の飾りは「大阪よりお越しのカップル様が記念に飾っていかれて現在に至っております」とのこと。混ざって見えるのは、混ぜたからではなく積もったからだった。店の雰囲気が一言で説明できないのは当然で、そもそも一言で説明できるものを作っていない。
温泉とセットで回るなら
エルベと同じ薄根町には日帰り温泉地蔵温泉 ゆに〜いくがある。ただし前述のとおりここの館内カフェは食事の提供が夕方からで、開始時刻は日によって変わる(訪問した日は17時からだった)。昼に湯を目当てで行くなら、飯はこの店で先に済ませておくのが正解になる。市内には家族風呂のある日帰り温泉もあり、湯とセットで組みやすいエリアだ。
沼田IC周辺から市街にかけては、トマトラーメンの町中華、無化調の白湯ラーメン、ひもかわうどんの名店と、既に紹介した店が揃っている。そこから国道120号を老神温泉方面へ20分ほど走れば、天ぷらが皿からはみ出すうどん定食の食事処もある。沼田は「温泉の帰りに寄る町」ではなく「飯のために降りる町」だと、行くたびに思う。
まとめ|沼田で納豆スパゲティを食べる前に知っておく4つのこと
納豆をパスタに乗せる店はあっても、納豆を4日かけて自分で作り、それをスープに沈めて出す店はそうそうない。公式サイトには「エルベが30年以上にわたり研究をし続け水納豆という商品が出来上がりました」とある。看板の「発祥」を裏づける資料までは私はたどり着けなかったが、少なくとも「ここが元だ」と名乗るだけの積み上げはあった。
注意点をもう一度だけ。1階は予約できない・大人同士のパスタのシェアは不可・空いていても出てくるまで20分。そして支払いは現金のみ。これだけ知っていれば、待ち時間も含めて納得ずくで座っていられる。知らずに来ると、全部に一回ずつつまずくことになる。
サイズはハーフかプチでいい。レギュラー330gは、この店を2回目以降に訪れる人の権利だと思うことにした。
谷川のパスタ エルベのよくある質問(FAQ)
Q. 谷川のパスタ エルベは予約できますか? A. 1階席は順番制のため予約できません。2階席は平日限定の飲み放題プラン(3名様以上)に限り予約を受け付けています。また7名以上(乳児含む)は入店できません。
Q. スープ納豆パスタの量はどのくらいですか? A. 店内の案内によると乾麺でレギュラーサイズ約330g、ハーフサイズ約180g、プチサイズ約90gです。一般的な一人前は約100g〜150gとされているため、レギュラーは2倍以上の量になります。
Q. 支払いにクレジットカードは使えますか? A. 2026年8月時点では現金のみで、カードや電子マネーは使えません。現金を用意していってください。
Q. 水納豆とは何ですか? A. 谷川水系の水をたっぷり含んだぬめりの多い納豆で、谷川のパスタ エルベの商標登録です。北海道産の大粒大豆「とよまさり」を水に一晩つけ、室(ムロ)で低温熟成させて作られます。店内の掲示によると製造期間は作りはじめてから4日間です。
Q. 谷川のパスタ エルベの営業時間と定休日は? A. 店内掲示によると営業時間はAM11:00からPM9:00ラストオーダーまでで、昼と夜の間の時間帯も営業しています。定休日は木曜日です。



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