
土曜の昼前、倉渕の奥へ。せせらぎの湯から国道406号をさらに西へ、権田の交差点で二度上峠へ向かう県道54号に入ると、石張りの洋風建築が現れる。高崎市の宿泊施設「はまゆう山荘」。ここの日帰り湯が、数字で語れる「鉄の湯」だった。
- 泉質は含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物冷鉱泉。鉄イオン57.1mg/kg(現地分析書より)
- 湯口から21.5℃の冷たい源泉がそのまま注がれ、鉄の匂いがする
- 日帰り入浴は大人570円・中学生360円・小学生200円・現金のみ(11:00〜19:00・受付18:00まで)
- ランチの名物は横須賀市外で唯一という海軍カレーセット1,300円
価格・営業情報は2026年8月時点(現地掲示・受付確認より)。
「含鉄」を名乗れる湯は、数字が違う
館内に掲示された温泉分析書から引く。源泉名「はまゆうの湯」(倉渕川浦温泉)、泉温21.5℃の冷鉱泉、pH7.0。溶存物質6.6g/kg。そして鉄(Ⅱ)イオン 57.1mg/kg(平成30年分析・群馬県薬剤師会)。
泉質名に「含鉄」を冠するには、総鉄イオン20mg/kg以上という基準がある。はまゆうの湯はその約2.9倍。公式サイトも「鉄分を豊富に含んだ群馬唯一の泉質です」と掲げる湯だ。
面白いのは、同じ倉渕の相間川温泉ふれあい館との対比だ。あちらも茶褐色で鉄を含む(11.6mg/kg)が、基準の6割弱で「含鉄」は名乗れない。かわりに溶存物質23.1g/kgの強塩泉。同じ町の同じ茶褐色でも、塩が主役の相間川、鉄が主役のはまゆうという役割分担が、分析書の数字でそのまま読める。
湯口の源泉は冷たい

浴室は内湯一本で、露天はない。そのかわり窓一面に森が広がっていて、雨の日でも借景が濃い。
湯口に手をやると、出てくる源泉が冷たい。21.5℃の冷鉱泉がそのまま注がれていて、鼻を近づけると鉄の匂いがする。浴槽の中では、噴出口からあたたかい湯がジェットバスのように出ていた。掲示にある加温・循環ろ過の湯だろう。冷たい生源泉の投入とあたたかい湯——この2つの併用で湯温を保っているように見えた。
湯づかいは掲示の逐語で書いておく。「この温泉は加水・加温をしております」「この温泉は衛生管理の為循環ろ過をし、レジオネラ菌対策等により塩素で滅菌しています。」「この温泉は季節により41℃〜42.5℃で管理しています。」源泉かけ流しではない。ただ、冷鉱泉に加温は必須であり、そのうえで非加温の生の源泉に湯口で触れられるのは、冷鉱泉の湯としては誠実な設計だと思う。

物的証拠は湯口まわりに揃っている。黒い石の湯口はオレンジ色の鉄析出でコーティングされ、縁石も赤茶に染まっている。鉄の湯が長年流れ続けた跡だ。
体感は「色の割にさっぱり」

湯は茶褐色の濁り湯。ただ、見た目の重さに反して感触はさっぱりしていて、鉄の匂いもキツくない。数字を見れば納得で、溶存物質6.6g/kgは相間川(23.1g/kg)の3割以下。色の濃さと成分の濃さは別物だ、というのがこの湯の教訓になる。
現地掲示の分析書別表では、泉質別適応症としてきりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症が挙げられている(環境省基準・泉質別禁忌症は該当項目なし)。
日帰りの実用情報

- 日帰り入浴は11:00〜19:00(受付18:00まで)・大人570円・中学生360円・小学生200円。高崎市在住/在勤は割引あり(証明の提示が必要)
- 日帰り入浴の支払いは現金のみ(受付で確認。ランチはPayPayが使えた。宿泊など高額の支払いはカード等が使える)
- 駐車場は、日帰り客用が道路際、坂を登った建物そばは宿泊者用
- ホテルの大浴場なので、入口から浴室まで館内を結構歩く
なお、日帰り入浴の時間はWeb上の情報源によって食い違っているが、入口の掲示は上記のとおりだった。どこかで見た「11:30〜13:30」はランチ営業の時間で、入浴時間ではない。
ひとつ注意があるとすれば、宿泊施設なので団体利用が入ると風呂も食事も利用が制限されることがある点だ。私が行った日も昼過ぎから学生の団体が入る予定で、それまでに食べ終えるよう案内された。確実に楽しみたい日は、事前に電話(027-378-2333)で聞いておくのが安全だと思う。
海軍カレーセット1,300円|横須賀市外で唯一

昼はそのまま館内のレストランへ(ランチは11:30〜13:30)。名物はメニューボードに「横須賀市以外ではここでしか食べられません」と書かれた海軍カレーセット1,300円。銀のカレーボートで出てきて、サラダと牛乳が付く——この牛乳とセットの出し方が海軍カレーの流儀だ。
カレーは人参、マッシュルーム、牛肉など。辛くなく、とろみがある。懐かしい方向の、丁寧なホテルカレーで、牛乳がよく合う。頼んでもいないのに当然の顔で出てきた牛乳の説得力に、食べ終わる頃には敬礼していた。

うどん(かき揚げは別皿・900円)と本日のパスタ(サラダ付・1,300円)も食べた。うどんは甘めのつゆで、かき揚げを沈めるタイミングを自分で決められる別皿方式。この日のパスタはベーコンと野菜のスープパスタで、量が多いのにあっさり食べられる。3品で3,500円。ドリンクバーは500円だが、給茶機のお茶は無料という掲示があった。

なぜ山の中で海軍カレーなのかは、館内の展示室が答えてくれる。倉渕は幕末に横須賀製鉄所(造船所)を主導した小栗上野介の終焉の地で、その縁で横須賀とつながっている。壁一面の「小栗かるた」を眺めてからカレーを食べると、山奥の海軍カレーが急に筋の通った一皿になる。
倉渕3湯の回り方
同じ日に回るなら、せせらぎの湯(相間川と同じ源泉を使う公営湯・730円)→はまゆう山荘(昼=海軍カレー+鉄の湯)が組みやすい。強塩泉の本丸相間川温泉ふれあい館を軸にするなら、食堂の昼は肴と定食 みやこという手もある。倉渕だけで湯と飯の半日が二通り組める。茶色い湯の系譜は群馬のにごり湯まとめにも収録した。高崎市街へ下りる帰り道は、上豊岡町の魚平で刺身を買って締めた。
まとめ
鉄イオン57.1mg/kgの数字、オレンジに染まった湯口、冷たい源泉、そして海軍カレー。570円の日帰り湯としては、話の種が多すぎるくらいだ。
濃い塩の相間川、同じ源泉を長湯向きに整えたせせらぎ、そして別の源泉から鉄を汲むはまゆう。ひとつの源泉を分け合う2湯と、鉄の独立峰が1湯。同じ町で湯の顔がここまで分かれるから、全部行く理由がある。山を下りる頃には、手の甲からうっすら鉄の匂いがした。私はこれを、今日の領収書だと思うことにした。
▼ 倉渕町は高崎市|ふるさと納税で高崎の返礼品を
はまゆう山荘のある倉渕町は、2006年に高崎市へ編入された地域です。高崎市のふるさと納税返礼品には、地元の農産物や加工品が並びます。
※ 楽天ふるさと納税のリンクはアフィリエイトリンクです
▼ 山の湯に泊まるなら|はまゆう山荘の宿泊予約
※ じゃらんnetへのリンクは LinkSwitch により自動でアフィリエイトリンクに変換されます(楽天トラベルは直接のアフィリエイトリンク)
よくある質問
Q. はまゆう山荘の日帰り入浴の時間と料金は? A. 11時から19時まで(受付は18時まで)、大人570円・中学生360円・小学生200円です。高崎市在住・在勤の方は証明の提示で割引があります(2026年8月時点・現地掲示と受付確認より)。
Q. 支払いにカードや電子マネーは使えますか? A. 日帰り入浴は現金のみです(受付で確認)。ランチは私が支払った際はPayPayが使えました。宿泊など金額が高い支払いにはカード等が使えるとのことでした。
Q. 露天風呂はありますか? A. ありません。内湯一本ですが、窓一面に森が広がる造りです。
Q. 海軍カレーは何時から食べられますか? A. ランチ営業は11時30分から13時30分です。海軍カレーセットは1,300円で、サラダと牛乳が付きます(2026年8月時点)。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | はまゆう山荘(倉渕川浦温泉) |
| 所在地 | 群馬県高崎市倉渕町川浦27-80 |
| 日帰り入浴 | 11:00〜19:00(受付18:00まで)・大人570円・中学生360円・小学生200円・高崎市在住/在勤割引あり |
| ランチ | 11:30〜13:30(海軍カレーセット1,300円ほか) |
| 電話 | 027-378-2333 |
| 支払い | 日帰り入浴は現金のみ(受付確認)。ランチはPayPay利用実績あり・宿泊など高額はカード等可 |
| 泉質 | 含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物冷鉱泉(低張性中性冷鉱泉) |
| 源泉 | はまゆうの湯(泉温21.5℃・湧出量26.6L/分・動力揚湯・現地分析書より) |
| 風呂 | 内湯のみ(露天なし)・湯温は季節により41〜42.5℃で管理(掲示) |
| 駐車場 | 日帰り用は道路際・宿泊者用は建物そば |
| 公式 | https://hamayu.org/ |



コメント