水風呂に入るとき、私は温度計の前に湯口を見る。温泉で湯口をのぞく癖が、水風呂にまで及んでいる。この水はどこから来たのか。源泉なのか、地下水なのか、それとも掲示のない水なのか。温度は二の次で、水の出どころが分かる水風呂が好きだ。
群馬のサウナと温泉を回ってきて、水風呂の「水」が施設ごとにまるで違うことに気づいた。源泉をそのまま張った水風呂がある。源泉の冷泉に体感20℃で沈める温泉がある。天然地下水を汲み上げてかけ流す水風呂がある。6℃の桶と公式9℃以下のシングルがある。立ったまま肩まで沈む水深120cmがある。
この記事は、実際に入った施設のなかから「水風呂に尖ったところがある9軒」を、水源・温度・深さで整理したものだ。水源は現地の掲示か公式の文言で確認できたものだけを書き、掲示が見つからなかった施設は見つからなかったと書く。「地下水かけ流し」と「源泉かけ流し」は別の言葉なので、この記事でも混ぜない(ここでいう地下水は、施設の説明や掲示で温泉として扱われていない水のこと)。

早見表|9軒の水源・温度・深さ
温度の「実測」は訪問時に温度計を目視した値、「体感」は私の肌の感覚、「公式」はサイトや館内掲示の数字です。水源の「掲示なし」は、私が水源の掲示を確認できなかった施設です。
| 施設(市町村) | 尖り | 水源 | 水風呂の温度 | 料金の目安 | 入れる条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 釈迦の霊泉(みなかみ町) | 源泉そのまま | 源泉(冷鉱泉・加温なし) | 源泉22.2℃(槽の温度計は未確認) | 1,500円 | 特記なし |
| 嬬恋高原温泉 つつじの湯(嬬恋村) | 源泉の冷泉風呂 | 源泉(公式「源泉100%かけ流しの冷泉」・掲示は施設全体で加温/循環/消毒あり) | 体感20℃(公式20〜25℃) | 750円 | 特記なし |
| 花湯スカイテルメリゾート(渋川市) | 地下水かけ流し | 100%天然地下水(公式) | 体感23℃前後(夏の訪問時) | 平日750円・土日祝850円 | 特記なし |
| 森サウナVIHTA(桐生市黒保根) | 地下水かけ流し・貸切 | 天然地下水(施設の説明) | 体感17〜19℃ | 貸切150分 平日10,000円〜 | 完全予約制・水着必須 |
| 源泉 湯乃庵(太田市) | 地下水 | 地下200mの地下水(掲示) | 実測20℃ | 平日500円 | 特記なし |
| 天然温泉 天神の湯(高崎市) | 井戸水×47℃の生源泉 | 井戸水 | 体感15℃前後(温度計は未確認) | 平日950円・土日祝1,100円 | 特記なし |
| 毎日サウナ 前橋本店(前橋市) | 6℃シングル+はしご | 特定なし(掲示は「群馬の山々が育んだ」水) | 実測6℃・15.8℃ | 60分 平日1,100円 | 男性専用(レディースデーのみ女性可) |
| 観音山サウナ蒸寺(高崎市) | シングル2槽 | 掲示なし | 公式9℃以下・14℃前後 | 120分 平日1,700円〜 | 男性専用(レディースデーは不定期) |
| 温窟サウナかま蔵(伊勢崎市) | 水深120cm | 掲示なし | 約15℃(日により14℃) | 60分 平日1,200円 | 男性専用(毎月第2火曜はレディースデー) |
料金は各記事の訪問時点の値で、改定されることがある。「入れる条件」は性別と予約の制限だけを書いた。
源泉の水風呂|釈迦の霊泉(源泉そのまま22.2℃)とつつじの湯(源泉の冷泉・体感20℃)
温泉の源泉を冷たい槽として張っている施設は、私が浸かった範囲で2軒(下仁田の清流荘にもあるが、私は入っていないので番外に)。ただし中身は違う。釈迦の霊泉は、湧き出す温度がもともと低い源泉を加温せずに張った「源泉そのまま」。つつじの湯は、公式が「源泉100%かけ流しの冷泉」と説明する20℃台の槽で、温度の作り方は掲示から読めない。
釈迦の霊泉(みなかみ)|22.2℃の冷鉱泉に加温なしで浸かれる
釈迦の霊泉の内湯は2槽あり、ひとつは源泉を約41℃に加温した主浴槽、もうひとつは源泉22.2℃をそのまま張った水風呂だ。2026年8月時点で稼働を確認し、ほかの季節は確かめていない。
冷鉱泉(湧き出す温度が25℃未満の温泉)だから、加温しなければ、ほぼ源泉の温度のまま水風呂になる。同じ源泉を「温めた槽」と「温めない槽」で入り比べられる構成で、冷たさはキンキンの水風呂とは別物の、やわらかい冷たさだった。41℃の加温槽で温まり、源泉水風呂で長めに冷まし、また加温槽に戻るループが延々と続けられる。
サウナは低温のミストサウナだけなので、サウナ目当てで行く店ではない。それでも水の出どころにこだわるなら、群馬で最初に挙げる水風呂だと思う。
嬬恋高原温泉 つつじの湯(嬬恋)|源泉の冷泉風呂に体感20℃、サウナ88℃から4、5回沈む
主役は冷泉風呂で、私の体感は20℃くらい。公式サイトは「20〜25度に保たれた源泉100%かけ流しの冷泉」と説明し、浴室の掲示にも「かけながし」とあった。緑がかった茶色で、内湯や露天よりはっきり濁る。サウナは温度計で88℃と穏やかで、この日はサウナ、冷泉、露天、内湯、冷泉、と往復して、冷泉には4、5回入った。
ひとつ分からないことがある。脱衣所の成分表の源泉温度は38.5℃で、加水はしていない。38.5℃の源泉がなぜ冷泉風呂では20℃台なのか、冷やしているのか、いまの湧出温度が分析当時と違うのか、掲示からは読み取れなかった。施設全体の掲示には加温・入れ替え時の循環・塩素消毒があり、浴槽ごとの書き分けはないので、冷泉風呂にそれが及ぶかも確認できていない。「源泉の冷泉」であることは公式と掲示で確かだが、釈迦の霊泉のような「源泉そのまま」とは書かない。
地下水の水風呂|公式か掲示で「地下水」と確認できた4軒
温泉ではないけれど、水道水でもない。地下から汲み上げた水を使う水風呂が、私が入った中では4軒あった。そのうち「かけ流し」と公式や施設が説明しているのはスカイテルメと森サウナVIHTAの2軒で、湯乃庵と天神の湯は「地下水であること」までが掲示や公式で分かっている。
花湯スカイテルメリゾート(渋川)|「100%天然地下水掛け流し」体感23℃前後で何セットでも
公式が「100%天然地下水掛け流し」と掲げる水風呂で、冷却機を使わないので水温は季節で変わる。夏の訪問時は体感23℃前後だった。冷たさで競う水風呂というより、95℃の檜サウナとの往復を何セットでも回せる温度に設計されていると私は解釈した。長く浸かる水風呂の代表格で、交互浴の回数で整えたい日に向く。

森サウナVIHTA(桐生・黒保根)|天然地下水を汲み上げてかけ流す貸切の水風呂
水沼ヴィレッジの貸切薪サウナで、デッキに青いタイルの水風呂がある。施設の説明では、この水風呂は温泉の源泉ではなく、天然の地下水を汲み上げてかけ流している。冷たさは体感で17〜19℃くらいで、角のない柔らかい当たりだった。ウグイスと川音を聞きながら、誰にも気兼ねせず水風呂と外気浴を往復できる。
源泉 湯乃庵(太田)|地下200mの地下水、温度計で20℃、平日500円
館内の掲示によると、内湯と水風呂には地下200mから汲み上げた地下水を使っている。水風呂は温度計で20℃。穏やかな温度で、88℃のサウナとの組み合わせに無理がない。平日500円で高張性の濃い塩の湯と地下水の水風呂まで付くのは、太田の強みだと思う。
天然温泉 天神の湯(高崎)|井戸水の水風呂と47℃の生源泉を往復する
ここの水風呂は井戸水で、体感は15℃前後(温度計は確認し忘れた)。尖っているのは水風呂単体より、その先にある47℃の生源泉(消毒なしで浴槽に注がれる源泉)との往復のほうだ。サウナ、井戸水の水風呂、47℃の源泉。冷え切った皮膚に生源泉の熱が刺さって、また水風呂に戻りたくなる。朝6時から回せる。
冷たさで尖る|シングルの水風呂がある2軒
シングルとは、水温が一桁℃台の、とくに冷たい水風呂のこと。群馬で私が入ったシングルは2軒ある。どちらも浴室は撮影禁止なので、中の様子は各記事のイメージイラストで。
毎日サウナ 前橋本店(前橋)|6℃の桶と15.8℃の檜を「はしご」する
水風呂は2種類。桶が6℃、檜が15.8℃で、どちらも訪問日の温度計の実測だ。館内の掲示もすすめる「水風呂のはしご」がこの店の正解で、6℃の桶で一気に締めてから15.8℃の檜で肩まで沈む。檜の水風呂は水深990mm(公式)と深く、薪ストーブの95℃と組み合わせると、外気浴なしの内気浴でも不足を感じなかった。
観音山サウナ蒸寺(高崎)|公式9℃以下のシングルと14℃前後の2槽
薪108℃の寺サウナに、水風呂は2槽。ひとつは公式9℃以下のシングル、もうひとつは14℃前後(公式表示)のマイルドな槽だ。水風呂は「水行(すいぎょう)」と呼ばれ、館内は完全黙浴。この日は水風呂で締めたあと、あまみ(サウナのあとに肌へ出る赤と白のまだら模様)がふくらはぎまで出た。通っているサウナでここまで出たことはなく、それだけ強く蒸されて、しっかり締まったのだと思う(あくまで個人の体感)。
深さで尖る|温窟サウナかま蔵(伊勢崎)は水深120cmに立ったまま肩まで沈む
温度は約15℃(日によって14℃ほど)で、シングルほど攻めてはこない。尖っているのは深さだ。水深120cmほどあり、浅い水風呂のようにしゃがんで肩を無理やり沈める必要がない。ただ立っているだけで全身が冷水に包まれる。洞窟をイメージした土壁ドームのサ室でセルフロウリュをしてから、この水風呂に肩まで沈み、42℃の壺湯で芯を戻して外気浴へ。水風呂と外気浴の間に壺湯を一枚はさめるのがかま蔵ならではの順番だ。

番外|9軒に数えなかった水風呂
水源の掲示を見つけられなかった施設は、この記事では「掲示なし」と書いた。水道水だと決めつけているわけではない。七福の湯 前橋店の水風呂は温度計で18℃、明和温泉 川俣の湯は表示21.4℃で、どちらも温度は分かるが水源は分からない。ナウサ(前橋)は開業時の公式リリースに「チラー付きのシングル水風呂」とあり、金曜昼の訪問時の実測は21.0℃だった。数字が尖っていなくても、サウナとの組み合わせで気持ちいい水風呂はいくらでもある。施設ごとの記録は群馬の日帰りサウナ温泉まとめにまとめてある。
逆に水源ははっきりしているのに数えなかったのが、下仁田温泉 清流荘だ。露天に加温していない源泉そのままの槽(槽は訪問時に約19℃、源泉は13.7℃の冷鉱泉)があるが、私は長く浸かるには冷たすぎて入らなかったので、9軒に数えていない。サウナもない。源泉の冷たい槽に触れてみたい人は清流荘の日帰りレポートを。
冷たい水風呂と深い水風呂の注意
一桁℃の水風呂と深い水風呂は、体への負荷が大きい。冷たい水に急に入ると血圧や心臓に急な負担がかかることがあるので、かけ水で手足から慣らしてから、短時間で上がる。深い水風呂も同じだ。持病のある方は医師に相談してほしい。
サウナ後の短時間の水風呂が血管の指標にどう働くかは、2026年の日本温泉気候物理医学会雑誌の論文を水風呂と温冷交代浴の論文レビューで読んだ。健康な若い男性11名の試験では、17℃の水風呂1分を足しても血管指標の悪化はなく、上乗せ効果もなかった。夏場の熱中症との付き合い方は夏サウナと熱中症のガイドにまとめている。
まとめ|水源で選ぶか、温度で選ぶか
- 水の出どころで選ぶなら、源泉そのままの釈迦の霊泉、源泉の冷泉風呂のつつじの湯と、地下水のスカイテルメ・森サウナVIHTA・湯乃庵・天神の湯(かけ流しと説明があるのは前の2軒)
- 冷たさで選ぶなら、6℃の毎日サウナと公式9℃以下の蒸寺。どちらも2槽あるので、はしごで調整できる
- 深さで選ぶなら、水深120cmのかま蔵。15℃に立ったまま肩まで沈む
「掛け流し」という言葉は、水風呂でも主語が要る。地下水をかけ流す水風呂と、源泉をかけ流す温泉は別のものだ。次に水風呂に入るときは、温度計の前に、湯口か掲示で水の出どころを確かめてみてほしい。
関連記事もどうぞ。
- 群馬の日帰りサウナ温泉まとめ — この記事の9軒のうち8軒を含む19軒を施設単位で(釈迦の霊泉は未収録)
- 水風呂と温冷交代浴の論文レビュー — サウナ後の水風呂は心臓に悪いのかを論文で
- 源泉かけ流しの見分け方 — 掲示で読む5つの型。「掛け流し」の主語を区別する元の話
よくある質問(FAQ)
Q. 群馬で源泉の水風呂に入れる施設はどこですか?
A. 私が実際に浸かった中では2軒です。加温なしの「源泉そのまま」は、みなかみ町の釈迦の霊泉だけで、源泉22.2℃の冷鉱泉を張った水風呂が内湯にあり、2026年8月時点で稼働を確認しました(ほかの季節は未確認。下仁田温泉 清流荘にも加温していない源泉の槽がありますが、冷たすぎて私は入っていません)。嬬恋村のつつじの湯は、公式が「20〜25度に保たれた源泉100%かけ流しの冷泉」と説明する冷泉風呂で、私の体感は20℃くらいでした。源泉38.5℃との差がどう作られているかは掲示からは分かりません。
Q. 群馬で地下水の水風呂があるサウナはどこですか?
A. 私が入った中で、公式または館内掲示で地下水と確認できたのは、花湯スカイテルメリゾート(渋川・100%天然地下水掛け流し・体感23℃前後)、森サウナVIHTA(桐生・天然地下水・体感17〜19℃)、源泉 湯乃庵(太田・地下200mの地下水・温度計20℃)、天神の湯(高崎・井戸水・体感15℃前後)の4軒です。このうち「かけ流し」と説明しているのはスカイテルメと森サウナVIHTAの2軒です。
Q. 群馬でシングルの水風呂がある施設はどこですか?
A. 毎日サウナ 前橋本店(桶6℃と檜15.8℃の2種・訪問日の温度計実測)と、観音山サウナ蒸寺(公式9℃以下のシングルと14℃前後の2槽)です。ナウサ(前橋)は公式リリースに「チラー付きのシングル水風呂」とありますが、私の訪問時の実測は21.0℃でした。
Q. 水風呂の「地下水かけ流し」と「源泉かけ流し」は同じ意味ですか?
A. 違います。源泉かけ流しは温泉の源泉を浴槽に注いで流す湯づかいで、地下水かけ流しは、温泉として扱われていない地下水を注いで流す水風呂です。森サウナVIHTAのように、施設側が温泉の源泉と天然地下水を区別して説明している例もあります。この記事では両者を混ぜずに書いています。



コメント