95℃の檜サウナで汗をかき、「100%天然地下水掛け流し」の水風呂に沈む。上がったら、また檜に戻る。土曜の朝、この往復だけで一日が完成してしまった。
渋川の「花湯スカイテルメリゾート」——2019年までの旧称「スカイテルメ渋川」のほうが通りがいいかもしれない。円盤型の建物で知られるあの日帰り温泉である。サウナ目当てで朝風呂コースに滑り込んだら、サウナも水風呂も温泉も朝食も、想像より良かった。順番に報告したい。

円盤には朝風呂コースで入るのが正解だった
まず入り方の話から。この施設、通常営業は10:00〜23:00だが、その前に朝風呂・朝食バイキングコース(コース時間7:00〜9:30・受付は9:00まで)という枠がある。土日祝・特定日1,600円、平日1,400円。朝風呂コースと聞くと9:30で追い出されそうな響きだが、掲示には「温泉は時間制限なしで一日ご利用できます」と明記されている。つまり通常営業より3時間早く入れて、朝食バイキングが付いて、通常入浴(土日祝850円)との差は750円。朝サウナ派にはこれが正解だと思う。

注意がひとつ。9:00〜10:00は入替のため入館できない(公式明記)。朝風呂コースの最終受付9:00を逃すと、10:00の通常営業まで円盤の外で待つことになる。
浴室は2階。のれんには男湯「はるなの湯」・女湯「あかぎの湯」とあり、どちらにも「生源泉かけ流し」の文字が染め抜かれている(この惹句が指すのは、後述する露天の湯のことだ)。私が入った土曜の男湯は「はるなの湯」だった。

サ室|95℃の檜サウナ、テレビなし
サ室は檜の香りがする高温サウナで、温度計は95℃を指していた。そしてテレビがない。土曜の朝という時間帯もあってか、わりとすいている。95℃・静か・すいている。朝サウナに求める条件がきれいに揃っていた。
ひとつ正直な報告をすると、ストーブは焼肉のロースターを思わせる構造で石を焼いており、セットを重ねるうちに、石の焼ける香ばしさがほんのり焼肉に思えてくる瞬間があった。檜の香りと焼肉の記憶が同時に立ち上がるサ室は初めてである。
水風呂|「100%天然地下水掛け流し」23℃の思想
この施設のサウナの核心は水風呂だと思う。浴槽のプレートには「100%天然地下水掛け流し」とある。地下から汲み上げた天然水をそのまま掛け流していて、冷却機を通していない。つまり水温は水そのものの温度で、この日は体感23℃前後だった。
23℃と聞いて「ぬるい」と思ったサウナーの方、ちょっと待ってほしい。冷却機でキンキンに冷やした水で30秒我慢するのとは別の競技である。23℃の天然水は、入った瞬間の壁がない代わりに、いつまでも入っていられる。95℃の檜で汗をかき、地下水にゆっくり沈み、また檜に戻る。この交互浴を何セットでも回せるのが、この水風呂の設計思想だと解釈した。
群馬のサウナの水風呂には系譜がある。一桁水温の衝撃で殴ってくる高崎の蒸寺、同じ天然地下水でも17〜19℃を森の貸切で独り占めする水沼の森サウナ。スカイテルメの23℃は、その中で「回数を回して整える」枝の代表格という位置づけになる。冷たさで競わず、往復の総量で整えにいく水風呂だ。
外気浴|雨の地上15mも悪くない
外気浴スペースは地上約15mの高さにある。公式が「天空露天」と呼ぶ、円盤のふちの部分だ。晴れれば赤城や榛名の山並みが一望できるロケーションだが、この日は雨。山は雲の中である。
それでも、雨の外気浴は気持ちよかった。サ室と水風呂を往復したあとの火照った体に、細かい雨が当たるのがむしろ心地よい。眺望狙いなら晴れの日。雨の日は空いている狙い目かもしれない。

温泉|露天の生源泉かけ流し(ナトリウム・カルシウム塩化物泉)がベストだった
サウナ主役のつもりで来たが、風呂で一番良かったのは露天風呂だった。ここは公式サイト・のれん・館内案内図の三箇所で「生源泉かけ流し」——源泉が空気に触れずそのまま浴槽に入る”生”の温泉——を名乗っている浴槽で、実際に浸かると塩素っぽさは感じなかった。
源泉のデータを、館内に掲示されていた温泉分析書(平成27年3月分析)から転記する。

| 項目 | 値 |
|---|---|
| 源泉名 | 渋川温泉「きらめきの湯」 |
| 泉質 | ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(等張性弱アルカリ性高温泉) |
| 源泉温度 | 65.0℃ |
| pH | 7.60 |
| 溶存物質 | 8.81g/kg(成分総計8.83g/kg) |
| 主要成分(mg/kg) | ナトリウム2,537・カルシウム752・塩化物イオン5,200 |
| 湧出量 | 毎分294L(動力揚湯)※掘削深度は地下1,400m(公式サイト) |
溶存物質8.81g/kgは、療養泉の基準(環境省の指針で溶存物質1g/kg以上など)の8倍超。「等張性」(溶存成分の濃度が人の体液とほぼ同じ帯域にあるという区分のこと)に届く濃さで、筆者の泉質データ比較表に並ぶ湯と突き合わせると、これより濃いのは加温必須の冷鉱泉(芹の湯)くらい。高温泉に限れば頭一つ抜けた濃さである。島根や大分の湯治場を巡って源泉かけ流しに開眼した身としては「生」を名乗る湯にはつい採点が厳しくなるのだが、この露天は文句がなかった。分析書の知覚試験には「無色透明、油様臭あり」とある。私の鼻には、油というより木のような、アロマを思わせる匂いに感じられた。表現は人によって割れそうだが、無個性な湯でないことは確かだ。分析書の別表によれば、泉質別適応症は「きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症」とされている(泉質別禁忌症は該当項目なし)。
正直に書いておくと、内湯はほんのり塩素のような香りを感じた(個人の感想)。湯づかいの掲示は私が見た範囲では見当たらなかったので、内湯の加水・加温・循環・消毒の詳細は分からない。かけ流しを名乗っているのは露天だけ、というのが公式の書き分けなので、温泉を目当てに行くならまず露天、と覚えておくのが実用的だと思う。
朝食バイキング|朝サウナ後の腹に過不足なし
朝食はバイキング形式。唐揚げに春巻き、焼き魚、卵、きんぴら、そうめん、サラダ、ヨーグルトあたりを一周盛ってきた。正直そこまで期待していなかったのだが、想像より良かった。サウナと温泉を済ませた朝8時の腹にこれが出てきて、朝風呂コース料金に込みなのだから文句はない。

料金と回り方(2026年7月時点)
- 通常入浴:平日750円・土日祝850円(小人350円)
- 朝風呂・朝食バイキングコース:平日1,400円・土日祝と特定日1,600円(小人1,000円/1,100円)※温泉は一日利用可・9:00最終受付
- 岩盤浴込みコース:平日1,600円・土日祝1,800円(今回は未利用)
- 回数券:11枚7,500円
なお朝風呂コースの時間帯は温泉のみの入館ができず、回数券・サービス券も使えない(掲示に明記)。覚えておくべき注意は繰り返しになるが9:00〜10:00の入館不可。それから、渋川市のふるさと納税返礼品「渋川市ふるさと感謝券」の取扱店なので(市公式の取扱店一覧に温泉・レストランとして掲載)、伊香保の丸本館や水沢うどんの田丸屋とセットでこのエリアに通う人は、寄付で入浴料をまかなう手もある。
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ちなみに群馬の朝サウナの使い分けで言えば、高崎の湯都里が朝5時開店・3時間780円のスピード型、天神の湯が朝6時から47℃の生源泉とサウナを往復する刺激型。スカイテルメは朝食付き1,600円でそのまま一日居座る長期戦型だ。目的で選び分けたい。
安全に回すために
温冷交代浴は気持ちいい分、体への負荷も大きい入り方だ。消費者庁や環境省の注意喚起に沿って、基本だけ置いておく。
- 心臓や血圧に不安のある人は、高温サウナと冷水の組み合わせを避けるか事前に医師へ相談を
- 飲酒後・食事直後・体調のすぐれない日は入らない
- サウナの前後にコップ一杯ずつの水分補給を
- 温泉側は41℃以下・1回10分程度が安全の目安
何セットでも回せる施設だからこそ、無理のない回数で切り上げるのが長く通うコツだと思う。
まとめ|「長く浸かる水風呂」の代表格
群馬のサウナ水風呂の系譜で言えば、一桁の蒸寺、森の17〜19℃の水沼、そして23℃で何セットでも回すスカイテルメ。冷たさの絶対値で勝負しない代わりに、95℃の檜・テレビなしの静けさ・すいている土曜の朝という条件が、交互浴の回転数で効いてくる。
そして予想外の伏兵が露天の生源泉かけ流しと朝食バイキングだった。土曜1,600円で朝からこれが全部使えて一日いられるなら、朝サウナの定番ルートに入れていい施設だと思う。雨の日でも成立することは、この日の私が確認済みである。
ちなみにこの日の締めは、サ室で嗅いだあの匂いに導かれるまま、車で15分ほどの焼肉あおぞらへ。上州定食とカルビラーメンの顛末は別の記事に書いた。
サウナ帰りの装備の話はサウナタオルの比較記事を、群馬のサウナ全体の地図は温泉×サウナまとめをどうぞ。
よくある質問
Q. 朝風呂コースだけで一日過ごせますか?
A. 過ごせます。朝風呂・朝食バイキングコース(コース時間7:00〜9:30・受付は9:00まで)は「温泉は時間制限なしで一日ご利用できます」と掲示されています。ただし岩盤浴エリア(温活cafeネスト)は別料金です(10:30から・平日850円/土日祝950円)。
Q. スカイテルメ渋川の入浴料金はいくらですか?
A. 通常入浴が平日750円・土日祝850円(小人350円)、朝風呂・朝食バイキングコースが平日1,400円・土日祝と特定日1,600円です(2026年7月時点)。9:00〜10:00は入替のため入館できない点にご注意ください。
Q. 水風呂の温度は何度ですか?
A. 冷却機を使わない「100%天然地下水掛け流し」なので水温は季節で変わります。夏の訪問時は体感23℃前後でした。キンキンではなく、長く浸かって整えるタイプの水風呂です。
Q. 午前中に行くときの注意はありますか?
A. 9:00〜10:00は入替のため入館できません。朝風呂コース(最終受付9:00)に入るか、10:00の通常営業開始を待つかの二択になります。
Q. 男湯と女湯に違いはありますか?
A. 浴室は「はるなの湯」「あかぎの湯」の2つで、私の訪問時(土曜)は男湯がはるなの湯でした。割り当ての運用は確認できなかったので、こだわりがある場合は施設に確認してください。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 渋川天然温泉 花湯スカイテルメリゾート(旧称スカイテルメ渋川・2019年改称) |
| 所在地 | 群馬県渋川市半田3129-1 |
| 電話 | 0279-20-1126 |
| 営業時間 | 10:00〜23:00(最終入館22:30)/朝風呂・朝食バイキングコース7:00〜9:30(受付は9:00まで)/9:00〜10:00は入館不可 |
| 定休日 | 年中無休(メンテナンス休あり) |
| 料金 | 平日750円・土日祝850円(2026年7月時点。コース料金は本文参照) |
| 泉質 | ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(等張性弱アルカリ性高温泉)・源泉「きらめきの湯」 |
| サウナ | 檜サウナ(訪問時実測95℃・テレビなし)/水風呂は100%天然地下水掛け流し |
| 駐車場 | あり(大型) |
| 公式 | skyterme.com |
| 訪問 | 土曜の朝(朝風呂・朝食バイキングコース利用) |
※効能・適応症は現地掲示の温泉分析書別表の記載に基づきます。体調に不安がある場合は入浴前に掲示の禁忌症を確認し、症状のある方は医師にご相談ください。本記事の体験・感想は個人のものです。



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