
群馬パスポートのスタンプを1個押すために道の駅あがつま峡へ来て、大浴場に入り、さらに2,500円の貸切風呂にも入って帰った。スタンプ代としては高くついたが、湯の記事が1本書けたので元は取れたことにしている。
土曜の初訪問。道の駅の中にある日帰り温泉「吾妻峡温泉 天狗の湯」で、先に大浴場に入り、そのあと2時間の貸切風呂を当日受付で借りた。
- 貸切は1回2時間で2,500円(入館料は別)。畳の休憩室、内湯、露天が付いて、2時間まるごと貸し切れる
- 大浴場は内湯1つと、屋外に露天と寝湯。サウナと水風呂はない
- 湯はぬるめで、さらっとした肌ざわり。硫化水素臭に似たような香りがした。大浴場と貸切で違いは感じなかった
- 令和3年の分析書では「含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉」。療養泉に当たる
- 湯づかいは加温と塩素消毒あり、加水と循環ろ過なし。浴槽の湯は毎日入れ替えているとの掲示あり
- 貸切は浴室にスマホを持ち込んで使えた。湯に浸かったままネットを見ていられたのがいちばんよかった
吾妻峡温泉 天狗の湯とは|道の駅あがつま峡の中にある町の日帰り温泉

天狗の湯は、東吾妻町の道の駅あがつま峡にある日帰り温泉だ。吾妻峡は吾妻川がつくった渓谷で、国の名勝に指定されている。道の駅はその玄関口にあたり、紅葉の時期は観光の車でにぎわいやすい。
名前が同じ「天狗の湯」でも、みなかみ町の天狗の湯きむら苑とは別の施設なので、行き先を調べるときは取り違えに気をつけたい。
私の目当ては群馬パスポートのスタンプだった。道の駅や観光案内所にスタンプがあり、集めて回る仕組みで、あがつま峡もその1つ。スタンプを押して終わりでもよかったのだが、同じ敷地に温泉があると知っていて素通りはできなかった。スタンプと近くの湯の組み合わせは群馬パスポートの帰り湯まとめにまとめている。
大浴場|内湯と露天と寝湯。サウナはない
先に入ったのは大浴場。料金は中学生以上500円(2026年10月時点)。
中は内湯が1つで、屋外に露天が1つと寝湯が1つある。サウナと水風呂はない。浴室の写真はない。サウナ目当てなら別の施設を選んだほうがいい。湯に浸かることが中心の大浴場だ。
貸切風呂|2時間2,500円で、畳の部屋と内湯と露天を独り占め
大浴場から上がったあと、貸切風呂も借りた。料金は公式サイトのとおりで、入館料は別にかかる。大人1人なら入館料500円と合わせて3,000円になる。時間は10:30〜、13:00〜、15:30〜、18:00〜の1日4枠で、予約が優先される。私は土曜に予約なしで行き、受付で空いている枠を取れた。紅葉の週末は埋まることもあると思うので、確実に入りたいなら電話で聞いておくと安心だ。

部屋に入ると、まず畳の休憩室がある。座卓が1つ置かれた小さな和室で、ここで服を脱ぎ着して、湯から上がったら寝転がれる。家の風呂と居間を2時間だけ借りている感じに近い。
いちばん気に入ったのは、スマホを持ち込めること。大浴場では脱衣所のロッカーにしまうスマホが、ここでは手元にある。湯に浸かりながら、スマホでネットを見ていられる。
ただ、スマホを見ていると時間を忘れやすい。消費者庁は入浴事故を防ぐ目安として「湯温は41度以下、湯につかるのは10分まで」を挙げている。内湯、露天、畳の休憩を挟みながら入るのがいい。

内湯は大きなガラス窓のある石張りの浴槽で、明るい。窓の外に山が見える。洗い場はシャワーが1つ。

内湯の湯口には、白っぽいものが付いていた。カルシウムの多い湯なので、その成分が固まったものかもしれないが、確かめてはいない。

露天は岩で囲った浴槽で、塀に囲まれていて、上を見ると空と吾妻の山が見える。外の風がひんやり冷たくて、気持ちよかった。内湯と露天を行き来して、合間に畳で休む。この繰り返しで2時間はあっという間だった。

露天の湯口のまわりは、茶色っぽく色づいていた。内湯の白っぽさとは色が違うが、原因は分からない。
湯づかい|加温と塩素消毒あり、加水と循環ろ過はなし
館内には、温泉法で掲示が決まっている「温泉の利用状況」が貼られていた。大浴場側と貸切風呂側の両方に、同じ内容の掲示と分析書があった。書いてあったのは次のとおり。
- 加水:していません
- 加温:源泉温度が低いので入浴に適した温度に保つため加温しています
- 循環ろ過:使用していません
- 入浴剤:入れていません
- 消毒:衛生管理のため、塩素系薬剤を使用しています

掲示から言えるのは、湯を薄めず、使い回さずに浴槽へ注ぐ「かけ流し」だということ。ただし、温めて、塩素で消毒している湯だ。公式サイトは「源泉かけ流し」と書いているが、何も手を加えない湯ではないので、そこは知ったうえで入りたい。
別のポスターには「毎日すべての温泉を新しい温泉に入れ替え」「浴槽は毎日しっかりと清掃・消毒」と書いてあった。同じポスターの足湯版もあり、足湯も毎日入れ替えているそうだ。

泉質データ|令和3年の分析書では「含硫黄」が付く

館内に貼られた分析書のうち、いちばん新しいのは令和3年5月17日付のもの(調査は同年4月28日)。主な値はこうだった。
- 泉質:含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性温泉)
- 泉温:41.5℃
- pH:7.9
- 湧出量:毎分80.5L(ポンプでくみ上げ)
- 溶存物質(ガス性のものを除く):2.23g/kg
- 主な成分:硫酸イオン 980.4mg/kg、塩化物イオン 437.7mg/kg、カルシウムイオン 399.8mg/kg、ナトリウムイオン 303.5mg/kg
- メタけい酸:37.4mg/kg
- 見た目と匂い:無色澄明(色がなく澄んでいる)、硫化水素臭あり
泉質名は長いが、分けて読むと分かりやすい。湯にいちばん多く溶けているのは硫酸イオン(いわゆる石膏や芒硝のもとになる成分)で、次が塩化物イオン(食塩のもとになる成分)。プラスの成分ではカルシウムとナトリウムが多い。頭の「含硫黄」は、硫黄が一定量(1kgあたり2mg以上)入っているという意味だ。
溶けている成分が1kgあたり1g以上あると「療養泉」と呼ばれ、泉質名が付く。ここは2.23gなので療養泉に当たる。
気をつけたいのは、公式サイトと、館内にある平成22年分析の成分表では、泉質名が「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉」で、「含硫黄」が付いていないこと。令和3年の分析書では、そこに「含硫黄」が加わっている。この記事は新しい分析書の値で書いた。
効能について。環境省の基準では、硫酸塩泉と塩化物泉の浴用の適応症として、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症などが挙げられている。あわせて知っておきたいのが禁忌症(入浴を避けたほうがよい場合)で、どの温泉にも共通するものとして、熱があるときなど病気の活動期や、重い心臓・肺の病気などがある。
泉質名に「含硫黄」が付くので、念のため硫黄泉の禁忌症も挙げておく。皮膚や粘膜が敏感な人、高齢者の皮膚乾燥症とされている。施設の適応症と禁忌症は「温泉分析書別表(浴用)による」とあるので、肌の弱い人は館内の掲示で確かめてほしい。
入ってみた感想|ぬるめで、さらっと。硫化水素臭に似た香り
湯はぬるめに感じた。41.5℃の源泉を加温した湯で、それでもぬるめに感じ、ゆっくり浸かっていられた。肌ざわりはさらっとしていて、とろみやぬめりは感じなかった。写真では湯に色がついて見えるが、実際の湯は無色透明だった。
大浴場と貸切風呂で、湯温も肌ざわりも匂いも同じに感じた。掲示も分析書も同じなので、そこは納得がいく。
匂いは、硫化水素臭(温泉でよく言う、ゆで卵のような匂い)に似たような香りだった。分析書の「硫化水素臭有り」という記載とも合う。
もう1つ。貸切風呂なら塩素の匂いはしないかもしれない、と少し期待していたのだが、よく嗅ぐとほんのり塩素の匂いがした。利用状況の掲示どおりで、気になるほどではなかった。
館内と周辺|食事は道の駅のあがつま亭へ
公式サイトによると、浴場の中に食堂はなく、軽食の持ち込みはできる。食事なら道の駅の中の「あがつま亭」(11:00〜16:00、ラストオーダー15:30)がある。
近くでもう1軒、加温も消毒もしていない湯に入りたい人には、八ッ場ダムを見下ろす高台の川原湯温泉 王湯がある。硫酸塩泉の湯をまとめて比べたい人は群馬の硫酸塩泉 日帰り比較もどうぞ。硫黄を含む湯どうしで比べるなら群馬の硫黄泉 日帰り比較、ほかの源泉かけ流しの湯と数字で並べるなら群馬の源泉かけ流し53湯 泉質比較データがある。
まとめ|湯より「部屋」を借りに行く温泉
天狗の湯の貸切風呂は、湯そのものより、2時間ひとりになれる部屋に価値があると感じた。湯から上がったら畳で寝転がって、また湯に戻る。家でも同じことはできるが、窓の外に吾妻の山があるのは家にはない。
向いているのは、紅葉や吾妻峡の散策のついでに、人目を気にせずゆっくりしたい人。
向かないのは、泉質を求めて湯を選ぶ人と、加温も消毒もしていない湯を求める人。ここは加温と塩素消毒をしている湯で、貸切でも塩素はほんのり香る。そういう湯が目当てなら、近くの王湯のほうが合う。ただし王湯は加水ありなので、薄めていない湯にこだわるなら合わない。
よくある質問
天狗の湯の貸切風呂は予約が必要?
公式サイトでは予約優先と案内されている。私は土曜に予約なしで行き、当日の受付で空いている枠に入れた。紅葉の時期の週末などは、電話で空きを確かめてから行くと安心だ。
貸切風呂の料金と時間は?
1回2時間で2,500円で、入館料は別(大人1人なら合わせて3,000円)。時間は10:30〜、13:00〜、15:30〜、18:00〜の1日4枠(2026年10月時点の公式サイトより)。
天狗の湯は源泉かけ流し?
館内の掲示では、加水なし・循環ろ過なしで、加温と塩素系薬剤による消毒をしている。薄めず使い回さないかけ流しだが、温めて消毒している湯だ。
天狗の湯の泉質は?
令和3年の分析書では、含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性温泉)。泉温41.5℃、pH7.9。公式サイトの泉質名には「含硫黄」が付いていない。
天狗の湯の大浴場にサウナはある?
ない。大浴場は内湯が1つと、屋外に露天と寝湯が1つずつ。水風呂もない。
みなかみの「天狗の湯きむら苑」と同じ施設?
別の施設。天狗の湯は東吾妻町の道の駅あがつま峡の中、天狗の湯きむら苑はみなかみ町水上にある。
基本データ表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 吾妻峡温泉 天狗の湯 |
| 所在地 | 群馬県吾妻郡東吾妻町三島(道の駅あがつま峡内) |
| 営業時間 | 10:00〜21:00(最終受付20:30)。冬季は20:00までになるとの公式インスタグラムの投稿あり |
| 定休日 | 毎月第2火曜・1月1日 |
| 料金 | 中学生以上500円、3歳〜小学生250円(2026年10月時点) |
| 貸切風呂 | 1回2時間2,500円(入館料別)。10:30〜/13:00〜/15:30〜/18:00〜の4枠・予約優先 |
| 泉質 | 含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性温泉)※令和3年分析 |
| 湯づかい | 加水なし・加温あり・循環ろ過なし・入浴剤なし・塩素系薬剤で消毒 |
| 公式 | https://agatsumakyo.jp/relax/ |



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