警察庁の「運転免許統計 令和7年版」によると、令和7年中の運転免許の自主返納(統計上は「申請による取消」)は全国で43万5,067件、群馬県では6,316件だった。一方で群馬県は、自家用乗用車の1人当たり保有台数が0.727台で全国1位(自動車検査登録情報協会・令和7年3月末)という、筋金入りの車社会でもある。
そんな車社会だからこそ、ハンドルを置いた瞬間に「温泉は車で行くもの」という前提が崩れる。免許を返納した人、家の事情で車を手放した人、そもそも持っていない人。その人たちが群馬の源泉かけ流しから締め出されるのかというと——そんなことはない、というのがこの記事の結論だ。
ここに載せた湯はすべて私が実際に入った湯で、詳細レビューが別にある。入浴料と湯使いは各記事の現地掲示ベース、電車とバスのダイヤ・運賃は2026年8月時点で各事業者の公式時刻表を確認した。ただしローカル線とバスは改正・減便が日常なので、乗る前に必ず公式時刻表で最新を確認してほしい。
早見表|駅から歩ける湯・バスで行ける湯
「乗り換えの少なさ」と「帰りの便の多さ」で選べるように、起点駅と本数の目安を並べた。
| 温泉 | 起点駅 | 行き方(片道) | 便数の目安 | 入浴料 |
|---|---|---|---|---|
| ゆ〜ゆ(前橋) | 前橋駅 | 徒歩2分 | 両毛線 日中毎時2〜3本 | 平日900円・土日祝1,000円 |
| 湯都里(高崎) | 高崎駅 | ぐるりん約25分・200円→群南団地 徒歩約3分 | ぐるりん 行き帰り各8〜9便+上信バス | 平日980円・休日1,180円 |
| 石段の湯(伊香保) | 渋川駅 | 関越交通バス約25分・750円→伊香保温泉 下車 | 毎時1〜3本 | 800円 |
| 伊香保露天風呂 | 渋川駅 | 同上+石段街を上る | 毎時1〜3本 | 600円 |
| 四万温泉 共同浴場3湯 | 中之条駅 | 四万温泉線 約31分・1,150円 | おおむね毎時1本 | 無料(寄付推奨) |
| 沢渡温泉 共同浴場 | 中之条駅 | 沢渡線 約20分・720円 | 平日8本・土休日6本 | 300円 |
| 草津の外湯・共同浴場 | 長野原草津口駅 | JRバス約25分・780円 | 毎時1〜2本 | 無料〜1,200円 |
| 半出来温泉 登喜和荘 | 袋倉駅 | 徒歩7〜8分 | 吾妻線 日中2時間に1本 | 500円 |
| 大峰館(上牧温泉) | 上牧駅 | 徒歩約12分 | 上越線 ほぼ毎時1本 | 1,000円 |
| 天野屋(水上温泉) | 水上駅 | 徒歩17分(1.3km・ほぼ平坦) | 上越線 ほぼ毎時1本 | 500円 |
| 長生館(猿ヶ京) | 上毛高原駅・後閑駅 | 猿ヶ京線 約30分/後閑から約40分・1,100円 | 平日8本・土休日7本 | 野天500円 |
| 相間川温泉(倉渕) | 高崎駅 | 群馬バス→ぐるりん乗継(町内は無料の巡回タクシーも※地域の生活の足) | 倉渕線 各方向5便 | 520円 |
| せせらぎの湯(倉渕) | 高崎駅 | 同上・バス停「倉渕福祉センター」 | 倉渕線 各方向5便 | 730円(市民320円) |
| 明和温泉 川俣の湯(HOTEL R9 川俣駅前) | 川俣駅 | 徒歩1分(西口・ペデストリアンデッキ直結) | 伊勢崎線 日中毎時3本(2026年9月時点) | 平日500円・土日祝600円 |
| 小野上温泉 ハタの湯(渋川市) | 小野上温泉駅 | 徒歩1分(駅の目の前) | 吾妻線 上下とも1〜2時間に1本(2026年3月時点) | 大人410円(2時間) |
| 金島温泉 富貴の湯(渋川市) | 金島駅 | 徒歩4〜5分(公式の案内「金島駅から5分」・日本温泉協会のページ「徒歩約4分」) | 吾妻線 上下とも1〜2時間に1本(2026年10月時点) | 大人500円(2時間) |
| リバートピア吉岡(吉岡町) | 前橋駅・群馬総社駅 | 日本中央バス 前橋吉岡線 前橋駅から約42分・530円→「よしおか温泉」下車 | 行き・帰りとも1日2本(日帰りの往復は1通りだけ・2026年9月時点) | 入館料600円 |
※運賃・所要は2026年8月時点の各社公式時刻表・運賃表による。バスは季節ダイヤ・曜日で変動するため、「駅から徒歩」の7湯がいちばん確実だ。
※湯づかいは一律ではない。掲示5項目すべて「行っていません/使用していません」の完全かけ流しは大峰館・天野屋・長生館。登喜和荘は詳細レビューでの表記が「源泉100%かけ流し」。伊香保露天風呂は掲示に「100パーセント源泉かけ流し」。石段の湯は引き湯・加温・注し湯あり(循環なし)。四万の共同浴場3湯は源泉かけ流しだが、加温・循環・消毒の有無は各湯の掲示を参照してほしい。沢渡の共同浴場は源泉かけ流し。草津は有料外湯のうち御座之湯と西の河原が掲示で加水・加温・循環なしのかけ流し、大滝乃湯は加水せず自然に冷まして適温化するかけ流し。無料共同浴場は公式の湯使い表記が見当たらないため、このブログでは「その源泉を引く湯」までにとどめている。ゆ〜ゆは加水と温度調節の循環あり(消毒剤は不使用・毎日全換水)、湯都里は露天が塩素併用のかけ流しで内湯は循環、ふれあい館は加水・加温・循環・消毒、せせらぎの湯は加水・加温・塩素ありでろ過装置は不使用。明和温泉 川俣の湯(HOTEL R9 川俣駅前)は掲示で加水・加温・循環ろ過・塩素消毒のすべてが「有」。小野上温泉 ハタの湯は大浴場(男子浴室・露天風呂)の掲示が加水(気温の高い期間のみ)・循環ろ過・塩素系薬剤ありで加温なし、浴室付き個室「岩井堂」の掲示は循環なし・加温なし・塩素の記載なし(かけ流しの語は掲示にない)。金島温泉 富貴の湯は施設の掲示が【かけ流し】・加水なし・「塩素等は一切使用していません」で、33.1℃の源泉を温めて使う。日本温泉協会の温泉利用証(1号露天風呂・2010年発行)に「循環装置 あり」、水質検査結果書(2号内湯・令和8年6月)に「浴槽水(循環式)」とあるため、詳細レビューでは「源泉かけ流し」とは書いていない。リバートピア吉岡は、予約制の家族風呂の掲示が水道水の加水のみ(加温・循環濾過・消毒なし)、大浴場の掲示が地下水の加水・加温・循環ろ過・次亜塩素酸ナトリウム消毒あり。
※定休日も施設ごとに違う。出かける前に各湯の詳細レビュー記事で確認してほしい。
本数の欄だけ見ると心細いかもしれないので、先に結論を書く。車なし温泉は、行きではなく帰りで決まる。帰りの1本を先に決めてから湯に入り、入浴時間制限をそのままタイマーに使う。この2つで大半の行程は成立する。詳しくは記事の最後にまとめた。
駅から歩ける温泉——本記事の収録は7つ
まえばし駅前天然温泉ゆ〜ゆ|前橋駅から徒歩2分

車なしで行ける群馬の温泉、と聞いてまず答えるべきはここだ。前橋駅北口から徒歩2分。自家源泉「くりまの湯」のナトリウム-塩化物泉が絶え間なく注がれる。湯使いは、源泉55.4℃が高温のため加水あり・温度調節の循環あり。ただし消毒剤は不使用で毎日全換水という運用で、駅前でこの湯づかいは他にちょっと見当たらない。平日900円・土日祝1,000円(入湯税込)。両毛線は日中毎時2〜3本あるので、帰りの心配がほぼいらない。
半出来温泉 登喜和荘|袋倉駅から徒歩7〜8分

「駅から歩ける源泉100%かけ流し」という、この記事の趣旨に対する最短回答。JR吾妻線の袋倉駅から吊り橋を渡って徒歩7〜8分(宿の公式案内は7分)で、混浴露天つきの湯に500円で入れる。とはいえ袋倉駅は各駅停車のみの停車で、吾妻線のこの区間は日中2時間に1本。帰りの列車時刻を先に決めてから浸かるのが作法だ。90分の入浴時間制限が、むしろちょうどいいタイマーになる。
大峰館(上牧温泉)|上牧駅から徒歩約12分
湯使い5項目すべて「行っていません」——加水も加温も循環も入浴剤も消毒もない完全かけ流しに、上越線の上牧駅から徒歩約12分で届く。日帰り1,000円(90分目安)。不定休なので、行く前に電話で確認したい(日帰りは11時から)。上越線は日中ほぼ毎時1本だが、行きの下りは12時台、帰りの上りは11時台に穴がある。駅の時刻表を先に撮っておくと安心だ。東京方面からなら上越新幹線の上毛高原駅からタクシー約10分という手もある。
天野屋(水上温泉)|水上駅から徒歩17分
水上温泉街の細い路地の奥、隣が飲食店という立地に建つ小さな湯宿。源泉「旧湯」42.5℃を、加水も加温もせずそのまま浴槽に落としている。掲示の利用状況欄は加水・加温・循環・消毒のすべてが非該当で、日帰りは500円。水上駅から1.3km・徒歩17分で、道はほぼ平坦だ(2026年8月時点でルート実測)。
ただし不定休で、入浴できる時間も流動的。浴室の清掃が終わってからの入浴になるため、行く前に必ず電話で確認したい。上越線の本数を考えると、この電話1本が行程の成否を分ける。
明和温泉 川俣の湯(HOTEL R9 川俣駅前)|川俣駅から徒歩1分

館林から2駅、東武伊勢崎線の川俣駅西口からペデストリアンデッキを渡って徒歩1分。2025年9月に開業したビジネスホテルの1階に、明和町が2020年に1,500m掘った町初の天然温泉が入っている。湯使いは掲示で加水・加温・循環ろ過・塩素消毒のすべてが「有」で、駅から歩ける7湯のなかでは、小野上温泉 ハタの湯の大浴場と並んで塩素消毒のある湯だ。それでも日帰りは平日500円・土日祝600円で、内湯(表示41.5℃)に加えてサウナ92℃と水風呂21.4℃がある。伊勢崎線は日中毎時3本(浅草方面は日中は久喜行き。2026年9月時点・東武公式駅ページの駅時刻表)。月曜は15時からの営業なので、朝風呂は火〜日に限られる。
小野上温泉 ハタの湯(渋川市小野上温泉センター)|小野上温泉駅から徒歩1分

JR吾妻線の小野上温泉駅の目の前に建つ、渋川市の日帰り温泉センター。大浴場は大人410円(2時間)で、公式の案内では温度の違う内湯・サウナ・露天風呂という構成だ。湯使いは浴槽で割れていて、大浴場(男子浴室・露天風呂)の掲示は加水(気温の高い期間のみ)・循環ろ過・塩素系薬剤ありで加温なし。浴室付き個室「岩井堂」「古城台」(2時間3,130円・入館料は別・要予約)のうち、岩井堂の浴室にある掲示は循環なし・加温なし・塩素の記載なし(古城台の部屋には掲示が見当たらなかった)で、同じ源泉「幸の湯」(pH9.0・源泉46.8℃のナトリウム-塩化物温泉)を使っている。吾妻線は上下とも1〜2時間に1本で、上りは11時台と14時台に発車がない(2026年3月14日現在の駅掲示時刻表)。館内の食堂で500円以上使うと入浴時間が1時間延びる公式のサービスがあるので、列車待ちの時間調整に使える。隣の「小野上駅」は別の駅なので降り間違いに注意。休館日は毎月20日(土日祝の場合は前日)。
金島温泉 富貴の湯(渋川市川島)|金島駅から徒歩4〜5分

JR吾妻線で渋川駅の次が金島駅。公式の案内は「JR:金島駅から5分」、日本温泉協会のページは「金島駅から徒歩約4分。」と書いている。日帰り専用の温泉で、大人500円(2時間・延長は1時間毎に100円)。湯は黄土色で、鉄の香りがする。湯づかいは掲示を3枚読むことになる。施設のパネルは【かけ流し】・「【加水】していません」・「塩素等は一切使用していません」で、33.1℃の源泉を約9℃温めて使う。日本温泉協会の温泉利用証(1号露天風呂・2010年発行)は「循環装置 あり」(目的は「浴槽内の温度を均一に保つ為」)、水質検査結果書(2号内湯・令和8年6月)は試料を「浴槽水(循環式)」としている。このため詳細レビューでは「源泉かけ流し」とは書いていない。吾妻線は上下とも1〜2時間に1本で、渋川方面の上りは10時台・13時台・19時台に発車がない(2026年10月時点・JR東日本公式の駅時刻表)。営業は10:00〜21:00(受付20:30まで)、休館日は毎月15日(土・日・祝日の場合は営業して翌日休み)。支払いは現金のみ。
高崎駅から|バスで温泉とサウナ
京ヶ島天然温泉 湯都里|ぐるりん200円で「群南団地」下車
高崎駅東口から市内循環バス「ぐるりん」の京ヶ島線(湯都里公式の表記では上大類・ニューサンピアコース)で約25分・200円、「群南団地」下車で徒歩約3分。西口からなら上信バス(約20分・400円)もある。塩サウナを含むサウナ3種と、露天のかけ流し(塩素消毒併用・内湯は循環)が味わえる。施設は朝5時から開いているが、ぐるりん京ヶ島線の始発は7時台。8時台に着いて午前で上がる形になる。平日980円・休日1,180円で、5時〜10時受付の朝風呂枠なら3時間780円(休日も同額)だ。定休は第3木曜(8月は無休)。施設は24時まで開いているが、ぐるりんは20時前には終わる。帰りの最終時刻は公式時刻表で確認してほしい。
倉渕|同じ源泉の2湯と、無料の巡回タクシー

行き方|高崎駅から2本のバスを乗り継ぐ
高崎市倉渕町への行き方は、せせらぎの湯を運営する高崎市社会福祉協議会の案内が明快だ。高崎駅西口から群馬バスの里見経由・室田行きに乗り(750円・約45分)、室田で市のぐるりん倉渕線 権田車庫行きに乗り換える(200円)。倉渕線は室田行き・権田車庫行きが各5便ずつ(バス停の掲示時刻表で確認。1月1日はぐるりん全線が運休)。帰りの便はあるにはあるが、おおむね2時間おき(14時台だけ50分間隔)なので、時刻は先に押さえておきたい。そしてこの路線には温泉のバス停が2つある。1回の乗り継ぎで2湯まわれるので、各方向5便でも一日の組み立てが成立する。
2湯の違い|同じ源泉、違う湯づかい
ひとつが相間川温泉ふれあい館。バス停「相間川温泉」の目の前。濃い強塩泉で、掲示は1回の入浴を7分ほどに抑えるよう案内している(入館料520円・3時間・税込)。もうひとつが、そこからバスでわずか2分のせせらぎの湯——バス停の名前は「倉渕福祉センター」だが、これがせせらぎの湯の正式名称(高崎市倉渕福祉センター)そのものだ。しかもこの2湯は同じ源泉を引いている(源泉名は「くらぶち相間川温泉 せせらぎの湯」)。違うのは湯づかいのほうだ。ふれあい館は循環、せせらぎの湯はろ過装置を使っていない(どちらも加水・加温・塩素はあり、違いはろ過装置。ただし掲示の項目名自体が施設で異なるので、まったく同じ土俵の比較ではない。いずれも現地掲示より)。同じ源泉でも体感は変わる。私にはせせらぎの湯のほうが薄めで、長湯向きだった。しかもせせらぎの湯は時間制限なし。7分で切り上げる濃い湯と、いくらでも浸かっていられる湯が、バス停2つ分の距離に並んでいることになる。
料金はどちらも高崎市民が安い。ふれあい館は一般520円・高崎市民320円、せせらぎの湯は市外730円・高崎市民320円で、せせらぎの湯だけは高崎市民の65歳以上が200円になる。営業はせせらぎの湯が火〜金 10:00〜17:00/土日祝 10:00〜20:00(受付は終了30分前まで・月曜休)、ふれあい館が10:30〜19:00(最終受付18:00)・火曜休。逆算の基準は受付終了ではない。帰りの最終は相間川温泉停が室田方面17:08、倉渕福祉センター停が17:10(掲示時刻表)。ふれあい館の最終受付18:00やせせらぎの土日祝20:00まで粘ると、バスのほうが先に終わる。しかも室田で群馬バスに乗り継ぐ必要があるので、室田発 高崎駅行きの最終時刻は出発前に公式で確認しておきたい。営業時間と休み(せせらぎ=月曜/ふれあい館=火曜)の食い違いもあわせて。

おとしよりぐるりんタクシー|無料・予約不要の巡回便
そしてもうひとつ、倉渕にはバス以外の足がある。ふれあい館の駐車場入口に立っていた黄色い看板がそれで、高崎市の「おとしよりぐるりんタクシー」という。市の案内によれば、ルート上ならどこでも乗り降り自由・利用料無料・事前予約や利用登録も不要で、年齢にかかわらず誰でも利用できる。運行は原則毎日、午前9時から午後3時30分まで(市の案内・現地看板とも同じ)。倉渕は東ルートと西ルートの2系統で、相間川温泉と倉渕福祉センターはどちらのルートも通る。
もっとも、これは観光用の乗り物ではない。市が掲げる目的は「高齢者や障がいをお持ちの方の生活の足の確保」で、通勤・通学での利用は控えるよう案内されている。しかも1ルートにつき1日1台・定員5名・停留所も時刻表もなく、約50〜60分間隔で周回しているだけだ。ルート上ならどこでも乗り降りできる(乗り方は電話で確認を)。満員なら次の周回を待つことになる。
だから私は、これを「無料で温泉に行ける裏技」としては紹介しない。地域の人の足に、たまたま同じ方向へ行く旅人が相乗りさせてもらう。そういう乗り物だと理解している。そのうえで、市が「生活の足の確保」を掲げてこういう乗り物を走らせている町があるという事実は、この記事にとって大きな意味がある。いま車がどこを走っているかは電話(倉渕支所市民福祉課 027-386-9561)で聞けるので、利用前にルートと運行状況を確認してほしい。
はまゆう山荘へは日を選んで
倉渕にはもう1軒、鉄の湯口を持つ冷鉱泉のはまゆう山荘(倉渕川浦温泉・日帰り570円)がある。こちらは加水・加温と循環ろ過、塩素を併用する湯だ。立地は川浦地区で、ぐるりん倉渕線の路線からは外れる。宿の公式には権田バス停からの無料送迎(2名以上・要予約)の案内があるが、日帰り利用で頼めるかは公式に書かれていない。しかも送迎の帰りは宿を10:30前後に出るとあり、日帰り入浴の11:00開始とは噛み合わない。電話で確認したほうがいい。もうひとつの手がおとしよりぐるりんタクシーの西ルートだが、西ルート自体が土日祝と12/30〜1/3のみの運行で、川浦(はまゆう山荘)はその折り返し点にあたる(市の路線図より。便数や通過時刻は非公表なので、運行状況は電話で確認を)。ひとりで平日に、という条件だと難易度は上がる。日を選んで組みたい湯である。
▶ 相間川温泉ふれあい館の詳細レビュー/せせらぎの湯の詳細レビュー/はまゆう山荘の詳細レビュー
前橋駅・群馬総社駅から|1日2本のバスで吉岡の道の駅温泉
吉岡町の道の駅よしおか温泉にある町の温泉施設「リバートピア吉岡」には、日本中央バスの前橋吉岡線が通っている。停留所は施設の入口前で、時刻表での名前は「よしおか温泉」、停留所の標識には「リバートピア吉岡」とも書いてある。前橋駅北口(5番のりば)から約42分・530円、群馬総社駅からなら300円だ(2024年10月改定の運賃表)。
ただし、ここは帰りのバスの時刻がすべてを決める。この停留所に来るバスは、行き(上野田四つ角方面)が11:52と13:36、帰り(前橋駅方面)が10:15と12:55の1日2本ずつで、平日も土日祝も同じ時刻だ。日帰りで往復できるのは前橋駅11:10発(群馬総社駅11:34発)→11:52着、帰りは12:55発→群馬総社駅13:10着の1通りしかない。帰りの12:55発は群馬総社駅止まりで、前橋駅までは行かない。滞在は約1時間。13:36着の便で行くと、その日のうちに戻るバスはもうない。
1時間なので、大浴場(入館料600円)で考えたい。予約制の家族風呂「榛名」は利用枠が10:30〜12:00・13:00〜14:30などと決まっていて、この1時間にはどの枠も収まらない。休館日も月に1〜2日あるので、公式サイトのお知らせとあわせて確認してから出かけたい。時刻は日本中央バス公式の時刻表(2024年3月24日改正)と、2026年9月に見た停留所の掲示で確かめた。
渋川駅から|伊香保の黄金の湯へバス25分
渋川駅から関越交通の伊香保温泉行きが1日約40本・毎時1〜3本、約25分・750円。交通系ICも使える(IC対応を公式で確認できたのは関越交通とJRバス関東の2社。ほかは現金を用意しておくと確実だ)。この本数はもう「時刻表を見ずにバス停に立っていい」水準で、車なし旅の難易度としては前橋駅前の次に低い。高崎駅からは群馬バスの直行便(毎日5本・約1時間19分)や、1日2往復の伊香保ライナー(片道2,000円)もある。
着いた先の選択肢は二つ。石段街の途中に建つ共同浴場「石段の湯」(800円・渋川市民は500円)は、黄金の湯を洗い場つきで浴びられる実用派。365段の石段を上りきった先の「伊香保露天風呂」(600円)は、黄金の湯のかけ流しを樹々の中で浴びる本命だ。こちらはバス停からさらに石段を上るので、脚と相談して決めてほしい。休みが食い違うので注意したい。石段の湯が第2・第4火曜、伊香保露天風呂は第1・第3木曜(祝日は営業・8月は無休)だ。
中之条駅から|四万・沢渡、そしてバスのない湯
四万温泉の無料共同浴場3湯|バス31分・1,150円

中之条駅から関越交通の四万温泉線がおおむね毎時1本、約31分・1,150円で終点「四万温泉」へ。御夢想の湯・上の湯・河原の湯という無料の共同浴場3湯(9:00〜15:00・寄付推奨)を、温泉街を歩きながらはしごできる。バスの本数が毎時1本あるおかげで、「1本逃したら終わり」の緊張感がないのがいい。
沢渡温泉 共同浴場|バス20分・720円で「一浴玉の肌」
同じ中之条駅から沢渡線で約20分・720円、「沢渡温泉」下車。300円で入れる共同浴場(9:00〜20:30)には、あつ湯とぬる湯の2槽がある。地元組合公認のキャッチコピー「一浴玉の肌」の本家だ。バスは平日8本・土休日6本と四万より細いので、帰りの1本は先に決めておくこと。
番外:大塚温泉 金井旅館|路線バスのない湯に、東京から毎月通う人がいる

ぶっちゃけ、ここは車なし向きではない。中之条町の大塚温泉 金井旅館に最寄りの路線バス停はなく、公共交通で行くなら中之条駅からタクシーになる(町のデマンドバスは前日までの予約制で、運行区域は要確認)。それでも番外で載せておきたい。この湯には、毎月東京から電車を乗り継いで通ってくる常連さんがいるそうだ。32.8℃のぬる湯に2時間400円。わざわざ足を確保してでも通う人がいる湯というのは、それ自体がひとつの評価だと思う。
長野原草津口駅から|草津の外湯めぐりはバス旅と相性がいい

吾妻線の長野原草津口駅からJRバス関東が約25分・780円、日中毎時1〜2本。バスは駅で列車と接続していて(一部列車を除く)、交通系ICも使える。終点の草津温泉バスターミナルから、湯畑(徒歩5分)を核に外湯が歩いて回れる。
無料の共同浴場は湯畑脇の白旗の湯など3軒。湯代0円に対してバス代780円という、会計の主役が入れ替わる旅になるが、それでも十分に安い。有料の外湯は御座之湯(900円・バスターミナルから徒歩5分)、大滝乃湯(1,200円・徒歩約12分)、西の河原露天風呂(800円・湯畑を抜けて西の河原公園の奥。毎月第2水曜は17:00で終了)。歩く距離が施設選びの基準になるのは、車旅にはない感覚だ。町の巡回バス(1回100円・バスターミナル8番線発着)もあるので、歩きに自信がなければ現地の掲示で時刻を確認して使うといい。
東京方面からなら、上野発の特急「草津・四万」(全車指定席・長野原草津口まで約2時間20分)か、新宿・東京駅からの高速バス「上州ゆめぐり号/東京ゆめぐり号」(草津温泉バスターミナル直行・1日9本・新宿から約4時間・3,700円)が使える。注意点がひとつある。帰りの定期特急は13時台から15時台に限られる(2026年8月時点で平日は13:07・15:43の2本、土休日はこれに14:06を加えた3本。ほかに運転日限定の臨時便がある)。日帰りで特急を使うなら、先に帰りの列車を決めてから外湯の順番を組むこと。
▶ 草津の無料共同浴場3選/御座之湯/大滝乃湯/西の河原露天風呂
上毛高原駅・後閑駅から|猿ヶ京の完全かけ流しへ
上越新幹線の上毛高原駅から関越交通の猿ヶ京線で約30分、上越線の後閑駅からなら約40分(どちらも1,100円)。終点「猿ヶ京」下車。長生館の野天風呂は500円(日帰りは10:00〜19:00)で、加水・加温・循環・入浴剤・消毒の5項目すべて「使用していません」の完全かけ流しだ。80段の階段を谷底へ降りた先にあるので、ここも脚と相談を。バスは平日8本・土休日7本で、一部便は「たくみの里」経由になる。
帰りの足から逆算する——車なし温泉の設計術
早見表を眺めると、難易度の差はほぼ一点に集約される。帰りの便が毎時あるか、1日数本かだ。コツは4つ。
- 帰りの便を先に決めてから入る。予定にするのは最終便ではなく、その1本前。1本逃しても詰まない設計にしておく
- 入浴時間制限を味方にする。半出来温泉は90分、大峰館は90分目安、相間川温泉は3時間。制限時間と帰りの時刻を合わせると、湯あたりもバスの乗り逃しも防げる
- 季節ダイヤと正月に注意。路線バスには「4月〜11月のみ運行」「冬季のみ運行」の便が混ざる。高崎市のぐるりんは1月1日全便運休
- 小銭とICを使い分ける。IC対応を公式で確認できたのは渋川〜伊香保の関越交通と草津のJRバス関東。ほかの路線は現金を用意しておくと確実だ。
免許返納の支援制度も確認しておく|県内32市町村
なお、群馬県の「高齢者の運転免許証自主返納サポート」ページによると、県内32の市町村が返納者への支援を実施している。運転経歴証明書の交付手数料助成やバス・タクシー券の交付などで、たとえば高崎市には返納者専用の「ぐるりん回数券(6,000円分)」の交付がある。ただし全35市町村のうち一覧に載っていない自治体もある(この記事で起点にしている渋川市もそのひとつだ)。返納を考えている人・家族が返納した人は、県の案内ページで自分の市町村の支援を確認しておくと、この記事の温泉がぐっと近くなる。
まとめ|「車がないと行けない県」ではなかった
ここに載せた中で駅から歩ける温泉が7つ(うち掲示5項目すべて非該当の完全かけ流しは大峰館と天野屋、登喜和荘は「源泉100%かけ流し」。川俣駅直結の明和温泉 川俣の湯は循環ろ過・塩素消毒あり、小野上温泉駅前のハタの湯は大浴場が循環ろ過・塩素系薬剤ありで、浴室付き個室「岩井堂」のみ掲示が循環なし、金島駅そばの金島温泉 富貴の湯は掲示が【かけ流し】・加水なしで、温泉利用証と水質検査結果書に循環の記載あり)。毎時バスのある温泉地が3つ。1日数本のバスでたどり着く湯がその先にあり、倉渕では暮らしを支える無料の巡回タクシーが走っている。並べてみれば、群馬は「車がないと温泉に行けない県」ではなく、「車を降りても温泉が残っている県」だった。免許を返す日が来ても、湯はそこにある。
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よくある質問
Q. 車がなくても群馬の源泉かけ流しに日帰りで行けますか?
A. 行けます。掲示5項目すべて非該当の完全かけ流しなら上牧駅から徒歩約12分の大峰館と、水上駅から徒歩17分の天野屋。袋倉駅から徒歩7〜8分の半出来温泉 登喜和荘も「源泉100%かけ流し」です。駅の近さを最優先するなら前橋駅から徒歩2分のまえばし駅前天然温泉ゆ〜ゆ(こちらは加水と温度調節の循環あり・消毒剤は不使用)です。伊香保・四万・沢渡・草津・猿ヶ京へは各駅から路線バスがあります(2026年8月時点)。館林から2駅の川俣駅に直結する明和温泉 川俣の湯(HOTEL R9 川俣駅前)は、加水・加温・循環ろ過・塩素消毒ありの湯ですが、徒歩1分・平日500円で入れます(2026年9月時点)。吾妻線の小野上温泉駅の目の前にある小野上温泉 ハタの湯は、大浴場が循環ろ過・塩素系薬剤ありの湯ですが大人410円(2時間)で入れ、浴室付き個室「岩井堂」(2時間3,130円・入館料別)は掲示で循環なし・塩素の記載なしです(2026年9月時点)。同じ吾妻線の金島駅から徒歩4〜5分の金島温泉 富貴の湯は、大人500円(2時間)。施設の掲示は【かけ流し】・加水なしですが、温泉利用証と水質検査結果書に循環の記載があります(2026年10月時点)。
Q. 電車・バスで行きやすい群馬の温泉はどこですか?
A. 難易度の低い順に、前橋駅徒歩2分のゆ〜ゆ、バスが毎時1〜3本ある伊香保、毎時1〜2本の草津、毎時1本の四万温泉が目安です。半出来温泉・大峰館・小野上温泉 ハタの湯・金島温泉 富貴の湯は駅から歩けますが列車の本数が少なめ、倉渕の相間川温泉・せせらぎの湯は乗り継ぎが必要です。町内には無料・予約不要の巡回「おとしよりぐるりんタクシー」もありますが、1ルート1台・定員5名で午前9時〜午後3時30分に走る地域の生活の足です。
Q. 草津温泉へ車なしで行くにはどうすればいいですか?
A. 吾妻線の長野原草津口駅からJRバス関東で約25分・780円です(日中毎時1〜2本・交通系IC可)。東京方面からは上野発の特急「草津・四万」か、新宿・東京駅からの高速バス「上州ゆめぐり号/東京ゆめぐり号」(1日9本・新宿から約4時間)も使えます。帰りの定期特急は13時台から15時台に限られ、最終は15:43発です(臨時便が出る日もあります)。先に確認してください。
Q. バスの本数が少ない温泉はどう回ればいいですか?
A. 帰りの便を先に決めてから入るのが基本です。予定は最終便の1本前にします。吾妻線の袋倉駅は日中2時間に1本、倉渕のぐるりん倉渕線は室田行き・権田車庫行きが各5便ずつです。半出来温泉90分・相間川温泉3時間などの入浴時間制限を帰りの時刻に合わせると行程が組みやすくなります。
ダイヤ・運賃は2026年8月時点で各事業者の公式時刻表・運賃表を確認したものです。路線バス・ローカル線は改正や季節運行があります。お出かけ前に必ず各社の公式時刻表で最新情報をご確認ください。



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